リノベーションで部屋を増やす6つの方法│費用や注意点を詳しく解説
「子どもの成長に合わせて部屋を増やしたい」
「リノベーションで部屋を増やすなら、どういう方法がある?」
家の間取りが生活に合わず、不便に感じていませんか?
子どもが大きくなるにつれて家が狭く感じたり、1人で集中できる空間が必要になったりと、家族全員が快適に過ごせる空間の在り方は変化するもの。部屋を増やさないまま狭い空間で暮らし続けると、家族がストレスを感じやすくなります。
親との同居や、趣味や仕事の都合で新しい部屋が欲しくなるケースもあるでしょう。
ライフスタイルの変化に合わせて部屋を増やす方法は、主に次の6つです。
家の空いている空間を利用して増築するか、広めの部屋を分割する方法などが考えられます。
しかし、リノベーションで部屋を増やすのはメリットばかりではありません。固定資産税の増額や家族間コミュニケーションの減少など、デメリットも存在します。
部屋を増やす代わりに模様替えや部屋の共有で対処する案や、将来的な部屋の利活用まで考えてからリノベーションすることが重要です。
そこで本記事では、以下について詳しく解説します。
- リノベーションで部屋を増やす方法と費用
- リノベーションで部屋を増やすデメリット
- 部屋を増やさずに問題を解決する代替案
- ライフスタイルの変化に合わせたリノベーションのコツ
- 可変性を持たせたリノベーションの事例
この記事を読めば、現在も将来的にも暮らしやすい家にするリノベーション方法が分かります。
部屋を増やすリノベーションを検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
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【費用も解説】リノベーションで部屋を増やす6つの方法
自宅の部屋を増やしたい人は「リノベーションで部屋を増やすといってもどんな方法があるの?」と気になるのではないでしょうか。
リノベーションで部屋を増やす方法は、大きく次の2つに分けられます。
- 改築:床面積を変えずに、間取り変更などで部屋を追加
- 増築:床面積を増やして部屋を追加
家の状態や面積、部屋を増やしたい理由によって、適した部屋の増やし方は異なります。かかる費用や工事期間にも違いがあります。
部屋を増やす方法を改築と増築合わせて6つ紹介するので、どの方法で部屋を増やしたいかイメージしてみましょう。
1-1.間取り変更・改築で部屋を増やす方法
すでにある建物の床面積を変えずに部屋を増やす方法は、主に次の2つです。
間取り変更(改築)で部屋を増やすのは、敷地を増やす余裕がない場合やマンションのリノベーションに適しています。
増築と比べて安価かつ工事が短期間で済むのがメリットです。手軽に部屋を増やしたい人や敷地面積が増やせない人は、チェックしてみましょう。
1-1-1.①1部屋を2部屋に分割する
間取り変更で部屋を増やすもっとも一般的な方法は、1部屋を分割して2部屋にする方法です。10〜12畳程度の広めの部屋に間仕切り壁を設けることで、2つの個室を確保できます。
特に子ども部屋を増やしたい状況で、部屋を分けるケースが多いです。
最近は家を建てる段階で、後々部屋を2つに割ることを想定して間取りを決める家庭も増えています。照明やエアコンの追加を前提とした部屋に間仕切り壁のみを設置する場合は、費用が安く済みます。反対に、部屋を増やす際に電気工事や配管工事などが必要な場合は、費用が高くなりやすいです。
【費用の目安】
- 壁のみを作る場合:約13〜15万円(8畳程度)
- 電気工事も行う場合:約33〜40万円(8畳程度)
【工事期間の目安】
- 約3〜6日
【こんな人におすすめ】
- 子ども部屋を作りたい人
- 10~12畳程度の広めの部屋がある人
1-1-2.②ロフトを作る
「部屋を増やしたいけど、自宅の床面積が足りない」という場合は、ロフトを設置する方法もあります。
ロフトは2階建ての家であれば2.5階に相当するフロア。天井が低くなるため大人にとっては狭いですが、育ち盛りの子どもにとってはそれほど圧迫感なく過ごせる空間です。秘密基地のように遊べるため、子どもには人気があります。
8畳の部屋を4畳ずつに分割すると1部屋が狭くなりますが、4畳ほどのロフトを設置することでスペースを有効活用できます。子どもが巣立ったあともロフトは収納スペースとして使いやすいのが魅力です。
【費用の目安】
- 約50~100万円
【工事期間の目安】
- 約4~6日
【こんな人におすすめ】
- 子ども部屋を作りたいけど家の広さが足りない人
- 収納スペースとなる部屋を増やしたい人
