子育てしやすい家にリノベーションする4つのポイントと公的支援制度
「子育てしやすい家にリノベーションするためのいいアイデアを知りたい」
「できるだけ費用の負担を抑えてリノベーションしたい」
このように考えてはいませんか?
子どもが生まれ、これからの生活を考えたとき、子育てしやすい環境にするためにリノベーションを検討する人は少なくありません。子どもと過ごす空間が、少しでも快適なものになるような、工夫を凝らした家づくりをしたいですよね。
そこで今回は、子育てしやすい家にリノベーションするときのポイントを、「間取り」と「素材」の2つに焦点をあてて解説します。
また子育てにお金をかけられるよう、少しでもリノベーションの費用を抑えるために、知っておきたい公的支援制度も紹介します。
「子どもがいてもおしゃれで素敵な家に住みたい」
子育て世代のそんな願いを叶えるリノベーションを、ぜひ実現させましょう!
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
子育てしやすい家にリノベーションするときの間取りのポイント
「子育てしやすい家」を意識してリノベーションするためには、押さえておきたいポイントが4つあります。
- リビングとキッチンを対面にする
- 子どもの成長を見据えた間取りにする
- 収納スペースを増やして配置を工夫する
- 水回りをコンパクトにまとめる
それぞれどのような内容かを紹介します。
1-1.リビングとキッチンを対面にする
子育てのしやすさを重視してリノベーションするときには、リビングとキッチンを対面にするのがポイントです。
日本では、壁に向かって立つ壁付きキッチンが主流でしたが、近年は対面キッチンを選ぶ人が増えました。2017年にリンナイ公式部品販売サイト「R.STYLE(リンナイスタイル)」が実施した「キッチンスペースに関する意識調査」の結果でも、理想のキッチンスタイルについて「カウンター型」と答えた人が35.0%、「アイランド型」は25.7%と、対面式キッチンの人気が高いことが分かります。
とくに小さな子どもがいる家庭では、料理で目を離している間に、何か危険なものを触らないか、おもちゃを飲み込んでしまわないかと気になる人が多いでしょう。そういったときでも対面キッチンのLDKだと、子どもの様子を見守りながら料理できるので安心です。
また、子どもにとっても、親の顔が見えるのは精神的な安心感を得られます。子どもが小学生になったときには、対面キッチンのカウンターで宿題をすれば、ママが料理している間に学校であったことを話したり、勉強でわからないところを聞いたりできます。事例のように、子どもが使いやすいよう、カウンターの高さを低くしておくのもおすすめです。
中高生で会話が減る年齢になっても、互いの姿が見えるところで過ごす時間は、安らぎと家族の絆を感じられる、何よりも貴重なものとなるでしょう。
【出典】
Rinnai「【熱と暮らし通信】「キッチンスペース」に関する意識調査」
1-2.子どもの成長を見据えた間取りにする
子育てを意識したリノベーションをするときには、子どもの成長を見据えて可変性の高い間取りにしておくことも大切です。
今は小さな子どももやがて成人し、いつかは家を出ていってしまうものです。
それでも20年前後は、同じ家で暮らすご家庭が多いでしょう。その20年の間にも、子どもは肉体的・精神的に大きく成長していきます。
限りある子育て期間を柔軟に、そして子どもと家の成長をワクワクしながら楽しめるように以下のような有効活用しやすい間取りにしておくのがおすすめです。
1-2-1.可動式の間仕切り壁などで部屋を区切る
子どもが小さな間は、リビングのすぐ横の部屋を子ども部屋にしておけば、子どもの様子を見ながら家事をこなすことが可能です。
リビングとの間は可動式の間仕切り壁にしておけば、子どもが小さいうちは開け放ち、成長したら間仕切って個室に変更できるのでおすすめです。
子どもの人数によっては、さらに子ども部屋の中にも可動式の間仕切り壁を設けておけば、個室を持ちたがる年齢になったときに簡単に部屋を区切れます。
子どもが成長して独立したあとは、間仕切り壁を取り払えば、広いLDKへと簡単にリフォームできるのもポイントです。
1-2-2.ロフト収納を将来の子どもの遊び場に
ロフトの下のスペースに壁を設置すると、ちょっとした小部屋になります。
こちらの事例では、現在は収納として活用中。子どもが成長したら開放し、遊び場にする予定です。秘密基地のような空間は、きっと子どもたちのお気に入りのスペースになるでしょう。
小学生低学年ぐらいまでは、子どもの個室に使っても良さそうです。リビングと一体感があるので、個室で勉強していても、さみしさを感じることがありません。
家の中にこういった、多用途で使える空間があると、子どもの成長にあわせていろいろ活用できて便利です。
1-4.収納スペースを増やして配置を工夫する
