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持ち家のリノベーションにかかる費用とたった1つの注意点、利用できるローン

戸建てのリノベーション事例

「持ち家をリノベーションしたいけれども、どれくらい費用がかかるのか心配」
「注意点を把握して持ち家のリノベーションを成功させたい」

このように悩んではいませんか?

所有しているマンションが古くなった、実家の一戸建てを引き継ぐことになったけれども劣化が気になる、中古物件を購入して自分らしい空間にしたいといったときに、検討するのがリノベーションです。しかし予算感がつかめないといった理由で一歩進めない人も多いようです。

リノベーションは大がかりな工事になる傾向があるため、あらかじめ費用や注意点を把握したうえで進めないと「予算を大幅にオーバーした」「理想のリノベーションができなかった」といった残念な結果になりかねません。

そこでこの記事では次のような内容を解説します。

  • リノベーションとはどのような工事なのか
  • リフォームとの違いや費用の目安
  • 持ち家の種類によるリノベーションの特徴や工事に際しての注意点
  • 持ち家のリノベーションに利用できるローン

本記事があなたのリノベーション計画の参考になれば幸いです。

この記事の監修者

一級建築士
西村 一宏

東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。

目次

持ち家のリノベーションについての基礎知識

まずはそもそもリノベーションとは何なのか、リフォームとの違いや費用の目安とあわせて確認しておきましょう。

1-1.持ち家のリノベーションとは

リノベーションとは、「すでに購入して住んでいる持ち家に対して大規模な改修を施すこと」を指すのが一般的です。中古戸建てや中古マンションを購入し、引っ越す前に行う大規模改修を含むこともあります。

リノベーションは、ライフスタイルの変化にあわせ、今ある空間をより使いやすく・暮らしやすくする、あるいは持ち家のデザイン性を高めたいなどの目的で検討する人が多いことが特徴です。

たとえば古い実家を引き継ぐ際に、最近の生活様式にあわせて和室を洋室にしたい、浴室をユニットバスにしたいといったケースが挙げられます。

マンションであれば、隣接する和室との間仕切り壁を撤去して広々としたリビングにしたい、コンクリートむき出しのスケルトン天井にしたいなど、デザイン性を高めたい場合にもリノベーションが行われます。

1-2.リノベーションとリフォームの違い

リノベーションと似た言葉に「リフォーム」があります。どちらも既存住宅を改修することを意味しますが、実は大きな違いがあります。

一般的にリフォームは、老朽化している箇所を修復し、新築当時の状態に戻す工事に対して用いられる言葉です。老朽化してマイナスになった箇所をゼロに戻す、いわゆる「原状回復」や「機能回復」のための工事を指します。

対してリノベーションは、時代にあわせて住宅に新たな機能を加えるような改装工事のことです。現状をいったんゼロにリセットし、+αの価値をつけてまったく新しいデザイン性の高い空間に生まれ変わる様子をイメージすると良いでしょう。

内装をすべて撤去して構造のみのスケルトン状態にし、間取りから新たに作り直すなど、部分的なリフォームよりも工事の規模が大きくなりやすいのがリノベーションの特徴です。

ただしリノベーションとリフォームは、法的に明確な定義があるわけではなく、その境界はあいまいです。とくに家全体を対象に行うフルリフォームは、リノベーションとほぼ同じ意味で使用されるケースもあります。

リノベーションにかかる費用の目安と注意点

この章では、リノベーションにかかる費用について、目安額や注意点を紹介します。

2-1.目安額と高くなる要因

持ち家のリノベーションにかかる費用相場は、1㎡あたり10万〜20万円程度が目安とされています。費用は、部分的なリノベーションの場合とフルリノベーションの場合で異なってきます。

リノベーション総額の目安|マンションと戸建て

※一般的な3LDK(70㎡)の場合

リノベーション費用は、次のようなケースで価格が高くなる傾向があります。

  • 間取りを大きく変更するなど、リノベーションの範囲が広くなる
  • 複合フローリングではなく無垢フローリングを選ぶなど高価格の素材を採用する
  • システムキッチンやユニットバスをハイグレードのものにする

