リノベーションで快適な家事動線・生活動線をつくる3つのコツ【事例付き】
快適な暮らしを実現するポイントのひとつに「動線」があります。「家事動線がよい家は機能的」などという話はよく耳にすることがあるでしょう。
動線とは部屋から部屋への移動経路を指しており、動線がスムーズなほどストレスの少ない快適な暮らしが生まれます。
リノベーションをするなら、できるだけ機能的な動線にもこだわった間取りを計画したいという方も多いと思います。
とはいえ、動線のよい家を計画するにはどうすればよいか自分ではなかなかうまく計画できないものです。
そこで今回は、
- リノベーションで確保できる動線について
- 快適な動線をつくる3つのポイントと注意点
- 機能的な動線を実現したリノベーション事例
などをご紹介します。
動線は暮らし方の付加価値を高める重要な要素なので、ご自身のリノベーション計画にお役立てください。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
リノベーションで確保できる動線とは?
リノベーションで確保できる動線の種類についてご紹介します。
1-1.動線の種類
動線は主に「家事動線」と「生活動線」の二つに大別されます。
<家事動線>
家事動線とは、家事をするときの移動経路のことです。たとえば、キッチンで料理をしてから洗濯機を回しに洗面所に行く際に利用する移動経路は家事動線です。
良い家事動線が確保された住まいは、無駄な移動経路がなくスムーズに次の動作に移れるため、効率的に家事を進められます。
<生活動線>
生活動線は、家事以外の日常生活で利用する移動経路のことです。たとえば、リビングから浴室への移動経路、寝室から洗面所までの移動経路などです。
生活動線の計画は、間取りはもちろん家具の配置も影響しやすいため、しっかりとシミュレーションして計画することが大切です。
1-2.リノベーションで快適な動線をつくる4つのメリット
リノベーションで快適な動線をつくると、次のようなメリットがあります。
- 自宅が広く感じられる
- 室内をスムーズに動ける
- 時間を有効活用できる
- 人だけでなく光や風もまわる
[メリット1]自宅が広く感じられる
移動経路がスムーズな動線は、無駄な通りが少ないことにつながりますので、結果的に実際の面積よりも広々と感じられる効果が期待できます。
[メリット2]室内をスムーズに動ける
動きがスムーズだと、部屋から部屋に物を運ぶ負担が軽減できます。目的の部屋まで何度も角を曲がったり、扉の開閉があったりするとそれだけで時間のロスも生まれ、ストレスを感じることにもつながります。
[メリット3]時間を有効活用できる
短時間でスムーズな移動ができると、家事効率がよくなり生活の時間を節約できます。たとえば、キッチンと洗面所の動線をスムーズにすれば、湯沸かしの待ち時間に素早く洗濯機を回しに行くなど、「ながら家事」もしやすくなります。
時間にゆとりが生まれた分、ダイニングやリビングでお茶を飲んだりリラックスする時間が取れて心身の安定にもつながります。
[メリット4]人だけでなく、光や風もまわる
スムーズな動線は、人の動きも良くなりますが同時に光や風も通りやすくなります。暗くこもりがちな場所が生まれにくいため、湿気やカビの発生が軽減され、いつも清々しい空気感を感じることができます。
リノベーションで快適な動線をつくる3つのポイントと注意点
リノベーションで快適な動線をつくるためには、次のようなポイント・注意点が挙げられます。
- 家事動線と生活動線のバランスを取る
- 住宅の構造や規約を事前に確認する
- ドアや壁以外で空間を仕切る工夫
2-1.家事動線と生活動線のバランスを取る
家事動線と生活動線は、どちらかに偏った計画をするのではなくバランスを取ることが大切です。
なぜなら、家事動線を重視するあまり、日常生活の動線が悪くなり、結果的に住み心地が悪くなることもあるからです。
家事と生活動線のバランスを取るポイントは、水まわりの動線を中心に、使う人や混み合う時間帯についてイメージしてみることです。
たとえば、朝の身支度の時間帯は、家族が洗面所やクローゼットまわりに集まりやすくなり、動線が一時的に交錯します。身支度が短時間で済むようにツーボールの洗面所にして、スペースを広くすることで、効率的な暮らしが実現できます。
スムーズな動線を考えつつ、家族全員がストレスフリーに暮らせる移動経路をバランスよく計画しましょう。
動線を考えるときは、各自が抱える生活の不満や希望を書き出し、事前に整理しておくと優先順位をつけやすいためおすすめです。
2-2.住宅の構造や規約を事前に確認する
中古物件のリノベーションで気を付けることは、構造や規約により工事の制限を受ける可能性があることです。