1-1.増築で部屋を増やす方法
すでにある建物に床面積を追加して部屋を増やす方法は、以下の4つが挙げられます。
自宅の広さは限られているように感じますが、実は使われていない空間も多いもの。庭や駐車場、2階のベランダや吹き抜け部分などに空きスペースがあれば、部屋を増築できます。
1-2-1.③駐車場や庭の余った敷地を部屋にする
建物横の駐車場や庭のスペースが余っている場合は、空いた敷地に部屋を増築するのも1つの手です。
ただし駐車場はコンクリート舗装なので、そのまま壁と天井を作るだけでは居住空間として成り立ちません。床下の基礎工事から必要となるため、費用は高額になりやすいです。
一方で、1階に部屋を増築すれば、外から直接入室できるスロープの設置もしやすいのがメリット。バリアフリーの介護部屋を作りたい場合に適しています。
【費用の目安】
- 簡易な部屋を作る場合:約100~190万円
- 断熱材を入れて居住空間を作る場合:約200~300万円
- バリアフリーの本格的な居住空間にする場合:約500~800万円
【工事期間の目安】
- 約1ヶ月
【こんな人におすすめ】
- バリアフリーの介護部屋を作りたい人
- アトリエや事務所を作りたい人
- ペット用の個室を作りたい人
1-2-2.④吹き抜け部分に部屋を作る
吹き抜けがある家の場合、吹き抜け部分に床や壁を設置することで部屋を増設できます。
吹き抜け部分を部屋にリノベーションするには、床だけを設置する方法と、床と間仕切り壁を設けて完全な個室を作る方法の2つあります。どちらを選ぶかで費用や工事期間が異なるため、確認しておきましょう。
ただし吹き抜けをなくして床を作ることで、1階が暗くなったり開放感が低下したりする可能性があるため注意が必要です。その場合は、2階の床を1段上げて1階の天井を高めに設置することで解消できます。
【費用の目安】
- 床だけを設置:約30~60万円(6畳程度)
- 完全な個室を増設:約150~200万円(8畳程度)
【工事期間の目安】
- 床だけを設置:約5〜8日
- 完全な個室を増設:約1ヶ月
【こんな人におすすめ】
- 作業部屋や書斎を作りたい人
- 子ども部屋を作りたい人
- 納戸や収納スペースを作りたい人
1-2-3.⑤車庫の上に部屋を作る
建物の外に車庫がある場合、車庫の上に部屋を増築することが可能です。しかし、車庫の屋根は耐荷重が足りないため、補強工事が必要になるのが注意点。
また車庫の上に部屋を作る場合は、1階が大きく開くため、冬場は床下から冷えやすいです。車庫の天井部分や2階の床下部分に断熱材を入れることをおすすめします。
費用は高額になりやすいものの、車庫に車2台分のスペースがあれば2階には広い部屋を増築できるのがメリットです。
【費用の目安】
- 約400〜550万円(1坪30万円)
【工事期間の目安】
- 約2ヶ月半(車2台分ほどの広さ)
【こんな人におすすめ】
- 作業部屋や書斎を作りたい人
- 子ども部屋を作りたい人
- 2部屋増やしたい人
1-2-4.⑥ベランダやバルコニーを部屋にする
広いベランダやバルコニーがありながら持て余している場合は、スペースを有効活用して部屋を増やすことが可能です。
部屋と接している壁や窓を取り払って、天井・壁・窓を新たに設置することで、隣接している部屋を拡張できます。拡張した部屋に間仕切り壁やドアを取り付ければ、新たな1部屋が追加可能です。
ただしベランダは耐荷重が小さいことが多く、増築に耐えられる強度が足りない可能性があります。ベランダを部屋にする場合は、事前に依頼先に相談が必要です。
【費用の目安】
- 約50~70万円(2畳程度)
- 約70~120万円(3畳程度)
- 約130万~180万円(6畳程度)
※補強工事が必要な場合は追加で約10万円
【工事期間の目安】
- 約10〜14日
【こんな人におすすめ】
- 作業部屋や書斎を作りたい人
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建ぺい率や容積率の問題で増築できないケースに注意
上記で増築によって部屋を増やす方法を4つ紹介しました。
この方法で部屋を増やそうと思っても、そもそも建ぺい率や容積率の問題で実施できない場合があります。
- 建ぺい率:敷地面積に対して法的に可能な建築面積の割合
- 容積率:敷地面積に対して法的に可能な延べ床面積の割合
土地ごとに建ぺい率や容積率が定められており、決められた面積を超える増築はできません。一般的に、建ぺい率は30〜80%、容積率は50〜1300%の範囲で設定されています。
