真似したい!海外リノベーション事例│9地域のスタイルをご紹介
「憧れの海外のような空間で暮らしたい!」
「中古物件を海外風にリノベーションするのにお手本がほしい」
そんな想いから、海外のリノベーション事例を見てみたいと考えている方は多いでしょう。
そんな時には、以下のような海外のリノベーションホテルが参考になります。
- オランダ「ホテル・ニュー・ヨーク」
- アメリカ「エースホテルポートランド」
- シンガポール「ウェアハウスホテル」
海外では日本以上にリノベーションが盛んな国が多く、歴史のある建物をリノベーションすることで独自の魅力を発揮している建物が目立ちます。
特に、その道の精鋭たちによってつくられたホテルはデザイン性が高いのに加えて、住宅の参考になるポイントが盛り沢山。
多くの事例を見ることで、自分の好みの住宅のイメージがより具体的になっていくはずです。
さらに、理想通りのリノベーションを実現するためには、一緒に暮らす家族やパートナー、そして何よりリノベーション会社とイメージを共有することが欠かせません。
そこでこの記事では、
- 海外のリノベーション事例
- 海外風のリノベーションスタイル
- リノベ会社にイメージを伝える方法
についてご説明します。
最後まで読めば、自分の好みがより明確化すると共に、希望するリノベーションのイメージを人に伝える術が分かるようになります。
リノベーションでお気に入りの住空間を手に入れるためにも、ぜひチェックしてくださいね。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
ホテルに見る海外のリノベーション事例
新築の人気が根強い日本ですが、近年になって徐々に中古物件をリノベーションして暮らすライフスタイルが広がっています。
そのため、この記事を読んでいる方の中にも、自宅をリノベーションするにあたってお手本になる事例を探している方は多いはずです。
そんな時に参考になるのが、海外のリノベーションホテル。
なぜなら、有名なのデザイナーや建築家が手掛けていることも多いため、トレンドやアイデアに触れることができるからです。。
海外、特に欧米は、古くからの建物や街並みを大切にする国が多く、流通戸数の6〜9割が中古住宅です。
その中には、家主自身がDIYでリノベーションしたものや、優良とは言えない業者がつくったものも含まれるので、クオリティは様々。一概に参考になるとは言えません。
一方、「宿泊」をサービスとして提供しているホテルの場合、デザイン性も機能性もお客様を惹きつけるための重要な要素ですから、プロ集団を集めてリノベーションを行っています。
そのためデザイン性が高く、発想の豊かさに唸るものばかりです。
そこで、本章では以下3つのホテルをリノベーション事例としてご紹介します。
- オランダ「ホテル・ニュー・ヨーク」
- アメリカ「エースホテルポートランド」
- シンガポール「ウェアハウスホテル」
いわゆる「ホテルライク(ホテルのような空間)」に興味がない方でも、参考になるポイントがあるはずなので、ぜひ目を通してみてください。
1-1. オランダ「ホテル・ニュー・ヨーク」
オランダのロッテルダムにある「ホテル・ニュー・ヨーク(Hotel New York)」は、老舗クルーズ会社(ホーランド・アメリカライン)の旧本社をリノベーションしたホテル。
建物全体がクルーズ船をイメージした世界観で統一されています。
「百閒は一見に如かず」ですので、まずは上のGoogleマップから、以下手順で写真をチェックしてみてください。
<Googleマップの写真閲覧方法>
- 画面左側の概要欄を下へスクロール
- 中央あたりの「写真」にて、見たい写真カテゴリをクリック
(「すべて」を選ぶと、登録されたすべての写真を見られます)
「ホテル・ニュー・ヨーク」には、リノベーションの参考になる以下のような特徴があります。
- 客室ごとに異なるインテリアテイスト
- 大胆な間取り
- お風呂や洗面所など細部までお洒落
72室ある客室は、それぞれ異なる雰囲気で構成されています。
モダン、ポップ、エレガント……多種多様なインテリアの中から、自分好みのテイストを絞り込む過程で、きっとリノベーションのイメージが湧くはずです。
また、部屋の中央に螺旋階段があったり、窓際にバスタブがあったりと、間取りが大胆!
