中古マンションの配管寿命は?具体的なチェック方法や交換費用の目安を解説

中古マンション選びの際、意外と見落としがちな「配管」。見た目はキレイでも、壁や床の中に隠れた配管の劣化が、思わぬトラブルや出費につながることもあります。
この記事では、中古マンションの配管の種類や寿命、チェック方法や交換費用の目安まで、初めての人でもわかりやすく解説。
「配管」が安心できる住まいの見極め方や、将来のリスクを減らすためのポイントも紹介します。購入・リノベーションを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

一級建築士
西村 一宏
ゼロリノベの取締役。一級建築士としての豊富な現場経験と元大学講師としての深い専門知識をもとに、設計施工の責任者を務める。リノベーション・オブ・ザ・イヤーなど建築関連アワードの受賞数は20以上。業界の既成観念に囚われない最適なアプローチで施主のニーズに応えている。
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中古マンションの配管|種類とチェックポイントを知ろう!
中古マンションでは、どの配管が使われているかが建物の維持管理や快適さに直結します。
配管種類 | サビやすさ | 素材 | 特徴 |
---|---|---|---|
水道用亜鉛めっき鋼管 | サビやすい | 金属 | 約15〜20年で腐食するため、現在は上下水道配管に使用できない |
水道用硬質塩化ビニールライニング鋼管 | サビにくい | 金属 | 現在最も多く使用されているが、管をつなぐ材料にいくつか欠点も |
ステンレス鋼管 | サビにくい | 金属 | より耐久性が高く、共有部への採用が増えている |
樹脂製管(ポリエチレン管やポリブテン管など) | サビない | 非金属 | サビないため専有部で使われることが多い |
- 水道用亜鉛めっき鋼管
約15年〜20年で内部腐食が進み、赤水や漏水といった問題が多発するため、1997年以降は新築物件の給水管として使用されていません。
- 硬質塩化ビニルライニング鋼管
内面防食のため腐食問題は軽減されたものの、接合部など一部材料に弱点が残ります。現在、もっとも流通しているタイプ。
- ステンレス鋼管
共用部で多く使われており、高い耐久性と耐食性が特徴。
- 樹脂製管(ポリエチレン管など)
専有部では金属管に代わり、サビない樹脂製管が主流。
配管交換やリノベーション時には、非金属管(サビない素材)を選ぶのがおすすめです。
配管の寿命は何年?材質ごとに異なる交換時期の目安

※経年劣化の度合いによって実際には異なることもあります。
住宅設備に寿命があるように、配管にも寿命があります。
コンクリート躯体の建物自体は100年異常の寿命と言われますが、配管は建物より寿命が短いため定期的な修繕が不可欠です。
配管寿命|マンションの築年数から判断
配管交換の必要性は、マンションの築年数も判断材料のひとつになります。
- 築20年以上のマンション
2000年以前に建てられた場合、「金属製配管」が使われている可能性が高く、20〜30年で交換・メンテナンスが必要。
- 2000年以降のマンション
経年劣化しにくい、「樹脂製配管」が主に使われている。
ただし、築20年以上でも大規模修繕時に配管交換が済んでいれば問題ない場合もあります。逆に、築浅でも使用状況や管理の質によって劣化が進むケースもあります。
中古マンション購入・リノベーション時のチェックポイント
- どの配管材料がいつ交換されたかを確認
- 配管の状態が良いか、修繕履歴・管理状況も要チェック
- 20年以上経過したマンションは、とくに配管の現状確認を慎重に
上記内容を確認することで、将来の修繕コストや安心に備えることができるでしょう。
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マンションの配管交換は誰がする?
マンションの配管は普段見えにくい場所にあり、対応が後回しになってしまいがち。とくに、築年数がたった中古マンションでは、配管の劣化や漏水のリスクに注意が必要です。
そのため、「誰がどのように交換するのか」「その責任は誰にあるのか」を事前に把握しておきましょう。
配管交換の責任は売主?買主?
配管に不具合が見つかり、交換が必要な場合、誰が費用を負担するかが問題となります。その際、ポイントとなるのが「瑕疵(かし)担保責任*」です。
- 売買契約書内で、「瑕疵担保責任を売主が負うか」「その範囲や期間はいつまでか」を必ず確認しましょう。
- 一般的な期間は「引き渡しから1年以内」に欠陥を通知すれば請求可能。ただし、契約で「発見後〇日以内の通知」など条件がある場合もあるため要確認。
※瑕疵担保責任とは?
中古マンション購入後に大きな欠陥が判明した場合、決められた期間内なら、買主が売主に修理費用などを請求できる制度。ただし、「経年劣化」を理由とした不具合は対象外となるケースが多いです。
専有部分は自己負担が基本

マンションの配管には以下の種類があり、それぞれ専有部分か共用部分かによって、誰が修理費を負担するかが決まります。
- 給給水管・給湯管(給水関係)
- 雑排水管・汚水管(排水関係)
- ガス管
専有部分(各住戸内)に設置されている配管(例:給湯管)は、原則として所有者自身で管理・交換し、その費用も自己負担です。
ただし、瑕疵担保責任の範囲内であれば売主が負担するケースもあります。
共有部分(パイプスペースやメイン管)は、マンションの長期修繕計画に基づき、管理組合の積立金や共有資産から補修・交換が実施されます。
配管の交換方法
配管交換の工事は、該当箇所が専有部分か共用部分か、配管の構造によって異なります。
専有部分
専有部分の工事は、「床スラブ貫通配管」と「床スラブ上配管」の2つのタイプで大きく異なります。
【床スラブ貫通配管】