子育てしやすい家を意識してリノベーションするときには、配置を工夫して収納スペースを多く確保しておくことも大切です。
子どもがいると、家にものが増えがちです。小さなころはおもちゃや絵本。学校に行き始めると学用品やスポーツグッズ、習い事の道具など、どんどんものがあふれて収拾がつかなくなってしまいます。
せっかくおしゃれにリノベーションしても、いつも乱雑に散らかっているようでは残念ですし、教育上よいとは言えないですよね。
片付いてすっきりした家にするには、家全体の収納力を上げたうえで、子どもでも簡単に片付けできる仕組みを整えておくのがおすすめです。
かといって家具を増やしてしまうと空間が狭くなってしまいます。間取りから考える収納の工夫には、以下のようなものがあります。
1-4-1.ロフトや小上がりを設置
縦空間を活かし、ロフトや小上がりを設置するのは収納力を大きく上げるおすすめの方法です。
ロフトを子ども部屋にしてしまえば、おもちゃがリビングにあふれることはなくなります。また小上がりの段差に引き出しを設けたり、畳や床を跳ね上げるようにしたりすることで、小上がりの面積分の広い収納を確保できます。
子どもが自分で収納できるようにするには、造作家具は背の低いものにしてもらう、扉を開けたり手前のものをどけたりする手間が不要で、ワンストップで片付けできるようにするといった工夫が必要です。
1-4-2.玄関に広めの土間収納を配置
玄関には、ウォークインタイプのシューズクローゼットなど、広めの土間収納を検討しましょう。育児中はベビーカー、子どもが大きくなるとキックボードや三輪車、野球道具やサッカー道具など、家の中には入れたくないものが増えてきます。そんなときでも、広い玄関収納があると便利です。
シューズクローゼットから洗面所へと直接ウォークスルーできる配置にしておけば、上着や帽子を脱ぎ、手洗いうがいをすませてから家に入れるようになります。
1-4-3.水まわりをコンパクトにまとめる
トイレや浴室、洗面所、ランドリースペースといった水回りは、近くにまとめるコンパクトな設計にすることも、子育てしやすい家にリノベーションするポイントです。
子育て中は、親の家事の負担も大きくなりがちです。1日に何度も行き来する水回りが離れて設置されていると、移動距離が延び、子どもから目を離す時間も長くなってしまいます。
その点水回りがコンパクトにまとまっていると、家事動線が良くなり最短距離で行えるので時短になります。ランドリースペースで洗濯し、湿って重くなった洗濯物は、持ち運ぶことなく浴室乾燥機の備わった浴室に干すようにすれば効率的です。
子育てと家事、そして仕事を両立させるには、少しでも家事の負担を減らすことを考えましょう。
子育てしやすい家へのリノベーションにおすすめの素材
子育てしやすい家にリノベーションするときには、内装に使用する素材にはできるだけ自然なものを使いたいと考える人が少なくありません。
とくに床は毎日触れるものです。ハイハイするような小さな子どもがいても安心できる、手触りのいい床材を使うと気持ち良く過ごせます。
またマンションの場合には、子どもが騒ぐ音が下階や隣接する住戸に響かないよう、十分配慮する必要があります。そんなときには吸音材や遮音マットを使うことを検討すると良いでしょう。
ここでは子育てしやすい家に使用するのにおすすめの素材を3つご紹介します。
2-1.無垢材
無垢材は、100%天然木を使用した素材を指します。複数の板を接着剤で貼り合わせて作られる合板とは違い、人体にやさしい素材です。子どもを含め、家族が健康に暮らしやすい素材であるうえ、ナチュラルな雰囲気を演出できることから子育て世代に人気です。
無垢材には、以下のような特徴があります。
- 湿度が高いと水分を吸収し、乾燥すると吐き出す調湿作用がある
- 断熱性が高く、冬でもひやっとしない
- ダニやカビの発生を防ぐ精油が含まれる
- 化学物質を含まない
- メンテナンス次第では耐用年数が30年以上と長い
これら無垢材の特徴を最大限活かすには、面積の広い床にフローリングとして使用すると効果的です。耐用年数が長いことから、子どもの成長とともに、だんだんあめ色に変化していくのを楽しめるのも無垢材のメリットです。
2-2.漆喰や珪藻土
漆喰(しっくい)や珪藻土(けいそうど)は、自然素材を用いた塗り壁材を指します。
漆喰も珪藻土も自然素材であり化学物質を含まないため、子育て世代で無垢材とあわせてよく使用されます。漆喰と珪藻土には、以下のような特徴があります。
- 多孔質(小さな穴がたくさんあいている)であるため調湿・消臭作用がある
- 耐火性が高く、燃焼による有害物質を発生しない
一方漆喰や珪藻土は、吸水性があるためシミになりやすいのが気になります。ただし漆喰や珪藻土の壁は、よほど状態が悪くなければ上から重ね塗りが可能です。子どもが成長して家を汚さない年齢になったら、家族でDIYして塗り直すのもおすすめですよ!