中々自分では思い浮かばないアイディアなので、ホテルライクなお部屋に憧れている方は必見です。
1-2. アメリカ「エースホテルポートランド」
アメリカのポートランドにある「エースホテルポートランド(Ace Hotel Portland)」は、老舗ホテルをリノベーションしたホテルです。
エースホテルは、ニューヨークに本社を置くホテルチェーン。古い建築をリノベーションして提供する独自のスタイルで運営しています。
中でも本拠地であるポートランドのエースホテルは街のアイコン的存在で、このホテルに宿泊するためにポートランドへ旅行する人も多いのだとか。
「エースホテルポートランド」がリノベーションの参考になるポイントは、以下の2点です。
- インダストリアルデザイン
- 狭い空間の活用
インダストリアルデザインとは、工業製品や工場街をイメージさせるようなデザインのこと。スチールや古材を使用し、無骨でクールなイメージです。
エースホテルポーランドは、工業製品やヴィンテージ家具を活用して落ち着く空間をつくっているので、まさにインダストリアルスタイルのお手本。
そのため雑誌に掲載されることも多く、デザイン業界で広く認知されています。「エースホテルポートランドのような雰囲気」と言えば、リノベ会社の方もピンとくるはずです。
また、シングルルームのように比較的コンパクトなお部屋でも、デザインや物の配置によって窮屈さを感じさせない工夫があります。
一人暮らしの方も、ぜひ参考にしてください。
ちなみに、2020年6月には、京都にアジア初となる「エースホテル京都」がオープンしました。
日本人デザイナーが加わり、京都文化を現代のライフスタイルに再解釈したデザインになっています。
>公式サイト:Ace Hotel 京都 | ダウンタウンのモダンデザイン ブティックホテル
1-3. シンガポール「ウェアハウスホテル」
シンガポールにある「ウェアハウスホテル」は、1895年に建てられた貿易倉庫をリノベーションしたホテル。
倉庫の三角屋根構造を利用して、ほとんどのお部屋がロフトスタイルで構成されています。
「ウェアハウスホテル」がリノベーションの参考になるポイントは、以下の2点です。
- ミニマムながら高級感のあるデザイン
- 「インダストリアル」と「モダンラグジュアリー」が融合したロビー
決して物が多くない客室ですが、高級感を感じるのは、随所に金色や大理石が使用されているから。
素材を選べば、少ない物や控えめな色味でラグジュアリーな空間がつくれることがよく分かります。ホテルライクスタイルが好きな方は、ぜひ参考にしてください。
また、ウェアハウスホテルで最もインパクトがあるのは、広々としたロビー。高い天井に多数設置された、自転車のホイールのような飾りとペンダントライトが印象的です。
先程ご説明した「インダストリアルスタイル」に近いですが、壁や床、フロントなど、その他のデザインや家具と相まって、モダンな高級感もあります。
いくつかのテイストをミックスするお手本として、一見の価値があるホテルです。
【地域別】海外風リノベーションスタイル
前章では3か国のリノベーション事例をご紹介しましたが、あなたがリノベーションで叶えたい「海外のような空間」とは、どこの国や地域の雰囲気なのか決まっていますか?