上記に加え、マンションの場合は、住戸のある階数が高くなるほど資材運搬の作業負担が重くなる、戸建ての場合は耐震や断熱などハード面への改修を施すことで、さらに費用は高くなりがちです。戸建ての場合は、外壁、屋根、外構といった部分の工事も必要になることがあり、費用が膨らみやすくなります。

具体的に費用がかさみやすい工事や、ご自身の希望工事ではどれくらいの目安額になるか、詳しく知りたい人は中古マンションのリノベーションにかかる費用相場について説明したこちらの記事をご覧ください。

また、リノベーション費用は地域によって差が出やすいのも特徴です。工事をする場所によって、人件費や輸送コストを含む材料費などが異なるためです。

2-2.リノベーション費用の注意点

リノベーションするときには「せっかくだから」「この機会に」と財布のひもが緩みがちです。しかし一般的にリノベーションは、「積み上げ方式」の料金プランであることが多く、やりたいことが多くなるほど費用は高くなっていきます。

予算内に収めるためには、やりたいことを書き出したうえで優先順位をつけておくようにしましょう。

また、持ち家をリノベーションする予算を考えるときには、工事費以外にかかる費用も念頭においておく必要があります。とくに工事期間中の仮住まいの家賃は高額になりがちです。

そういった費用も念頭に置いておかないと「予算を大幅にオーバーした!」といった事態になりかねないため注意しましょう。

予算の注意点について詳しく知りたい方は、リノベーション費用を賢く抑えるコツについて説明したこちらの記事をご覧ください。

【持ち家の種類別】リノベーションの特徴

リノベーションと一口にいっても、戸建てとマンションとではいろいろな面で違いがあります。ここでは持ち家の種類別に、特徴を紹介します。

3-1.戸建て

戸建て住宅は、マンションと比較すると構造面での制約が少なく、大規模なリノベーションが可能です。

マンションと違い共用部分がないため、建築基準法や地域の条例を守れば、他者の許可を得ることなく自由に変更することができます。

一般的な在来工法で建てられた住宅であれば、建物を支える柱は移動できませんが、間仕切り壁などは自由に移動できるため、間取り変更しやすいのが特徴です。

ただし、ダイナミックなリノベーションができる分、費用はマンションよりも高額になりがちです。とくに築年数が古くなると、耐震補強や断熱工事など、安全性や住宅性能を上げるために、以下のような工事をやらざるを得なくなることも想定されます。

<耐震性を上げる工事>

  • 筋交い(柱と柱の間に斜めに入れて構造を補強する部材)の増設
  • 土台部や柱、筋交いなどの接合部分への接合金物の取付け
  • 軽量な屋根材への更新

<断熱性を上げる工事>

  • 外壁や床下などへの断熱材の設置
  • 高性能な窓への取り換え

とくに1981年6月以前に建てられた住宅は旧耐震基準に沿っており、震度6〜7の大規模地震を想定していません。新耐震以前の物件がすべて耐震基準が劣るわけではありませんが、築年数が古い場合は物件ごとの状態が大きく異なるため耐震・断熱の現状を確認する必要があります。

震災への不安を減らすためには、鉄筋の入っていない基礎に鉄筋コンクリート造の基礎を抱き合わせて増強するといった、大がかりな耐震補強工事が必要になる可能性があることも頭に入れておきましょう。

3-2.マンション

すべてが専有部分である戸建てと比較すると、マンションは集合住宅のため「共用部分」と「専有部分」が明確に分かれており、リノベーションできるのは専有部分のみとなります。

壁紙や床材の張り替えといった内装変更や、構造上可能な範囲での間取り変更は自由ですが、建物の躯体(コンクリート部分)にあたる床や天井、戸境壁(各住戸の間を仕切る壁)などは共用部分であるため、個人でリノベーションすることができません。

その他、マンションごとの管理規約で決められたルールを守りながら、リノベーションの「できる」「できない」を判断する必要があります。

マンションのリノベーションの注意点については、「4-3.マンションのリノベーションでの注意点」で詳しく解説していますのでそちらをご覧ください。

専有部分のみのリノベーションという制約はあるものの、戸建てのように外観やハード面に手を加えなくてもよいため、その分間取りや内装にお金をかけやすいことが大きなメリットといえるでしょう。

