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WIC(ウォークインクローゼット)の理想の間取りとは?種類や事例

間取りにWICを取れたいけど、どんな使い方だと収納力がアップするのか、また、使いやすい動線はどんな配置かなど、住まいの収納の中でもあれこれと悩むのがWICです。

「WICには、実際にどんなタイプがある?」
「たくさん収納できて、使いやすい間取りは?」

など、WICを取り入れる上で、このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

WICは収納力が高く、管理がしやすいため、人気の収納タイプです。
どれくらいの広さにするか、設置場所はどこにするかによって使い勝手に大きく影響するため、慎重に計画すべきスペースです。

広さがあればゆとりができてメリットにはなりますが、その分リビングなどの寛ぎ空間を圧迫してしまう恐れもあります。

そこで今回は、理想のWIC(ウォークインクローゼット)を間取りの取り入れるために、

  • WICのサイズと収納目安
  • 収能力を上げるWICのレイアウト方法
  • 使い勝手のよいWICの事例

などをご紹介します。

限られたスペースでゆとりあるWICを取り入れたいと考えている方は、レイアウトのポイントや実例などを参考にしてみてください。

この記事の監修者

一級建築士
西村 一宏

東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。

目次

WICのサイズと収納の目安

はじめに、必要なWICのサイズ感を知るために、WICのサイズごとの収納量の目安について解説します。

1-1.WICとは?

そもそもWICとはどのような収納なのか改めて確認していきましょう。

WICはウォークインクローゼットの略称であり、英語の「Walk-In Closet」の頭文字を取っています。間取り図などにも略称でWICと表記されることが多いです。

「ウォークイン」ですから、歩いて入ることができるサイズのクローゼットで、間取りにWICと表記されているときは、歩いて入れるサイズのクローゼットであると判断することができます。

WICは、主に衣類を収納するために使われますがスペースにゆとりがあるためWICを更衣室として利用することもあります。場所を移動することなく身支度ができるのは便利ですね。

1-2.【WICのサイズ別】収納量の目安

WICを間取りに取り入れるときは、どのくらいのサイズを確保しなければならないか、目安を知っておくことが大切です。

一般的に、一人当たりが所有する服の数の目安は次の通りです。

  • 男性 約50着
  • 女性 約100着
  • 子ども 約30~50着

上記では女性の服の数が男性よりも多くなっていますが、ライフスタイルにより異なる場合もあります。おおよその目安として捉えて、自分たちの家族数に当てはめてイメージしましょう。

所有する服の数を収納するためのサイズの目安は、次の表のとおりです。

サイズ 使用人数の目安 収納できる洋服の目安
2畳 夫婦2人 150着~200着
3畳 夫婦と子ども2人 250着~300着
4畳~ 家族5人~ 400着~

2畳のWIC

2畳は1坪サイズです。家族数でいえば夫婦や恋人など2人暮らしの衣類がちょうど入るくらいのサイズです。収納量としては150着~200着くらいが目安となるでしょう。

「衣類はそれほど多くない」という場合でも、2畳以下にすると「歩いて入る」という機能性が十分に発揮できなくなったり、収納の配置が上手くできずに収納量が思った以上に少なくなってしまったりします。WICを有効活用するなら、2畳以上は確保したいですね。

3畳のWIC

3畳は、夫婦と子ども2人ほどの家族数のサイズです。収納量としては衣類が250着~300着くらいが目安となります。

夫婦と子ども1人の3人家族の場合は、ゆとりがあるサイズとなるため、通路を少し広く設けたり、床に季節ごとに入れ替える荷物を置いたりするスペースを作る余裕もできます。

4畳以上のWIC

4畳を超えるとかなり大きなサイズとなり、ファミリークローゼットとしては大容量になります。衣類の収納は400着以上が目安となりますから、5人以上の家族でも十分にまかなえる収納量です。

4畳以上のWICでは、ハンガーや枕棚以外にも中央に収納ラックを設置できるゆとりがあります。また、クローゼット内を通り抜けできるウォークスルークローゼットとして、通路を広めに確保することもできるでしょう。