意外と「漠然としたイメージだけで、明確な地域名までは……」という方も多いのではないでしょうか。
参考にする地域を明確にしておくと、関連するリノベーション事例を効率的に見つけられるようになったり、リノベ会社に要望を伝える際の共通言語になったりと、プランニングに役立ちます。
そこで本章では、以下9つの地域性のあるリノベーションスタイルをご紹介します。
- マンハッタンスタイル
- ブルックリンスタイル
- カリフォルニア(西海岸)スタイル
- ハワイスタイル
- 北欧スタイル
- 南欧スタイル
- パリスタイル
- ロンドンスタイル
- バリスタイル
食事や衣服が国や地域によって異なるように、間取りやインテリアにも地域ごとに特徴があります。
自分が好きなスタイルが分かれば、その地域のデザインでまとめることで、統一感のある空間をつくることも可能です。
それでは、弊社のリノベーション事例も交えながらご紹介していきましょう。
2-1. マンハッタンスタイル
マンハッタンとは、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市の地区。ニューヨークの中心街です。
タイムズスクエアやウォール街、摩天楼ビルが立ち並び、世界中から多くの人が集まる流行の発信地でもあります。
そのため、マンハッタンスタイルはモダンで洗練された雰囲気が特徴。
高層ビルの一室のようなイメージで、ホワイトやブラックをベースにした落ち着いた色味で構成されています。
マンハッタンスタイルの特徴をまとめると、以下の通りです。
- モダンで都会的
- 大理石、ガラス、タイル、メタルなど、高級感がある素材
- カラーはモノトーンがベース
- アクセントには、現代アート
イメージとしては、映画『プラダを着た悪魔』に出てくるようなお部屋です。
マンハッタンスタイルをつくる際のコツは、以下の通りです。
- チープにならないよう素材にこだわる
- バーのようなキッチンカウンターを設置
- NY地下鉄構内に貼られている白いサブウェイタイルを使用(上の写真を参照)
- 家具はシンプルなデザインを選ぶ
- アクセントに、現代アートのポスターやディスプレイを取り入れる
マンハッタンスタイルは、シンプルながら高級感のある空間がポイントです。レンガ調の壁紙、木目のシートなどは、チープな印象になりやすいので、余程本物らしいもの以外は使わない方がよいでしょう。
リノベーションのイメージが湧きづらい時には、海外ドラマやハリウッド映画のインテリアをリサーチするのもおすすめです。ニューヨーカーの部屋や、ニューヨークの街並みを切り取るつもりでデザインしてください。
2-2. ブルックリンスタイル
ブルックリンもニューヨーク市の5つの区のうちのひとつです。
マンハッタンが高層ビルだったのに対し、ブルックリンは倉庫や古いアパートが多く立ち並ぶ街。
マンハッタンと比べて家賃が低かったため、若いアーティストやデザイナーたちが移り住むようになり、お洒落なカフェやショップが増えたと言われています。
そんなブルックリンスタイルの特徴は、経年美を生かした無骨な雰囲気です。
先述の「インダストリアルスタイル」とほぼ同じテイストで、それらをまとめて「男前インテリア」と呼ぶこともあります。
ブルックリンスタイルの特徴をまとめると、以下の通りです。
- ヴィンテージの経年美
- 開放的な間取り
- むき出しのコンクリートや配管
- 代表的な素材は、アンティーク煉瓦、スチール、古材、レザー
- ダークカラーがベース
- アクセントには、インダストリアルなディスプレイや観葉植物
広々としていて機能的な工場や倉庫をイメージさせる空間をつくることがポイントです。
他にも、ブルックリンスタイルを実現するには、以下のようなポイントを押さえると良いでしょう。
- 壁は、コンクリートむき出しかアンティーク煉瓦
- あえて配管を見せる
- フローリングには、無垢材を使用
- 水回りや電気スイッチ、照明など、細部にインダストリアルスタイルを取り入れる
- 照明や家具はアイアンを使用したもの
特に、面積が広いフローリングがピカピカだと、全体の雰囲気を壊してしまうので注意しましょう。
おすすめは、素材感のある無垢のフローリング。さらにエイジング加工をすれば、古くから使い込まれたような風合いを出すことができます。
ブルックリンスタイルのリノベーションについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
2-3. カリフォルニア(西海岸)スタイル
カリフォルニアは、アメリカ合衆国の州のひとつ。
南北に長いので気候は一律ではありませんが、温暖な地域が大半を占めています。
中でも「西海岸」は、ロサンゼルス・サンフランシスコ・サンディエゴ辺りのエリア。都会が近くにありながら、ゆったりとしたロングビーチが広がり、ヤシの木が風に揺れている……
そんな開放的な自然を感じられるリゾート地です。
そのため、カリフォルニア(西海岸)スタイルは、現地のサーファーが暮らしているような雰囲気です。
カリフォルニア(西海岸)スタイルの特徴をまとめると、以下の通りです。
- カジュアル
- 開放的な間取り
- 採光・通気が良い
- 代表的な素材は、木材(流木)、煉瓦、タイル、レザー
- カラーはホワイトとブルーがベース
- アクセントには、海をイメージさせるアイテム
海岸沿いに建つビーチハウスのように、開放的で爽やかな空間をつくることがポイントです。
カリフォルニア(西海岸)スタイルを実現するコツは、以下の通りです。
- リビングダイニングを拡張
- シーリングファンライトの設置
- フローリングは、ホワイトやグレージュといった白っぽい色を選ぶ
- 白い壁板を貼る(上の写真を参照)
- 背が低い家具を選び開放感を出す
- ベランダやバルコニーはウッドデッキにする
- サーフボードなどマリンアイテムを置く
- ウォールシェルフを設置し、海をイメージするアイテムを置く(上の写真を参照)
- 観葉植物は、フェニックスロベレニーやビロウヤシなど大型のものを選ぶ
壁板を貼る場合には、壁一面はもちろんのこと、上の写真のように壁の下半分に取り入れて腰壁風にするのもおすすめです。
カリフォルニア(西海岸)スタイルのリノベーションについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
2-4. ハワイスタイル
言わずと知れたアメリカの南国リゾート、ハワイ。
ビーチや森といった大自然はもちろん、草花で作る首飾りのレイやハワイアンキルトなど、古くから手作りされてきた伝統工芸品も有名です。
青い海や空をイメージさせるのはカリフォルニア(西海岸)スタイルと共通していますが、ハワイアンスタイルはよりボタニカル色が強く、ハワイ独自の動植物の柄や工芸品を取り入れるのが特徴です。
ハワイアンスタイルの特徴をまとめると、以下の通りです。
- トロピカル、マリン、オールドハワイアンなど、テイストは様々
- 開放的な間取り
- ハワイの豊かな自然をイメージさせる自然素材が基本
- カラーは、グリーン、ブラウン、ホワイト、ブルーがベース
- アクセントには、ハワイ独自の動植物(モンステラ、ハイビスカス、ウミガメなど)の柄物
一口にハワイアンスタイルといっても、トロピカルなカラーが目を引くものや、海をイメージさせるマリンテイスト、重厚感のあるオールドハワイアンなど、テイストは様々です。
それぞれのテイストは、以下を参考にしてください。
- トロピカル :明るい色調。フラミンゴやパイナップルモチーフなど。
- マリン :ホワイトとブルーが基調。ホヌ(ハワイ語でウミガメ)や貝殻モチーフなど。
- オールドハワイアン:グリーンとブラウンが基調。ボタニカル柄やヴィンテージ家具、ハワイアンキルトなど。
ハワイ現地では平屋が多いですが、日本の2階建てやマンションでもハワイ風にリノベーションすることは十分可能です。
ハワイアンスタイルを実現するコツは、以下の通りです。
- リビングダイニングを拡張
- シーリングファンを設置
- カバードポーチ(屋根のあるポーチやデッキ)を設置
- 外壁を木材の横張りにする
- 木材、石材など、天然素材を多用する
- ホワイトの太い窓枠を使用
- インテリアに南国のボタニカル柄(モンステラ、バナナリーフ、パームツリーなど)を取り入れる
- 観葉植物もモンステラやヤシ類、パキラなどハワイをイメージさせるものを選ぶ
2-5. 北欧スタイル
北欧とは、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンなどヨーロッパの中でも高緯度にある国々のことです。