2-3.吸音材や遮音マット
元気に走り回る子どもがいる子育て世代は、吸音材や遮音マットを採用することで、近隣トラブルを防げます。
住宅地やマンションなどでは、生活音には十分な配慮が必要です。赤ちゃんの夜泣きや子どもの声、親が叱るときの声などを「騒音」と捉えられ、トラブルに発展するケースは珍しくないためです。
多少のコストを投じても、一定の騒音対策を施しておくと、のびのびとした子育てができるようになります。
吸音材も遮音マットも、上に仕上げ材を張ることから、家自体のデザイン性を損なう心配もありません。
子育てのためのリノベーションに対する公的支援制度
子育てのために持ち家をリノベーションするときには、公的支援制度を活用できる場合があります。ここでは利用できる可能性がある制度を、いくつか紹介していきます。
3-1.補助金
地方自治体によっては、子育て世帯を対象に、リノベーションへの金銭的補助を行っているところがあります。たとえば神戸市の例では、子育て世帯をサポートするために「神戸市子育て支援住宅取得補助制度」を提供しています。
【出典】神戸市「神戸市子育て支援住宅取得補助制度」
住んでいる、あるいはこれから住む予定をしている自治体で、同様の制度を提供していないかチェックしてみましょう。
なお一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が提供している「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」では、各地方自治体の住宅リフォーム関連の支援制度を検索・確認が可能なので、活用すると良いでしょう。
参照:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和3年度版)」
3-2.減税
子育て世代がリノベーションしたときには、減税を受けられる可能性もあります。一定の条件を満たせば、以下のような制度を活用して減税できるかもしれないので、対象とならないか確認するのがおすすめです。
3-2-1.贈与税の非課税措置
贈与税の非課税措置は、親や祖父母など直系尊属から住宅取得資金などの贈与を受けてリノベーションしたときに、一定の上限額まで贈与税が非課税とされる制度です。
3-2-2.住宅ローン控除(減税)
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホームを取得したときに、毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうち、いずれか少ない方の金額から一定の割合で一定期間所得税が控除される制度です。
中古戸建てや中古マンションの購入や、増改築などをした場合の2022年4月以降に予定されている住宅ローン控除の適用内容は以下の通りです。
【出典】財務省「令和4年税制改革の大綱」
3-2-3.固定資産税の減税
以下のようなリノベーションであれば、固定資産税の減税につながる場合もあります。対象とならないか、チェックすることをおすすめします。
【出典】一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォーム減税制度の概要」
まとめ
子育てしやすい住まいにリノベーションするときには、
- 子どもの成長にあわせて間取りを変えられる工夫をしておく
- 部屋をすっきりと片付けられるよう収納を多めに確保しておく
- 見えない部分に防音をほどこし、見える部分には安全な自然素材を使用する
といった工夫をすると、子どもと一緒に成長する、子育てのしやすさとデザイン性を両立させた住まいを実現できます。
その際自治体の補助金や、減税制度の条件にマッチすれば、リノベーションの費用を抑えることもできるので、しっかり調べて賢く活用しましょう。
なおゼロリノベでは、「物件探し×リノベーション」「ご自宅をリノベーション」の2つのコースをご用意しています。さらにそれぞれ「フルリノベーション」と「部分リノベーション」の2つのプランからお選びいただけます。
さらに工事費用に関しては、施工面積に応じて基本のリノベ料金が決まる明瞭な料金制度を導入。家族の成長にあわせてあとから変えられる間取りや、大容量の造作収納など、子育てに人気のプランを予算にあわせて実現できます。
ご自宅のリノベーションにはぜひゼロリノベをご検討ください。