構造的な部分の例では、耐震性などの観点から取り壊すことができない壁や柱があったり、配管の移動に制限があり水回り設備が動かせなかったりなど、希望する間取りや動線が難しいケースもあります。
しかし、リノベーションでは一定の制限や条件下でプランを考えることがつきもので、そういった制約をいかにアイデアで払拭するかが醍醐味ともいえます。
構造上どのようなリノベーションが可能なのか自分で判断するのは難しいため、アイデアフルなリノベーション専門の会社に相談するのがおすすめです。
2-3.ドアや壁以外で空間を仕切る工夫を
動線のよい間取りを考えるとき、空間を壁やドア以外で仕切るというのもポイントです。壁やドアでしっかりと造り込んでしまうと、開放感や動線が分断される可能性ありますし、その分コストもかかります。
将来的な間取り変更にも柔軟に対応する意味でも、壁やドアは最低限の使用に済ませ、工夫やアイデアを生かして、ライフスタイルの変化に合わせられるような仕様がおすすめです。
快適な暮らしを叶えたリノベーションの動線・間取り事例
ここからは、機能的な間取り・動線を取り入れて快適な暮らしを叶えたリノベーション事例をご紹介します。
【事例1】緩やかにすべてが繋がっている可変性に富んだワンルームのような間取り
それぞれの空間を緩やかに仕切り、家族の気配を感じつつプライベートを確保したワンルームのような間取りに変えたリノベーション事例です。
<BEFORE>
<AFTER>
個室ごとに壁でしきられていた空間を、ストレートに配置した土間を中心として、空間を自由に行き来できる間取り・動線にしています。
個室の間仕切りは造作家具やカーテンを採用し、プライベート感がありながら光や風が通り抜ける開放感あるワンルームのようにすることも可能。遮るものがなくスムーズな動線が実現しています。
この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。
【事例2】土間が通路の役割になり回廊のように各空間をつなぐ
次の事例は、広く設けられた土間空間で部屋同士をつなぎ、壁や扉がなくストレスフリーな動線を実現したリノベーション事例です。
<BEFORE>
<AFTER>
個室で仕切られてた部屋の壁を取り払い、キッチンから洗面所、ウォークスルークローゼット、バスルームなどのエリアは広い土間にしました。それぞれの部屋がつながり機能的で回遊性の高い動線が実現しています。昔の日本家屋にも通じるようなスタイルです。
壁やドアなども出来るだけ少なくすることで、部屋から部屋への移動もスムーズです。風通しがよく視線も抜けて見晴らしもよいですね。
この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。
【事例3】テーラー仕様のWICを中心にスムーズな動線がつくられる
次の事例は、WICを介してぐるりと回遊しながら移動できる効率的な動線を実現したリノベーション事例です。
<BEFORE>
<AFTER>
壁で仕切られていた個室を、WICを中心にどの部屋からも自由に行き来できる間取りに変更。WICを広く確保して家族の洋服をまとめて収納でき、回遊性が高いため動線的にもスムーズです。
通り抜けられるWICは、身支度しながら移動できるため時間短縮にもつながります。ベビーカーも置ける広々した玄関収納とともに、使い勝手がよく収納力にもゆとりがあります。
この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。
まとめ
今回は、暮らしを快適にしてくれる動線について、「家事動線」と「生活動線」の概要やよい動線をつくるポイントなどをご紹介しました。
快適な動線のポイントとしては、家事動線と生活動線のバランスも取ることも大事であることもお伝えしました。どちらかに偏るとかえって暮らしにくくなる可能性があるため、気を付けたい点です。
また、住宅の構造や規約を事前に確認することも大切な部分です。「こんな動線にしたい」と思っても、できない可能性もありますので必ず確認しておきましょう。
工夫やアイデアがいっぱいの動線・間取りのリノベーション事例では、機能的でスムーズな動線のお住まいばかりでした。さまざまな間取りや動線が取り入れられるのがリノベーションの醍醐味ともいえるでしょう。
ゼロリノベでは、暮らしやすい生活動線や家事動線のご提案はもちろん、不安の多い資金計画や、物件探し、設計・施工まで、社内で一貫してサポートしているのが特徴です。社内で一貫してサポートすることで、無駄なコストや手間を省きつつ、ベストな資金&住まいを提案しています。
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