LDKを広くできる壁付けキッチン!アイデア満載4事例とリアルな利点
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
ご訪問ありがとうございます。ゼロリノベ編集部です。
リノベーション時に重要視されるスペースといえばLDK。なかでもキッチンは設計段階で施主の希望に基づき工夫が凝らされる場所です。
空間効率を左右するキッチンは、壁付けと対面式のアイランドがあります。
ここでは昔から多く採用されてきた壁付けキッチンのメリットを探るとともに、こだわりリノベーションで採用された事例を紹介します。
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壁付けキッチンとは
リノベーションする上で一番ワクワクしているのがキッチンです。
キッチンで過ごす時間は何かと長いですから、こだわりたい場所ですよね。今、お使いのキッチンで不満に感じていることや、理想のキッチン像はありますか?
今のキッチンもすごく使いにくいわけではないので不満はないのですが、悩んでいるんですよね、対面式のアイランドキッチンにするか壁付けのキッチンにするか。ショールームに行ってアイランドキッチンは散々見たんですけれど。
では、今回は壁付けキッチンについていろいろ見てみましょう。壁付けとは、背面キッチンとも言いますが、キッチン台が壁に付いているタイプを言います。
そのまんまですね。私の実家もそうですが、比較的古い家とか、団地など平米数が小さい物件は、壁付けキッチンが多いイメージです。
そうですね。その理由も含めて、壁付けキッチンの特長をみていきましょう。
壁付けキッチンのメリット
リビングダイニングを広く取れる
キッチン台が壁に付いているということは、部屋の端に配置されるということ。アイランドキッチンと違って、無駄なスペースを取られないので、リビングダイニングを広く取ることができます。
LDKは家族が集う場所だから、リノベーションするなら、特にリビングダイニングを広く取りたいというのは夫婦で一致している希望です。
リビングダイニングの広さは、ダイニングテーブルやリビングのソファなど、家具のサイズにも影響してきますね。
その他のメリットも知りたいです。
収納スペースを多く作れる
壁付けキッチンの場合、収納スペースが作りやすいという点も人気です。
収納はやっぱりたくさん欲しいな。例えば、吊戸棚とかですかね?
そうですね、シンクの上に吊戸棚を設置する設計は昔も今も多く見られます。ただ、今どきのキッチン台は収納力があるタイプがほとんどですので、吊戸棚までは必要ないという方は、オープン棚を設置して、見せながら収納を楽しむ方も多いですよ。
壁付けキッチンだからできる収納方法ですね。
窓があれば明るいキッチンになる
壁付けキッチン=(イコール)壁に向かって料理をするような、暗いイメージを持ってしまうような気もしますが、そういうわけでもないですよね?
窓がある壁側でしたら、特に明るくて気持ちのよいキッチンになりますよ。キッチン台の上、目線の高さの窓なら、外の景色を見ながらお料理できます。
サイドに窓が来る間取りもありますね。
その通りです。明るさの確保だけでなく、換気がしやすい、風通しのいいキッチンになるというメリットもあります。
多彩な間取りに対応できる
さまざまな部屋の形、間取りに対応が出来るのも壁付けキッチンの特長と言えます。
というと?
例えば部屋の角にL字で壁付けキッチンを配することもできますし、もっと変形の間取りでも壁に沿ってキッチンを配することができるということです。
なるほど、壁があればキッチンが作れるという考え方ですね。リノベーションの場合、ユニークな間取りも多いですしね。
料理に集中できる
料理をするスタイルにもよりますが、壁付けキッチンを採用される方の中には、「料理に集中できるから」という理由で選ばれる方も多くいらっしゃいます。
確かに、集中してチャーッと作りたいということもあります。朝の支度なんて特にですよね。冷蔵庫の配置などうまくすれば、2~3歩の横移動だけで済むから、料理がはかどりそうです。
家事の中でも料理は一日数回ありますから、使い勝手という点では何より重視したい項目といえますね。
アイランドキッチンの場合は、キッチン周りが広々しているからいいなと思うこともありますけど、くるくると結構動き回らなきゃいけない印象を持ったこともありました。
換気扇を設置しやすい
キッチンに必要な設備の中に換気扇があります。壁付けキッチンの場合比較的、換気扇を設置しやすいというメリットもあります。
ホントだ。オープンキッチンの場合は例えば天井が高かったりすると設置が難しいですね。
キッチン台もどんどん進化を遂げていて、手元に換気扇機能を備えたものなども出ていますが、従来の人気の換気扇は吊型のものが多いので、ここがネックになる場合もあります。
意外と見落としがちなポイントでした。
壁付けキッチンのデメリット
家族とのコミュニケーションがとりづらい
では今度は壁付けキッチンのデメリットもみてみましょう。もっとも多い意見は、料理中に家族とのコミュニケーションがとりづらいということです。
リビングに目線をやるには振り返らなければなりませんから、小さいお子様がいるご家庭などにはデメリットと感じられるでしょう。
たしかにそれはありますね。子どもはすぐにいたずらしたり、兄弟げんかをはじめますからね。まあ、目を配っていてもやる時はやりますけど(笑)。
リビングやダイニングとの距離にもよりますね。最近はダイニングで勉強されるお子さんも多いですから、さほど気にならないかもしれません。