冬の時季が長く、日照時間も短い環境柄、家の中に「太陽のような明るさ」を求める傾向にあり、明るい配色やユニークな柄が発展したと言われています。フィンランドのアパレルブランド『マリメッコ』や、デンマークの雑貨店『フライングタイガー』などが象徴的ですね。
そんな北欧スタイルの特徴は、天然木をベースにしたシンプルな造りの中に、自然を感じさせる明るい差し色が入っているところ。
他にも、北欧スタイルには以下のような特徴があります。
- ナチュラル、モダン、ヴィンテージなどテイストは様々
- 開放的な間取り
- 直線的で装飾のない造り
- カラーは、ホワイト、薄いグレー、明るい白木がベース
- アクセントには、グリーンやブルー、イエローなど明るい色
北欧スタイルは私たち日本人にとって馴染みやすく人気も高いため、家具なども多く流通しています。そのため、他のスタイルよりも取り入れやすいというメリットがあります。
北欧スタイルの中でも、ベースになる色や素材感によって印象は変化し、ナチュラル、モダン、ヴィンテージなど、テイストが異なりますが、北欧スタイルを実現する主なコツは以下の通りです。
- リビングダイニングを拡張
- 天井や壁はホワイトが基本
- フローリングは無垢材(王道はオーク、ナチュラルならメイプル、ヴィンテージはチーク)
- ペンダントライトを設置
- 脚付きの北欧家具を取り入れる
- アート作品やクッションでアクセントカラーを取り入れる
北欧スタイルはリノベーションの実例も多いため、ぜひインターネットで「北欧 リノベーション」で検索し、色々なお宅をチェックしてくださいね。
2-6. 南欧スタイル
南欧とは、ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランス南部など、ヨーロッパ南部のリゾート地のことです。
日差しが強く気温が高いため、外観には断熱性の高い瓦と白い塗り壁が使用されています。
そのため、南欧スタイルの特徴は、明るい色味のリゾート空間。北欧と比べると涼しげで爽やかな雰囲気です。
南欧スタイルの特徴をまとめると、以下の通りです。
- 自然素材とアンティークが融合
- 開放的な間取り
- 曲線的で装飾のあるデザイン
- 代表的な素材は、瓦、木材、漆喰、アイアン、煉瓦、タイル
- カラーはホワイトとベージュがベース
暑い日が多い南欧の建築スタイルは、日本の気候とも相性が良いです。
南仏風リノベーションで、爽やかで可愛らしいデザインと機能性を両立しましょう。
南仏スタイルのリノベーションのコツは、以下の通りです。
- リビングダイニングを拡張
- 軒をつくらない
- 屋根をオレンジや茶色の暖色系素焼きの瓦にする
- 外壁は、白、オフホワイト、ベージュなど明るい色の塗り壁
- アイアンの格子や妻飾り(つまかざり)を設置
- 玄関先に煉瓦や石造りでアプローチをつくる
- 重厚感のある木製ドアを設置
- 窓に飾り戸を設置
- 窓の外にアイアン製のフラワーボックスを設置
- アイアンを使ったシャンデリア風ペンダントライトを設置
南欧は雨が少ない地域のため、玄関まわりの軒がないという特徴があります。
日本の場合は雨が多いですが、軒をつくらない、あるいは出来るだけ浅くしてすっきりした外観にすることで、南欧の雰囲気に近づきます。
また、妻飾り(つまかざり)とは、三角形屋根の壁面に施すアイアンの装飾のことです。華奢で細やかな装飾の妻飾りを付けることで、一層本場の南欧住宅のようになります。
2-7. パリスタイル
フランスの首都、パリ。
東京の山手線の内側ほどの広さに、エッフェル塔、凱旋門、ノートルダム大聖堂といった魅力的な観光地やブティック、レストラン、美術館が点在する、ヨーロッパ文化の中心地です。
暮らす人々もアートやファッションへの感度が高く、住空間も自己表現のひとつと捉えているため、DIYでリノベーションするケースも多い様子。
そんなパリスタイルは、やはりアート色が強いのが特徴です。
パリスタイルには、他にも以下のような特徴があります。
- 歴史を感じるアンティークとモダンのミックス
- 狭い空間を活用
- 細やかな装飾をあしらった造り
- 赤や青など、大胆な色使いも多い
- 収納より飾って見せる