WICの間取り設計と収納力を上げるレイアウト

WICは同じサイズであっても、間取りの配置やレイアウト次第で使い勝手や収納力に差が生まれます。ここからは、理想的な間取り設計と収納力が上がるレイアウトについて

  • 便利に使えるWICの3つの設置場所
  • WIC内の収納力を上げるレイアウト

をご紹介します。

2-1.便利に使えるWICの3つの設置場所

①寝室につながる場所

WICを寝室につながる場所に設けることで、起床後の身支度が効率的に行えます寝室からの移動は最短距離になりますし、着替えた服を寝室に出しっぱなしになるのを防げるため、寝室もすっきりと片付きます。

一般的に、寝室は夫婦の個室として使われることも多いため、手持ちのタンスを部屋におくこともあるでしょう。寝室の近くにWICがあれば、タンスも一緒に収納できることや、スーツケースや旅行バッグなど衣類以外の荷物もまとめて収納できます。

置き型のタンスなどで寝室が狭くなったり圧迫感を感じたりすることもなく、ゆったり寛げるスペースが確保できます。

②洗面所やお風呂場につながる場所

洗面所やお風呂場とつながる場所にWICを配置することで、帰宅後に手洗いが終わればすぐに着替えることができます。

子どもたちは学校の制服から、大人は通勤服から普段着に着替えるのが一般的ですから、帰宅後に最短で身支度できるのは便利です。

お風呂場とつながる場合は、WICで着替えを準備してから脱衣場に向かったり、入浴後にすぐWICで着替えたりすることも可能です。

③複数の部屋からアクセスできる場所

WICを、複数の部屋からアクセスしやすい場所に設けることで、家族全員が気軽に共有できるファミリークローゼットになります。

共有しやすくするポイントのひとつは、部屋と部屋をつなぐ通路の一部にWICを取り込んでしまう「ウォークスルークローゼット」にすることです。廊下のように利用することで、限られた空間を有効に活用できます。

WICは「仕切られた部屋」という概念をなくすことで、意外な場所に使いやすいWICが配置できたりします。

たとえば、洗濯機からベランダにつながる途中にWICを配置して、ウォークスルークローゼットとして使います。物干しから取り込んだ洗濯物をすぐに収納できるため、家事の軽減が期待できます。

また、玄関土間とつながる位置にWICを配置すると、外出時や帰宅時のの身支度が自然な流れで行えるため、想像上に便利さを感じるでしょう。

2-2.WIC内の収納力を上げるレイアウト

①ハンガーの設置位置

ハンガーパイプをコの字型に設置すると、WICの収納力がアップします。

一般的にWICというと、入り口の左右にⅡ型に、または壁沿いにL型にハンガーパイプを設置するイメージがありますが、壁面を有効に使いコの字型にすることで、部屋の約2/3を収納スペースとして利用できます。省スペースで効率的に収納量を増やしたい場合に向いています。

なお、横幅にあまりゆとりがないWICの場合は、I型で片方をハンガーパイプに、片方を通路にという使い方が一般的です。

また、Ⅱ型は両側にハンガーパイプを設置する形ですが、夫婦で使用場所を分けるときなどに便利です。

ハンガーパイプを設置せずに、棚だけの場合もあります。衣類を畳んで収納したい場合やバッグ、帽子、その他小物類などが多い場合は、手持ちの服に合わせて棚を使って整理整頓するのもおすすめです。

②枕棚の設置の有無

枕棚とは、ハンガーパイプの上に設置する奥行の浅い棚のことです。一般的には、枕棚とパイプハンガーはセットで取り付けることが多いでしょう。

枕棚は高さがあるため、頻繁には取り出さないようなものを収納することが多いです。バッグや帽子、貴重品など箱に入れて収納しておくとホコリを避けられます。

枕棚を使用しない場合は、ハンガーパイプを二段にして収納量を増やすのもおすすめです。通勤服を上着とズボンで上下に分けることも可能で収納量がアップします。とはいえ、バッグなど小物類が多い場合は枕棚を活用したほうが、すっきりしたレイアウトになり便利です。

