住宅ローン審査期間はどのくらい?事前に流れを知っておこう
家を購入するために組む住宅ローンには事前審査と本審査の2つの審査があり、それぞれかかる日数が異なります。なかなか通知がこないと不安になることもあるので、しっかりと流れと注意点をチェックして、不安を取り除いてから審査に臨みましょう。
宅地建物取引士/元銀行員
鰭沼 悟
宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。
事前審査(仮審査)、本審査、決済までの平均期間
- 銀行によって異なりますが、事前審査に1~3営業日ほど、本審査は2週間~3週間ほどかかると言われています。
しかし必要書類の準備、郵送などのやりとり、司法書士との打ち合わせ、契約締結にかかる時間などを含めると、借り入れるまでに実際は30日~60日程度を要することが多いようです。住宅購入の計画に合わせて、余裕を持ったスケジュールを立てるようにしましょう。
審査期間が平均よりも長引くケースは大きく2つ
一般的に平均と言われている日数が過ぎても銀行から連絡がなく、審査が長引いているとしたら、大きく分けて2つの理由が考えられます。
ひとつは担当者が忙しいなどの銀行側ケース、もうひとつは、審査の通過基準がギリギリの自分側ケースです。前者の場合は担当者に後回しにされないよう密な連絡を取ることがこちらのできることです。
もうひとつの場合は、担当者が審査を通そうとねばってくれている状態です。もしかしたら追加で書類などの提出を求められるかもしれないので、あらかじめ準備をしておきましょう。
住宅ローンの審査の進み方
ほとんどの住宅ローン審査は事前審査と本審査の2段階構造になっています。
事前審査では申込者の自己申告による収入や職業をチェックし、銀行によっては源泉徴収票などの収入が確認できる資料を提出します。
事前審査を通過したら、正式申し込みをして本審査へ進みます。本審査は、より詳しくチェックが行われます。事前審査が通っても、本審査が通過しなかったというケースもあるので、油断はできません。めでたく本審査が通過した場合は、住宅ローン契約を締結して融資実行へと進むことができます。
事前審査と本審査では何を見られる?
事前審査を通過しても、本審査で落とされるということもあります。では、この2つの審査はそれぞれ何をチェックしているのでしょうか。
4-1.事前審査(仮審査)とは
事前審査は、申し込んでから早ければ即日、一般的には3営業日ほどで結果を得ることができます。事前審査を申し込む際は、個人情報を始め、収入状況や生活状況、住宅ローンの借り入れ希望額などの申し込み内容についての情報が必要になります。
この時点で主にチェックされるのは返済負担率です。年収に対する住宅ローン返済額の割合を、あなたの年収や勤続年数、自己資金などから割り出すのが返済負担率です。
また、個人信用情報と言われる自己破産や延滞、未納などの金融事故の履歴などが無いかどうかも見られているようです。この2点に問題がなければ、クリアできると考えて良いでしょう。
4-2.本審査とは
本審査は事前審査と比べると厳しく審査され、7〜14日ほどかかります。
多くの場合、団体信用生命保険にも加入するため、健康状態も審査の対象となります。団体信用生命保険は、死亡または高度障害になった際に保険会社が代わってローン残高を支払う仕組みだからです。また、病気であることを隠して審査に通り、債務者がなくなった場合、残りのローンを支払う必要が出てくる可能性があります。
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国土交通省の「平成27年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によれば、金融機関が住宅ローン審査で考慮している審査項目のうち、健康状態は実に98.4%の金融機関が考慮する、という結果も出ています。
ただし、フラット35の場合は団体信用生命保険への加入は任意ですから、これらの審査が必要無い場合もあります。
また、物件の担保価値や建築基準法を遵守できているかなど、物件そのものの評価も大きく関わってきます。さらには、年齢や勤続年数、会社の規模、経営状態なども事前審査に比べて厳しくチェックされます。
事前審査と本審査で金額を変更するとどうなる?
依頼した不動産業者や工務店などと交渉した結果、人件費の上昇等の理由から事前審査で提示した金額を変更しなければいけないという状況も無いとは言い切れません。
金額が下がるならばさほど問題ありませんが、上がる場合はあまり印象が良くありません。お金を貸してくれと言われて、途中で金額が増えたら、その人の信用が下がるのも無理はありませんよね。
一番は変更しないことですから、事前審査の申し込みの際に借入額を多めにしたり、返済期間を長めに設定しておくことで、このような事態を防ぐようにしましょう。
審査に通って不幸になるケース
晴れて本審査を通過しても、残念ながら不幸になるケースもあります。それは無理をした金額でローンを組んでしまった場合です。
住宅ローンは借りられる額と実際に自分が返せる額に差があります。返済負担率ギリギリで設定すると、日々の生活で我慢しなければならない場面が増えるのはもちろん、返済ができなくなってしまうこともあり得ます。
もし住宅ローンを払えなくなってしまった場合、家は競売にかけられてしまいますが、ローン残高は残ります。そのため最悪の場合は自己破産もやむを得ない状況になりかねません。
そんな事態に陥らないように、返済負担率は余裕を持って設定し、ペアローンなども片方は50%程度の借り入れ金額にしましょう。借り入れる額は年収の約5倍が適正ですので、周りの情報に惑わされず、きちんと返せる額を意識した設定を行いましょう。
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住宅ローンの審査期間を長引かせないためにできること
住宅ローンの審査が思ったより長いと不安になるものです。審査期間を長引かせないために、できることは事前にやっておきましょう。
1.審査書類など、書類は早めに準備して、揃ったら手早く郵送
2.年収とローン金額のバランスをしっかりと考えて、返済負担率に余裕を持つ
3.他のローンの返済を滞納しない
4.信用面を考えて、少なくとも借り入れの直近のタイミングでは転職しない
5.個人信用情報の取得と、もし遅延があればその理由もしっかりと書き残す
特に、他のローンの返済滞納には気をつけましょう。
61日以上の返済滞納があると、いわゆるブラックリストに載る可能性が高く、住宅ローンを通過する確率が格段に下がります。
この記録は5年経つと消えるので、今後家が買えないと絶望する必要はありませんが、その期間は待たなければなりません。クレジットカードだけでなく、携帯料金、奨学金、税金などの滞納にも十分気をつけましょう。
まとめ
審査期間が長くなると不安になりますが、できることをやったなら後は通知を待つだけ。他のローンの滞納などにはくれぐれも気をつけて、審査結果を待ちましょう。