パリの アパルトマンと日本の住宅の共通点は、狭い空間が多いということ。
大きなスペースがなくても、自分の好きなものに囲まれて暮らすヒントが、パリスタイルには多く含まれています。
パリスタイルのリノベーションのコツは、以下の通りです。
- 床は経年変化がみられる天然木
- 壁にロープ柄や草の模様など装飾をあしらう
- 壁紙に鮮やかな色やストライプ、花柄といった柄物を取り入れる
- 猫足のバスタブを設置
- ドアの取っ手やスイッチプレートなど、細部までエレガントにする
- 写真やポストカード、イラストなどでアートを取り入れる
- ヴィンテージ家具を置く
パリジャンやパリジェンヌのライフスタイルは憧れの的なので、雑誌やSNSに多くのお部屋やリノベーション例が載っています。
ぜひ色々な実例を参考に、自己表現ができる住宅についてアイディアを整理しましょう。
2-8. ロンドンスタイル
イギリスの首都、ロンドン。
ロンドンでは伝統を重んじ、古い建物を何度も修復して使用します。そのため、市中心地でも高層ビルは少なく、歴史ある街並みが残っています。
一方で、移民が多く人種の多様さも特徴のひとつ。伝統と多文化や新しきものが混ざり合った街です。
そのため、ロンドンスタイルでは、伝統とモダン、重厚感とカジュアルといった、相対的なイメージが混ざり合っています。
ロンドンスタイルの特徴をまとめると、以下の通りです。
- ヴィンテージとモダンの融合
- 狭い空間も活用
- カラーは様々
- アクセントには、ゴールドやユニオンジャックカラー
他のスタイルに比べ、ロンドンスタイルでは使用される色のバリエーションが広いです。ベースカラーを深い色にするだけでも、重厚な雰囲気を出せます。
ロンドンスタイルを実現するには、「古き良きもの」と「スタイリッシュさ」とのバランス感覚が肝になるので、リノベーション会社とよく相談しておきましょう。
ロンドンスタイルのリノベーションのコツは、以下の通りです。
- 床は経年変化がみられる天然木
- 窓は縦長にする
- 壁に煉瓦を使って重厚感を出す
- 壁紙に深い緑、濃い赤などを取り入れる
- ヴィンテージ家具を取り入れる
- ソファは革張りを選ぶ
- インテリアにユニオンジャックやチェック柄を取り入れる
ロンドンスタイルのリノベーション事例はあまり多くありません。もし資料が足りない場合には、系統が近い「2-2. ブルックリンスタイル」などもチェックしてみましょう。
ロンドンスタイルのような重厚感はありませんが、共通している煉瓦使いなどは参考になると思います。
2-9. バリスタイル
バリ島は、インドネシア諸島のひとつ。
赤道直下の国なので年間を通して気温が高く、ハワイやグアムに並ぶリゾート地として知られています。
そんなバリスタイルの特徴は、アジアンリゾート風の開放的な雰囲気。
その他にも、バリスタイルには以下のような特徴があります。
- 開放的な間取り
- 天然素材で構成
- アースカラーがベース
- アクセントカラーは、落ち着いた色合いのレッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー
バリのリゾートホテルのようにゆったりと落ち着ける雰囲気が根強い人気のスタイルです。
バリ風にリノベーションするには、以下のようなポイントを押さえましょう。
- リビングダイニングを拡張
- 床はチークなどの天然木
- 織物調やボタニカル柄の壁紙を使う
- 自然素材を編んだハンキングチェアを設置
- 家具は、籐(ラタン)、竹(バンブー)、ウォーターヒヤシンスなど植物を編んだものを使用
- 背が低い家具を選び天井を高く見せる
- 間接照明を設置する
- 観葉植物を多用
チーク材は、インドネシア、タイ、ミャンマーなどの東南アジアで採れ、古くから寺院などにも使われてきた高級建材です。褐色の色合いがバリスタイルにマッチしているので、おすすめの材木です。
ただし、チークのように床がダークな色の場合、家具も暗い色で揃えてしまうと全体的に重たい印象になってしまいます。
オレンジやベージュなどの明るいカラーのファブリックや観葉植物を取り入れ、華やかさをプラスしましょう。
【実践】リノベ会社にイメージを伝える方法
様々なリフォームの事例をご紹介してきましたが、好みのスタイルは見つかったでしょうか?
