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森 泉さんが教えてくれた「焦らなくていい」暮らし[自由に住みたい大人たち Vol.10 森 泉さん 〜前編〜]

住まいや暮らしに求める自由の形は人それぞれ。東京の自宅と千葉のビーチハウスを行き来する森 泉さんが見つけた “自由” とは?

PROFILE●森 泉

19歳でモデルデビューし、パリ・オートクチュールコレクションに出演。数々のファッション誌の誌面を飾る一方、タレントとしても活躍している。DIYや動物との暮らしを紹介するInstagramYouTubeも人気

目次

屋内外の境界を感じさせない暮らし

開いた門扉の先に広がるのは圧巻のボタニカルガーデン。まぶしい日差しを受けてプールの水面がキラキラ光る。浮かぶ落ち葉の掃除をしながら、笑顔で迎えてくれたのは森 泉さん。ここは別荘として彼女が足繁く通う南房総のビーチハウスだ。

「東京育ちだから、いわゆる『田舎のおばあちゃんち』という場所がなくて。小学生の頃からそういう “第2の故郷” に憧れがあったので、それなら自分でつくろうと思ったのが25歳の時。犬も思い切り走れる場所にしたくて、広い庭のある中古物件を購入しました」

「もともと大きな3階建てだったんだけど、使わない部屋が多いし、メンテナンスや掃除も大変。飼っている犬は高齢の子が多くて階段を上ることが難しくなってきたので、家が傷んできたのを機に、DIYでみんなが過ごしやすい小さな平屋にしたんです」

フルオープンになるサッシや引き戸を採用し、LDK・寝室・庭がひとつながりになるレイアウト。「ここではほとんどの時間を庭で過ごすから、中と外の境界線を感じさせないつくりにしたかったの。リアルに使いやすい形を目指して、仕切りが最低限の徹底的にシンプルな間取りにしました」

仕切りが少ないと廊下やドアなどが少ない分ローコストに。「その点もシンプルな間取りのメリットでした」

境界線をつくらないのは東京の自宅も同じ。「人とペットの部屋を分けるのが嫌なんです。一緒に生活したいから。ただ、ニワトリはお庭で生活しているし、屋内の鳥もサンルームにいて、他の動物もそれぞれ専用スペースがあります。でもできるだけ、ごはんを食べるのもくつろぐのも、お互いが見えるように。同じ空間で過ごしている気持ちになれる間取りにしています」

新しい環境を犬と二人三脚で乗り越えて

ナマケモノからトカゲまでさまざまな動物を飼っていることで知られる森さん。その数なんと30匹。「増やさないようにと思っているんだけど、こればかりはご縁だから」。

子どもの頃から多くのペットに囲まれて育ち、動物は「いて当たり前の存在」だったそう。そんな中、強い結び付きを感じたのが犬のディエゴ。「私がアメリカの高校を卒業して帰国したタイミングで出会った子。以前は静岡の山の中にいたみたいで。私もディエゴもお互いに東京での暮らしが不安な中、どこに行くにも一緒で、支え合って新しい環境を乗り越えていった感じでした」

保護犬活動も縁があって始めることに。「町田市にある『小さな命を守る会』という保護団体の代表と出会ったのがきっかけ。飛び切りの明るさと愛情深さがある魅力的な方なんです。

一時預かりをボランティアの家庭で行うシステムで、そうすると引き渡した里親との生活にも馴染みやすいそうで。考え方にすごく共感して、私も一時預かりをするようになりました。いろんな子と出会えるのが楽しいし、里親さんから後日、幸せそうな写真を送っていただけると本当にうれしくて」

善意や苦労の混じり気がない、ピュアな喜びがほとばしる。「動物が好きな人にとっては、お世話することが一緒に暮らす醍醐味なのでは?」と話を続けた。

「おいしいものを食べさせてあげたい。喜んでくれたらうれしい。子どもを育てるのと同じですよね。ただ、人間のように言葉を話さないから、お世話しながら毎日食い付きは悪くないか、異変はないかって常にサインを探している。健康管理の難しさは感じます」