例えば、敷地面積が100平方メートルで建ぺい率が50%の場合、1階の床面積は50平方メートルが限度です。敷地面積が100平方メートルで容積率が100%の2階建てを増築する場合は、1階と2階の床面積の合計が100平方メートル以内に収まることが条件です。
もし規定の面積を超えて増築すると、行政から指導が入ったり、違法建築の場合は罰則を受けたりする可能性があります。
土地の建ぺい率や容積率は、市区町村役場の建築指導課や都市計画課に問い合わせることで確認できます。リノベーション前に必ず確認しておきましょう。
リノベーションで部屋を増やすデメリット
子ども部屋や仕事部屋といった目的別の部屋を増やすことで、家族が快適に過ごしやすくなります。しかし、もし部屋を増やすことによる弊害があるなら事前に知っておきたいですよね。
ここでは、リノベーションで部屋を増やすデメリットを5つ紹介します。
部屋を増やして後悔しないために、しっかりと確認しておきましょう。
3-1.10平方メートル以上の増築は確認申請が必要
建ぺい率や容積率は問題なくても、増築する面積が10平方メートル以上の場合は、自治体への届け出が必要です。この増築に必要な届け出を「確認申請」と言います。
確認申請には「確認申請・中間検査・完了検査」の3段階あり、それぞれに費用がかかります。具体的な費用は自治体によって異なりますが、30平方メートル以内の増築でかかる確認申請の費用目安は次の通りです。
【確認申請の費用目安(30平方メートル以内の場合)】
- 確認申請:5,600円程度
- 中間検査:9,900円程度
- 完了検査:9,900〜11,000円程度
確認申請は安くても2万円以上の費用が発生します。さらに、建築士に確認申請の書類作成を依頼する場合は、15〜30万円程度かかります。
また必要な確認申請を怠ると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。このように、増築するとリノベーション費用以外にもお金がかかるのはデメリットの1つです。
3-2.増築すると固定資産税が上がる
増築によって床面積が増えると、固定資産税が増える可能性が高いです。
固定資産税の金額は、自治体が土地や家屋を評価して決まる課税標準額に税率(1.4%)をかけて求められます。家を増築した場合は新たに評価が行われ、大体のケースでは課税標準額が上がります。
サンルームの追加や1部屋増やす程度の増築であれば、固定資産税が驚くほど高くなることはありません。増税の目安は約数千円〜2万円程度です。
ただし固定資産税が上がると、毎年の支払いが増えるため覚えておきましょう。
3-3.工事中の仮住まいが必要になることもある
リノベーションで1部屋増やすだけであっても、工事期間の仮住まいが必要なケースもあります。
リノベーションする部屋の位置によっては居住空間の移動が難しくなったり、工事中は騒音が発生したりと、住み続けるにはストレスが大きいです。工事期間は2ヶ月以上の長期に渡ることもあります。
仮住まいに引っ越す場合、家賃の支払いが発生するのがデメリット。1LDK・2DKの家賃相場は、東京23区で約15万円、大阪・名古屋で約7.5〜8万円です。仮に2ヶ月賃貸(東京23区)に仮住まいした場合、リノベーション費用とは別に約30万円もの支払いが必要になってしまいます。
仮住まいが必要かどうか判断するには、工事の前に工期や騒音のレベルなどを業者に確認してみてください。もし住み続けるのが難しければ、早めに近所のアパートなどを探しておきましょう。
3-4.子ども部屋を作ったことで家族間のコミュニケーションが減る可能性がある
子どもがある程度年齢を重ねたら子ども部屋が必要と考えるのが一般的ですが、子ども部屋を人数分用意するのが必ずしも正解とは限りません。
勉強に集中するために部屋を作っても、ゲームや動画などに時間を費やして勉強が捗らないこともあります。また子ども部屋があると、子どもは食事をした後すぐに自分の部屋に戻ってしまい、家族間のコミュニケーションが減少しがち。
子ども部屋を作ったことで家族の関係性に変化が及ぶ可能性があることも知っておきましょう。
3-5.部屋を使わなくなったとき間取りが不便になる可能性もある
部屋を増やしても、数年後に部屋を使わなくなり、部屋が余ってしまう可能性もあります。
3人兄弟の子ども部屋を作った数年後、子どもが巣立って使わない部屋が増えてしまうのはよくあることです。その場合「狭い部屋ばかりで他の用途で使いにくい」という事態に陥ることも。
ベランダや吹き抜け、庭を潰して部屋を作ったものの、後々圧迫感が気になったり、不便に感じたりすることもあります。
今は追加で部屋が必要でも、いずれ不要になる可能性があることも考慮したリノベーションの計画が重要です。