キッチンが丸見えになる
壁付けキッチンの場合、リビングダイニングからキッチンが丸見えになりますよね。
そうですね。人は後姿になりますが、キッチン台の上は丸見えといえます。
オープンじゃないのに、結局そこはオープン。でも、まあ家族に隠れて食事の支度をしたいわけではないから、それはいいかな。
ゴミ箱などあまり見せたくないものの配置が気になりますね。ただ、最近はシステムキッチンにゴミ箱スペースを有するものも多いので、キッチン設備選びでカバーできそうです。
リビングの様子、テレビが見れない
コミュニケーションについて触れましたが、対面式キッチンの場合、料理しながらリビングのテレビが見れることをメリットにされる方もいらっしゃるようです。
うーん、それは正直どうでもいいかな。私は音楽かける派なので。あと、最近はスマホやタブレットを近くに置いて見る人のほうが多いですよね。
そうですね、これは、ライフスタイルによって家具家電の位置を皆さん決められますので、デメリットにはなりにくいかもしれません。
壁のデザインを楽しむ
ここまで伺ってみて、やはり一長一短ありますね。というか、十人十色という感じかも。インテリアとか空間として壁付けキッチンならではの楽しみとかあれば、もう一押しいただきたいところです。
壁付けキッチンを採用された方がよくこだわるのが、タイル選びでしょうか。
あ、それ、私もすごく気になります。
タイルの種類や色はとても多いので、キッチン台の上から棚の間を好きな色や柄にコーディネートして満足度の高いキッチンを作りあげていらっしゃるようです。
アイランドキッチンの場合も背面の壁をおしゃれなタイルで仕上げている事例を多く見ますけど、壁付けキッチンならより気分があがるはず。
なにかイメージされている色や形がありますか?
うーん、モザイクもいいし、大きいスクエアでマットな感じもいいんですよね。相当迷うだろうという自信はあります(笑)
カウンターで対面式キッチンを作る
とはいえ、アイランドキッチンへの憧れもなかなか払拭できないんです。やっぱり対面式っていいですよね。
壁付けキッチンを採用しつつ、対面式キッチンを作ることはできますよ。
それは?
カウンターを設置する方法です。つまり、シンクやコンロは壁付けキッチンで集中させて、カウンターはあくまで作業台や仕切りとしての役割りです。
ちょっとした目隠しにもなりますね。
はい。スリムなカウンターを設置して、バーカウンターのような役割を持たせて、簡単な食事はそこで済ませられるような設計にしている例もあります。
それ、おしゃれ!
扉をつけてキッチンをまるごと隠す
さきほど壁付けキッチンはリビングから丸見えという意見がありましたが、それ自体を隠す方法もあります。
LDKなのに?
LDKは基本的にはリビングダイニングとキッチンがひと続きのスペースをいいますが、建具を工夫し隠すことができます。引き戸を閉めればキッチン空間自体が隠せるようになる仕組みです。
それはいいですね~。来客がある時などは、やはりキッチンはあまり見せたくないというか、見せられない状態になりがちだし。
圧迫感が出ないように引き戸の一部に曇りガラスやチェッカーガラスをはめ込んだものなどを採用するのもよさそうです。
アイデア満載の4事例をご紹介
メリットデメリットをご紹介してきましたが、ここからは壁付けキッチンの事例をご紹介していきましょう。
楽しみです!
壁付けキッチン+カウンターのシンプルデザイン
48.6㎡の比較的コンパクトなお宅のキッチンです。
ステンレスで統一されたシンプルな壁付けキッチンですね。
カウンターを設けて、その並びにダイニングテーブルをつなげています。
うーん、これなら配膳もラクだし、リビングスペースとの仕切りの役割も果たしてますね。
カウンター下にダストボックスや家電を設置することで、生活感のあるものを目隠しする効果もあるようです。
小窓を設けたコンパクトな壁付けキッチン
壁に小窓がありますね。
こちらのお宅は、空間効率を意識した壁付けキッチンとシンプルなカウンターでキッチンルームを設けています。
床材をリビングダイニングと分けることでオープンだけど空間として仕切られているのがいいですね。
タイル使いで表情を見せる壁付けキッチン
わぁ~、タイルが素敵。こういう雰囲気も好きです。
手前にカウンターテーブルを置いていて、キッチン用品や食器もそこに収納しているそうです。
冷蔵庫はどこだろう?
コンロの並び、青い仕切りの横に設置されているので、横移動ですむ家事動線ですね。
目からうろこのあえて全部見せる壁付けキッチン
これまた潔い。大きな窓のある明るいLDKですね。
元はアイランドタイプだったキッチンをリノベーションして壁付けタイプにしています。
足元の収納も丸見えだけど、なんだろう、しばらく見てたら気にならなくなってきた。生活感をなくすことが必要なわけではないですもんね。
そうですね、住まい手の使いやすさが一番だと思います。オープン収納ですから出し入れしやすさを重視されたのではないでしょうか。
まとめ
壁付けキッチンと一口に言っても本当にいろいろなスタイルがありますね。見飽きないです。
アイランドキッチンと迷っていらっしゃるようでしたが、今回改めて壁付けキッチンを知っていかがでしたか?
私の料理の仕方や家族との時間の使い方を考えたら、壁付けのほうが現実的かなという気がしてきました。もちろん、物件の広さとか設計士さんと相談しながらですけど、しっかり悩んで決めていこうと思います。ありがとうございました。