持ち家をリノベーションする際の注意点

ここからは、持ち家をリノベーションする際に押さえておきたい注意点を紹介します。

4-1.戸建てとマンションで共通する注意点

戸建てとマンションに共通する注意点は、以下の2点です。

4-1-1.仮住まいを手配する

リノベーションは間取りを変更したり、水回りを刷新したりと大がかりな工事になるケースが多いため、仮住まいが必要になるのが一般的です。

リノベーションにかかる期間は工事の規模によって異なりますが、設計・施工を含めて短くても2カ月、長ければ7カ月程度みておくのが無難です。「子どもの新学期には住み始めたい」といった希望があるなら、入居時期から逆算して仮住まいする物件を早めに選び、計画的にリノベーションを始めることが重要です。

間取り変更をともなわず、一部屋ずつ進める小規模なリノベーションであれば、効率は落ちますが家具や家電を移動させながら進められるケースもあります。

ただしその場合でも、水回りが使用できない間も住み続けるのは現実的ではありません。基本的には一定期間は仮住まいが必要になるため、費用を見込んでおきましょう。

<仮住まいにかかる費用の目安>

リノベーションに必要な仮住まいの費用

家財道具の一時預かりをしてもらうトランクルームを借りる場合には、その費用も必要です。東京都で1〜3畳のトランクルームの相場は5千〜1万円程度なので、家財の量にあわせて予定しておくと良いでしょう。

4-1-2.建物の名義を確認する

実家の建物をリノベーションして住む場合には、誰の名義になっているのかを確認しましょう。

リノベーションは高額になる傾向があることから、ローンを検討するのが一般的です。しかしご両親が高齢のケースでは、借り入れが難しいため、子ども名義で融資を受けることがほとんどです。

その場合、建物が親名義となっていると、リフォームにかけた費用に対する住宅ローン控除を受けられない点には注意が必要です。住宅ローン控除は、対象となる住宅が自己保有であり、なおかつ居住用である場合にのみ適用されるためです。

さらに親名義のままで子どもが住宅ローンを負担すると、リフォームにかかった費用を子どもがご両親に贈与したとみなされ、ご両親側に贈与税が発生してしまいます。

このような事態を避けるためには、リノベーションする前に実家の建物を引き継ぎ、名義を子ども側に変更しておくと良いでしょう。

4-2.戸建てのリノベーションでの注意点

一戸建ての場合、工事規模によっては建て替えたほうが安くなる可能性があるため、費用についてよく比較検討することが大切です。

たとえば旧耐震基準で建てられていて耐震性が不安な場合、耐震補強工事を検討することがあります。耐震補強するために構造躯体工事をするのであれば、内装や外壁をすべて壊して基礎と骨組みだけを残すフルリノベーションが必要で、工事は大がかりなものになります。

またシロアリ被害が深刻であれば、躯体を温存しても家自体が長持ちしません。

そういったケースでは、既存の家を取り壊して初めから作り直したほうが、より安い費用で、構造上安全な、安心して長く暮らせる家を手にいれられる可能性が高いでしょう。

リノベーションで対応できるか、それとも建て直したほうが良いのかは、建物の劣化具合を見極められる専門家のホームインスペクションを受けるなどし、判断を仰ぐことをおすすめします。

4-3.マンションのリノベーションでの注意点

マンションのリノベーションは、戸建て住宅と比較すると外観やハード面に手を加えなくてもよい分、間取りや内装にお金をかけやすいことが特徴です。

ただし、マンションは集合住宅であるため、リノベーションできるのは専有部分のみとなります。そのため、構造面の制約やマンションごとの管理規約に沿ってプランを考える必要があります。

持ち家のマンションをリノベーションする際は、以下の3点に注意しておきましょう。

  • 隣り合った住戸をつなげることはできない
  • 「壁式構造」で建てられたマンションは間取り変更に制限が出やすい
  • 床下の構造によっては、水回りの移動に制限がかかることも