>>関連記事:リノベーションの後悔「あるある」6事例|失敗しないための中古物件リノベのポイント
代替案も考えた上で部屋を増やすか判断しよう
家を増築すると確認申請が必要になったり、固定資産税が上がったりするデメリットがあると分かりました。間取り変更で部屋を増やした場合も、必ずしも子どもや家族にとってプラスになるとは限りません。
リノベーションで部屋を増やすか決める際は、代替案まで考えた上で判断しましょう。例えば、以下のような代替案で解決できる場合は、部屋を増やさないという選択肢もあります。
- 部屋の代わりに専用コーナーを作る
- 1部屋を2〜3人でシェアする
- カーテンや棚で部屋を仕切る
1つずつ紹介するので、家族にとって最善な方法は何か考えてみましょう。
4-1.部屋の代わりに専用コーナーを作る
「子どもが勉強に集中できるように子ども部屋を作りたい」「リモートワークのための仕事部屋が欲しい」という場合は、部屋を作らなくても専用コーナーの設置で対処できるかもしれません。
例えば、リビングやダイニングを本棚で仕切って、壁に向けてデスクを置くことで、勉強や仕事に集中できるスペースが作れます。
▼ワークスペース作成例
子どもの成長を考えて、勉強以外をするスペースを確保したい場合は、次のような専用コーナーを作るのもおすすめです。
- 子どものおもちゃや学用品をお片付けする収納コーナー
- 周囲から見えにくい着替えコーナー
- 1人で好きなことに没頭できる遊び場コーナー
子どもの年齢や目的、家の環境にもよりますが、簡易なアレンジで悩みを解決できることもあります。
専用コーナーで対処できれば、リノベーションほど費用がかからず経済的です。部屋を増やす代わりの方法として検討してみましょう。
4-2.1部屋を2〜3人でシェアする
6〜8畳程度の1部屋を兄弟姉妹で共有する家庭も多いです。
1部屋をうまく2〜3人でシェアするには、次のような方法があります。
- ロフトベッドの下に勉強机を設置する
- 勉強机を横並びにして空間を有効活用する
- 2段ベッドを部屋の中央に置いて空間を区切る
特に兄弟同士や姉妹同士であれば、1人1部屋は必要ないケースも多いです。部屋を増やさずに共有部屋で対応できないか検討してみましょう。
4-3.カーテンや棚で部屋を仕切る
プライベートを重視して部屋を区切りたい場合は、リノベーションで壁を作る代わりに、カーテンやパーテーションで間に合うケースもあります。
例えば、次のような方法で1部屋を2部屋に区切ることが可能です。
- アコーディオンカーテンを設置
- 突っ張り棒でカーテンを取り付ける
- キャスター付きのパーテーションを設置
- 背の高い本棚やタンスで空間を仕切る
カーテンや棚を設置することで視覚的に遮られるため、隣に家族がいても勉強や趣味に集中しやすくなります。子どもが思春期や反抗期を迎えても、ストレスなく過ごしやすいでしょう。
このような方法を使えば、リノベーションで部屋を増やさなくても、家族が快適に過ごせる空間を作ることが可能です。デメリットや代替案を考慮した上で、部屋を増やすかどうか判断してくださいね。
ライフスタイルの変化を前提としたリノベーションがおすすめ
デメリットや代替案を考慮した上でリノベーションを決めたら、ライフスタイルの変化を計算して計画を立てましょう。
家族のライフスタイルが変われば、過ごしやすい空間の在り方や最適な部屋数は変化します。将来を見据えつつ現在の生活しやすさも犠牲にしないリノベーションが重要です。
目先の必要性だけで部屋を増やしてしまうと「2.リノベーションで部屋を増やすデメリット」でお伝えしたように、将来的に無駄な部屋が生まれて生活が不便になるリスクがあります。その際に再び改築や減築が必要となれば、大掛かりなリノベーションで費用がかさむことも考えられます。
ライフスタイルの変化に応じて家族みんなが快適に暮らすためのポイントは次の2つです。
- 本当に今必要な増築か見極める
- 間取りに可変性を持たせておく
現時点の過ごしやすさと将来的な部屋の利活用の両方を考えて、ベストなリノベーションのポイントを理解しておきましょう。
5-1.今必要ない部屋を増やすのは避けよう
もし「子どもが大きくなったときのために部屋を用意しておこう」「家が老朽化してリノベーションをするから、ついでに部屋を増やそう」と考えているなら、少しお待ちください。
敷地面積が広くてスペースが余っているのであれば問題ありませんが、多くの場合は限られた面積の中で、他の部屋の広さと調整しながらスペースを確保することになるでしょう。