森さんが動物との関わりから受け取っているものは、共に暮らす “幸福感”。それを前にすれば大変さなど、かき消されてしまうのだろう。

「犬たちもビーチハウスが好きみたいで、車を用意すると自分からポーンって乗ってくれて! 庭や海ではしゃいで走り回る姿にすごく元気をもらいますね。それはやっぱり飼い主にとっては至福の時だと思います」

植物と庭と無になれる自分と

植物好きでも知られる森さん。グリーンにハマったきっかけも動物だった。「動物を飼っていると、できるだけ自然に近い環境にしてあげたくなって、それにはグリーンだなと思ったんです。だから見て育てて楽しむだけでなく、動物たちが食べるために育てている植物もたくさんあります。

このトゲなしサボテンはゾウガメちゃんにあげて、タンポポはナマケモノちゃんに……。やっぱり体にいいもの、できれば無農薬のものをあげたくて、他にもハイビスカス、小松菜、レタスとかつくってますね。たまに私も食べています(笑)」。

「サボテンは南米だとスムージーにして飲むんだけど、ほんのりと酸っぱくてすごくおいしいよ!」

東京の自宅では天井からハンギングしたり、壁や床に飾ったりと室内も緑に囲まれているが、ビーチハウスでのグリーンライフは庭が中心。「ここに来ると、ほとんど外にしかいないの。ワンちゃんたちと遊んだり、日焼けしたり、タンポポを取ったり。花が多い時期には匂いが違うし、5月なら新芽が出るし、来るたびに季節感を味わえます。

南房総は温暖だから、越冬できる植物が多いので、この環境でどこまで育ってくれるか研究するのもおもしろいですね」

珍しい植物も多く、数十年から100年に一度しか花を咲かせないため “センチュリープランツ” の異名をもつアガベもある。「見て! これ、まさに花を咲かせようとしているところ。咲いたら枯れちゃうので、うれしいようなさみしいような……」

大小さまざまなグリーンにぐるりと囲まれているが、「もっと進化させて植物園みたいにしたい! これ以上、どこに植えるの?って言われちゃうけれど(笑)」と森さん。「通路上に植物のアーチをつくって葉っぱを避けないと通れないとか、あえて “不便さ” をつくりたい! でも、まずは家族会議を通さないと(笑)」

「最近、トゲがあればあるほど好きで(笑)。このサボテンで流血した人がたくさんいるから気をつけて!」

それにしても、この規模を維持するのは大変なのでは? 「確かに植木屋さんが入ったらキレイにしてくれるんですけど、やっぱり自分でするのが楽しいんですよね。それに実はここで草むしりするのが好きな時間でもあるの。何も考えないで無になれることって、私にとってはリフレッシュになるんです」

 “都会時間”を離れ “自然時間”に浸れる環境で  

普段は少しでも時間があるとつい携帯電話を手にしてしまうそうだが、ビーチハウスではその存在を忘れていられる。

「この環境があればこそですね。私は常に動いているのが好きみたいでビーチハウスでも何かしらしているんですよ。掃除や庭の手入れをしたり、海に行ったりしたら1日はあっという間。それなのに心が開放される。リフレッシュできて、ゆったりした気持ちになれる。それはきっと、忙しさの質が違うからだと思います」

山火事で黒焦げになった幹から葉を茂らすオージープランツ。伸び過ぎた葉の手入れも自分で行う

構成・取材・文/樋口由香里 撮影/水谷綾子

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この記事の執筆
  • 雑誌、書籍、広告の編集・執筆。伝統工芸から料理、住まいまで、物づくりと暮らしに関わる取材を多く手掛ける。著名人インタビューも多数。建築家や住宅実例の取材は300件以上。人が自身の現在地を振り返るときの「よりどころ」に惹かれる。近年...

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