心に決めたスタイルがある方も、「どれも良く見えて決められない……」という方も、まずは以下5ステップの”理想のイメージをリノベ会社に伝える方法”を実践してみてください。
この手順で情報収集と情報整理を行えば、アイディアが膨らむとともに、理想の住まい像が具体的になっていきます。
以下で詳しくご説明していきましょう。
3-1. リノベーションの事例を探す
リノベーションのプランニングを成功させるには、情報収集が欠かせません。
なぜなら、より多くの事例に触れた分だけ、自分の好みや要望が明確になってくるからです。
まずは「2. 【地域別】海外風リノベーションスタイル」の中で好みのスタイルに当たりをつけ、「スタイル名」あるいは「スタイル名 事例」でリサーチをしてみましょう。(例:マンハッタンスタイル 事例)
同じ地域のスタイルの中でも、以下のような要素が掛け合わさり、様々な雰囲気があることが分かるはずです。
<時代性>
- モダン
- レトロ
- アンティーク
- ヴィンテージ など
<テイスト>
- シンプル
- ナチュラル
- カジュアル
- ラグジュアリー
- スタイリッシュ など
また先述の通り、リノベーションホテルもアイディアを膨らませるのに最適な事例です。
もし「まだ、どの地域のスタイルが好みか分からない」という場合は、「リノベーションホテル」でネット検索してみましょう。国内外のリノベーション事例が見られるので、その中から好きな地域のスタイルを逆引きで見出せるはずです。
最初は好みのスタイルが定まらなくても問題ありません。まずは気楽に、多くの事例に触れるようにしましょう。
以下に良い事例が見つかるおすすめのサイトとおすすめの雑誌を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
3-1-1. 事例探しにおすすめのサイト
今やインターネットには、多くのリノベーション事例がアップされています。
最も手軽なリサーチ方法として、SNSやリノベーション関連サイトを活用してイメージを膨らませましょう。
以下にリサーチに最適な5つのサイトをご紹介します。
◆Instagram(インスタグラム、インスタ)
写真・動画の共有SNS。#(ハッシュタグ)を付けてキーワード検索すれば、好みの事例に
たどり着けます。また、気に入った画像は保存して後から確認も可能です。
◆RoomClip(ルームクリップ)
部屋のインテリア実例共有サイト。住宅に特化しているので、事例が見つけやすいです。
気に入ったお部屋があれば、そのアカウントをフォローしておきましょう。
◆Pinterest(ピンタレスト)
写真共有サービス。キーワード検索で見つけた好みの画像をスクラップするのに最適。
類似写真も提示してくれるので、気に入ったテイストを突き詰めやすいです。
◆リノベりす
リノベーション会社の検索サイト。いろんなリノベ会社による事例を一か所で見られます。
◆ホームズ
リノベーション会社の比較サイト。こちらも各社のリノベ事例が見られます。
弊社で行ったリノベーションの事例は、こちらからご覧いただけます。
3-1-2. 事例探しにおすすめの雑誌
インターネット以上に情報が体系的で、リノベーションの知識も身に付くのは、やはり雑誌や本。
リノベ会社とのコミュニケーションを円滑に進めるためにも、この段階で知識の引き出しを増やしておきましょう。
ここでは、定期発行している以下2つの雑誌をおすすめします。
◆relife+(リライフプラス)
リノベーション会社の検索サイト「リノベりす」の雑誌。3月、6月、9月、12月の年4回の発行。
◆Casa BRUTUS (カーサブルータス)
「Casa=家」が中心の月刊誌。アートや旅が特集の月もあるので、家づくりやリノベーション特集号を
購入すると良いでしょう。2019年8月には、『新しいリノベの教科書』という特集も組まれています。
他にもリノベーションに関する雑誌や書籍は数多くあります。図書館なども利用して、少なくとも3〜5冊は読んでおきましょう。
3-2. 好みの写真や画像を保存しながら好みのスタイルを固める
ひとつ前の事例を探すステップと同時進行で、気に入った写真を保存しておきましょう。
この段階では、「このスタイルは高額そう……」や「違うスタイルは混ぜない方がいい?」なんてことは気にしなくてOKです。
自分の感性に響くものを、どんどん保存していきましょう。