家族のためにリノベーションするのに、今使わない部屋を増やしたことで「リビングが狭くなってしまった」「ダイニングが窮屈で人がスムーズにすれ違えない」となれば本末転倒です。
部屋を増やすリノベーションは、実際に部屋が必要になってからでも遅くありません。まずは家族構成や子どもの年齢に合わせて、今ベストな間取りはどのような形か、本当に今リノベーションが必要か考えてみましょう。
5-2.可変性のある間取りにすると快適かつ低コスト
リノベーションをするなら、今部屋を増やす場合と後から部屋を増やす場合のどちらであっても、可変性のある間取りにするのがおすすめです。
可変性のある間取りには、以下のような例が挙げられます。
【将来的に部屋を増やすケース】
- 広いリビングを作り、必要なタイミングで壁を設置して子ども部屋を作る
- 広い子ども部屋に出入り口や窓、照明を2つずつ取り付けておき、成長に合わせて壁を作る
【将来的に部屋を減らすケース】
- 壁を撤去するだけで広いワンルームにできる構造にする
あらかじめ部屋数の変更を想定しておくことで、必要なタイミングで低コストなリノベーションが可能になります。
例えば1部屋を2部屋に分割する場合の費用は、先ほども紹介した通りです。
- 壁のみを作る場合:約13〜15万円(8畳程度)
- 電気工事も行う場合:約33〜40万円(8畳程度)
後から部屋を増やすことを想定して設計しておけば、間仕切り壁を設置するだけでリノベーションが完了します。したがって費用が半分以下で済む可能性が高いです。
そして部屋が不要になったときは、10〜20万円程度で壁を撤去できます。
可変性のある間取りにすることで、ライフスタイルに合わせた臨機応変なリノベーションがしやすくなります。リノベーションで部屋を増やす場合は、家族の生活の変化を前提として計画を立ててくださいね。
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可変性を持たせたリノベーションの事例
リノベーションするときは、部分的な改築かフルリノベーションかを問わず、あらかじめ将来的な間取りの変更を想定しておきましょう。
ここでは、可変性を持たせたフルリノベーションの事例を紹介します。
家族が増えたり、子どもが成長したりして個室が必要になったタイミングで部屋を増やすことを検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
■CAMP HOUSE〈埼玉県〉72㎡
- 専有面積:72.80平米
- 築年月:1981年1月
家族が増えても対応できるよう、ゆとりのある間取りに設計されています。
今回のリノベーションでは寝室の横に部屋を作らず、作業スペースを設置。将来的に部屋が必要になったら、壁を取り付けるだけで個室を作れます。
リノベーションの詳細はこちらの記事をご覧ください。
■キューブと団らん〈東京〉 78㎡
- 専有面積:78.00平米
- 築年月:1974年 3月
小さな子どもが走り回れる回遊性と抜け感を意識してリノベーションされています。
子どもが成長して部屋が必要になれば、個室を増やすことも可能です。
リノベーションの詳細はこちらの記事をご覧ください。
■おもいやりのインナーテラス〈神奈川県〉59㎡
- 専有面積:58.80平米
- 築年月:1982年 9月
開放感抜群のフローリングから続く土間がポイント。将来家族が増えたときに、部屋を増やせるようにスペースを確保しています。
現時点では、寝室をカーテンで区切り開放感を重視。将来部屋を追加することを想定し、ベッド横に開口部を設けて、扉に変えられる設計になっています。
リノベーションの詳細はこちらの記事をご覧ください。
ゼロリノベが手掛けたリノベーション事例を確認したい方はこちらで検索してください。
まとめ
リノベーションで部屋を増やす方法は、主に次の6つです。
- 1部屋を2部屋にする
- ロフトを作る
- 駐車場や庭の余った敷地を部屋にする
- 吹き抜け部分に部屋を作る
- 車庫の上に部屋を作る
- ベランダやバルコニーを部屋にする
ただし家の敷地面積の変更を伴う増築には条件があり、固定資産税が上がる可能性もあります。間取りの変更によって部屋を増やす場合も、長く住み続けることを考えると家族にとって必ずしもプラスになるとは限りません。
部屋を増やすかどうかは、模様替えや部屋の共有で対処できないか検討してから決めましょう。
年月が経てば、家族のライフスタイルは変化するものです。実際にリノベーションする場合は、現時点の過ごしやすさと将来の生活の両方を考えて、可変性のある間取りにすることをおすすめします。
本記事を参考に、家族みんなが快適に過ごせる住まい作りを実現してくださいね。