WICの間取りの事例7選

ここからは、間取りの工夫やレイアウトのアイデアを生かした、使い勝手も収納力も秀逸なWICのリノベーション事例を7つご紹介します。間取り計画の参考にしてみてくださいね。

事例1:身支度&洗濯もスムーズな家事がはかどるWIC

洗濯場とWICを隣り合わせに配置した事例です。洗濯するときの準備も、洗濯したあとの収納もスムーズで家事の時短になりますね。

この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。

事例2:寝室と玄関がつながる配置のWIC

寝室と玄関をつなぐ位置にWICを配置。外出時の身支度がしやすく、帽子やバッグなどの小物も効率的に収納できます。

帰宅したときは玄関からそのままクローゼット内を通り寝室に移動。リビングの服を脱いだままにしたりバッグを置いてしまうこともなく、脱いだものをすぐにしまう習慣付けにも良い効果がありますね。

この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。

事例3:洗面室からリビングへつながるWIC

洗濯機がおかれた洗面室からリビングに移動する間に設けられたWIC。リビングを取り囲むように配置した土間は、水回りエリアが中心です。

洗面室とWICが近いことで入浴後の身支度もしやすく、洗濯物へ回す動作もスムーズです。

この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。

事例4:空間の中心に配置した印象的なボックスWIC

ゆとりのWICは、空間の中央に位置していてどこからでもアクセスしやすくなっています。

ボックス型に仕切り空間のアクセントとしても機能する工夫があります。ぐるりと回遊できる間取りも機能的ですね。

この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。

事例5:ショップのように仕切られたデザイン性のあるWIC

ひとつの部屋としてドア付の独立した空間になるWIC。容量も十分でリビングから見えるドアもデザインに凝ったつくりです。

リビングからのアクセスや、ベランダの物干し場からも近いため、洗濯後の収納もスムーズに行えます。

この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。

事例6:部屋をつなぐ大容量のウォークスルークローゼット

部屋のほぼ中心に位置するウォークスルークローゼットは、3箇所からアクセスできる大容量の収納です。

家族の収納ごとにエリアを分けてみやすく陳列しているほか、ネクタイを壁掛けにするなど身支度しやすいような工夫が取り入れられています。

この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。

事例7:家事室を兼ねた整理しやすいWIC

玄関近くに設けたWICは、家事室も兼ねたワークスペースのような空間に。整理しやすいように小物も統一し、インテリアとしても楽しめます。

洗面所にも近いため、朝の身支度なども短時間で準備ができます。見た目の雰囲気もこだわった魅せるWICです。

この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。

まとめ

今回は、機能的なWICのサイズの目安や収納力を上げるレイアウト、工夫を凝らしたWICのリノベーション事例をご紹介しました。

WICのサイズでは、家族数ごとに

  • 夫婦・・・2畳
  • 夫婦と子ども2人・・・3畳
  • 家族5人~・・・4畳~

というスペースが広さの目安です。

また、収納力を上げるには、「寝室」「洗面所」などにつながる部屋の近くに配置することや、複数の部屋からのアクセスが有効であることもお伝えしました。

ハンガーパイプのレイアウトも収納力に影響するため、間取りと併せて検討していきたい部分です。

快適で機能的な暮らし、片付けやすい空間にするにはゆとりある収納力と整理しやすいレイアウト、他の部屋との配置関係などが重要です。とはいえ、工夫やアイデアを盛り込んだ理想のWICを考えるのは簡単ではありません。

ゼロリノベでは、女性の設計者も多く、デザイン性はもちろん、暮らしや生活動線を丁寧にヒアリングしながら設計に取り組んでいます。使い勝手を考えたWICの豊富な実績もありますので、さまざまな視点でご提案・アドバイスが可能です。

また、毎週開催している無料のオンラインセミナーでは、資金計画の考え方や失敗しない物件探しのコツやリノベーションなど詳しく解説しています。これから家づくりを計画している方は、ぜひご自宅から気軽にご参加くださいね。

この記事の制作体制
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

  • 西村 一宏

    リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。

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