マンションは、建物の躯体(コンクリート部分)にあたる床や天井、戸境壁(各住戸の間を仕切る壁)などは共用部分であるため、個人でリノベーションすることはできません。

つまり壁紙や床材の張り替えは自由ですが、隣りあった住戸の間にある戸境壁を抜き、1つにしたいといったリノベーションは許可されません。

また一部のマンションは、壁と床で建物を支える「壁式構造」という方法で建てられています。壁式構造のマンションは、構造上撤去できない「耐力壁」が含まれているため、間取り変更の制約が高くなります。

5階建て以下の中低層マンションで採用されているケースが多いため、持ち家のマンションの構造を確認しておきましょう。

さらに古いマンションでは、床スラブ(構造躯体のコンクリート)を貫通させて排水管を通す「床スラブ貫通配管」となっていることもあります。このようなタイプのマンションに関しては、水回りの移動に制約がかかることがあるので確認が必要です。

マンションのリノベーションに際しては、構造上の制約を受け動かせない壁があったり、古いマンションの場合は配管の問題があったりするケースも想定されるため、構造面の制約と管理規約ルールを事前に確認しましょう。

持ち家のリノベーション時に利用できるローン

持ち家をリノベーションするときには、高額な費用が発生するためローンを活用するのが一般的です。ここからはリノベーション時に利用できるリフォームローンと住宅ローンの2つを紹介します。

2022年1月30日調べ

5-1.リフォームローン

リノベーションに活用できる代表的なローンは、住宅改修の資金調達に特化した「リフォームローン」です。多くの銀行や信用金庫などの金融機関、信販会社などが取り扱っています。

リフォームローンは、住宅ローンと比較して審査が緩く、担保不要で借り入れられるケースが多いのがメリットです。ただしそのぶん借入限度額が住宅ローンよりも小さく、金利も高い傾向があります。

フルリノベーションをするなどで高額な借り入れをしたい場合には、次に紹介する住宅ローンを検討すると良いでしょう。

5-2.住宅ローン

住宅ローンは、住宅の新築時や購入時だけではなく、リノベーションでも活用できる可能性があります。

金融機関によっては、リフォーム費用にも利用できるパックを用意している場合があり、そのような住宅ローンならリノベーションに使っても問題ありません。

一般的にはリフォームローンと比較して、住宅ローンのほうが金利や借入金額の条件は良いことがほとんどです。ただしそのぶん担保を求められるなど、審査は厳しくなるデメリットがあります。

リフォームに活用できる住宅ローンの内容や条件は、金融機関によって大きく異なるため、複数の金融機関の情報を集め、事前確認・比較検討するのがおすすめです。

まとめ

リノベーションはリフォームと違い、間取りから新たに作り直す、構造以外はすべて撤去するなど工事規模が大きくなりがちです。そのぶん費用に関しても、一般的な3LDKの広さで1,000万円を超えるケースも少なくありません。仮住まいにかかる費用も含めてどの程度の資金が必要なのかを把握して、しっかりとした資金計画を立てておくことが重要です。

<リノベーション総額の目安|戸建てとマンション>

※一般的な3LDK(70㎡)の場合

とくに戸建てに関しては、建物の劣化状況によっては建て替えたほうが安くつく可能性もあるため、ホームインスペクションを受けるなどして専門家の判断を仰ぎましょう。

そのうえで必要な資金規模により、リフォームローンと住宅ローンのどちらを利用するか決めるのがおすすめです。

なおゼロリノベでは、「物件探し×リノベーション」「ご自宅をリノベーション」の2つのコースをご用意しています。

さらにそれぞれ空間を一度リセットする「フルリノベーション」とポイントだけリノベーションする「部分リノベーション」の2つのプランからお選びいただけます。

また、料金プランに関しては、施工面積に応じて基本のリノベ料金が決まる明瞭な料金制度を導入しており、第三者機関のファイナンシャルプランナーを介して「安心予算」を作成した上で予算に合ったプラン作成を行っています。

持ち家のリノベーションを依頼するリフォーム会社を探すときには、施工事例が豊富なゼロリノベをぜひ検討ください。

この記事の制作体制
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

  • 西村 一宏

    リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。

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