そして保存しながら、選んだ事例の共通点を明確にしていきます。その共通点こそ、あなたの好みや要望だと言えるからです。
【ゼロリノベ】リノベーション事例より
左:モルタル×2つのリビング〈東京〉73㎡|中古マンションのリノベーションならゼロリノべ
中央:【最優秀賞受賞】Renovation of the year「家具美術館な家」
右:ゆったりソファのあるすっきり空間〈東京都〉77㎡|中古マンションのリノベーションならゼロリノべ
例として、上のような画像を保存していたとしたら、次のような要望が見えてきます。
- 北欧モダンスタイル
- 壁はコンクリート
- ベース色はホワイトや薄いグレー
- お気に入りの家具を主役にしたい
- 生活感はなくしたい
ここでまとめた好みや要望は、リノベ会社の担当者にきちんと説明できるよう、写真と併せてメモなどを用意しておきましょう。
3-3. 場所別にイメージをまとめておく
好みの写真や画像が集まってきたら、リビング、キッチン、トイレ、寝室、お風呂、洗面所、子ども部屋など、場所別に資料を分類してイメージをまとめます。
一緒に暮らす方がいる場合は、この段階でよく話し合っておきましょう。特にキッチンなどは、頻繁に使う人の意見を尊重したいところです。
もし事例写真が少ない場所があれば、「2. 【地域別】海外風リノベーションスタイル(一部事例付き)」の中から、好みに合致するスタイル名と場所でもう一度リサーチ。(例:「ブルックリン トイレ」「南欧 お風呂」)
各部屋についてしっかりイメージを整理しておきましょう。
3-4. リノベ会社にはすべての希望を伝える
リノベ会社との打ち合わせの早い段階で、以下2つのステップでまとめた画像と要望を明確に伝えましょう。(例:リビングはコンクリート壁にしたい、フローリングにオークを使用したい、など)
・3-2. 好みの写真や画像を保存しながら好みのスタイルを固める
・3-3. 場所別にイメージをまとめておく
「予算的に難しいだろうな」と思うこともあるでしょうが、まずはすべての希望を伝えることが重要です。リノベ会社としても、要望がはっきり把握できた方が、プランニングがスムーズに進められます。
また、先方はプロなので、予算内で可能な限り要望に沿った提案や、自分では思いつかないようなアイディアを出してくれるはずです。
自分の希望を全て伝え、叶えたいイメージ像をリノベ会社と共有しましょう。
3-5. 何度も打ち合わせをしながら、最終的なイメージを固める
リノベーションの打ち合わせの回数は、規模や内容にもよりますが4〜6回程度、期間は2〜3ヶ月が目安です。
大きな買い物であるのは言わずもがな。住む人の好みやライフスタイルに合った家にするためのリノベーションですから、1回きりの打ち合わせで終わることは中々ありません。
何度も話し合いを重ねながら、最終的なイメージを固めていきます。
この段階でわからないことがないように、不明点、不安点もきちんと質問しておきましょう。
まとめ
一口に「海外風」と言っても、様々なリノベーションスタイルがあることがお分かりいただけたと思います。
ひとつでも多くの事例をチェックして、あなたが暮らしたい家のイメージをつくり上げていってください。
では最後に、この記事の内容をまとめましょう。
◎海外の事例を見るにはリノベーションホテルがおすすめ
◎9つの海外風リノベーションスタイル
- マンハッタン:モダンで洗練された雰囲気
- ブルックリン:経年美を生かした無骨な雰囲気
- カリフォルニア(西海岸):海をイメージさせ、現地のサーファーが暮らしているような雰囲気
- ハワイ:ボタニカル色が強く、ハワイ独自の柄や工芸品を使用
- 北欧:シンプルな造りの中に、自然を感じさせる明るい差し色を使用
- 南欧:明るい色味のリゾート空間。北欧と比べると涼しげで爽やかな雰囲気
- パリ:アート色が強い
- ロンドン:伝統とモダン、重厚感とカジュアルといった、相対的なイメージが融合
- バリ:アジアンリゾート風の開放的な雰囲気
◎リノベ会社にイメージを伝える5ステップ
- リノベーションの事例を探す
- 好みの写真や画像を保存しながら好みのスタイルを固める
- 場所別に写真を分類し、イメージをまとめておく
- リノベ会社にすべての希望を伝える
- 打ち合わせを繰り返し、最終的なイメージを固める
この記事を参考に、あなたの”理想の住空間”がより明確になり、満足いくリノベーションになることを祈っています。