- 構造躯体(コンクリート)を貫通して配管が通っており、共用部分に該当するため原則として住戸単独での交換は不可。
- 工事にはコンクリートの解体が伴い、費用・手間が大きい。そのため、定期的な高圧洗浄によるメンテナンスで対応し、交換は管理組合による大規模計画で実施される。
【床スラブ上配管】

- 室内側、床下に配管が敷設されているため、比較的自由に交換可能。
- 床材を剥がす必要があるものの、リノベーション時に同時に配管交換をおこなうと効率的。
共用部分
共用部分の配管は「パイプスペース(PS)」と呼ばれる共有の配管スペースに通されています。交換方法は、以下のとおりです。

【PS部分の配管を交換する】
- 既存の配管を撤去し、新しい配管に更新。
- マンション全体や複数住戸を同時に対象にすることが多く、費用も管理組合が負担。
【新たな配管ルートを新設する】
- 古い配管を残したまま、新しいルートを設けてバイパス化。
- 建物へのダメージが少なく、工程を短縮できる場合もある。
配管が安心な中古マンションを見極めるポイント
中古マンション選びで、配管に安心できる物件かどうかを見分けるには、築年数だけでなく管理状況や備えの有無が重要です。見落としがちなチェックポイントを押さえて、将来的なトラブルを防ぎましょう。
点検口の有無を確認
物件内に配管へのアクセス用「点検口」が設けられているかをチェックしましょう。
点検口があれば、トラブル発生時や劣化の兆候があってもスムーズに確認・対応が可能です。
ただし、最初からリノベーションで配管更新を予定している場合は、点検口の有無はそれほど重視しなくてもOKです。
修繕履歴と修繕計画の確認
安心して長く住めるかどうかは、「修繕計画」と「実際の修繕履歴」があるかにかかっています。
- 長期・短期の修繕計画が明確に建てられているか
- 配管更新や適切なメンテナンスが実施された履歴が残っているか
もし、上記のような計画・履歴がない場合は、今後のトラブルリスクが高まるので注意が必要です。
マンションの大規模修繕について詳しく知りたい方は、下記記事もあわせてご覧ください。
管理状況を重視する
築年数よりも、そのマンションが「どの程度しっかり管理されているか」が寿命に影響します。
- 管理組合がしっかり機能し、定期的なメンテナンスがなされているかを確認
- 築浅マンションでも管理が不十分な場合、将来の不安要素になりえる
古いマンションでも、住民の意識が高く管理組合がしっかり機能していれば、配管を含む設備のメンテナンスが行き届き、安心できる住まいとなることが多いです。

リフォーム・リノベ済み物件も油断は禁物!
リフォーム・リノベーション済み物件も注意が必要です。内装は新しくても、配管は古いままというケースもあるため、見た目だけでは安心できません。
また、専有部分だけ配管が更新されていても、共用部分は古い金属管というケースもあるため、「配管更新済み」と記載されていても、施工範囲や使用素材を確認するようにしましょう。
配管交換の工事費用の目安
マンションの配管工事は、多くの人にとって見えづらい部分です。しかし、老朽化した配管は、放置すると大きなトラブルの原因にもなります。
安心して暮らし続けるためには、工事費用の目安や進め方を事前に把握しておくことが大切です。
配管交換の目安(専有部分)

専有部分の配管交換費用は、一般的に約30万円が基本。ただし、実際には配管の入れ替えだけでなく、床や壁の解体・復旧、大工工事や内装工事も必要です。
そのため、全体の工事費用は50万〜100万円程度になることが多いです。規模や仕様、現場の状況によって費用が前後する点も意識しておきましょう。
配管交換はリフォーム・リノベーションと同時に

配管だけのために床や壁を壊して工事をおこなうのは効率が悪く、どうしても割高になる傾向があります。
そのため、中古マンションでは他のリフォームやリノベーションと一緒に配管も交換するケースがよく見られます。
コストを抑えやすくなるだけでなく、再度壊す二度手間も防ぐことができます。リフォームを検討する際は、配管の状態や交換の必要性にも同時に目を向けておくと安心です。
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- 築35年の中古マンションを買っても大丈夫?
- 家の買いどき、外せないタイミングとは?
- 不動産会社の良し悪しが一発でわかる「ある行動」
- あなただけの掘出し物件が見つかる魔法のシート
中古マンションの配管に関するよくある質問
編集後記

最近では、住宅ストックの増加や住宅価格高騰の影響もあってか、中古住宅の成約件数を見ると築31年以上の物件の割合が最多となっています。ゼロリノベの無料セミナー「中古物件の見極め方」では、配管以外にもチェックすべき点を解説しているので、中古に不安にある方におすすめ。見るべきポイントを押さえ、選択肢を広げてみてくださいね。



リノベーション済みとして販売されている物件でも、実は配管の交換がされていなかったというケースもあるようです…。購入後にアクシデントが起きないよう、購入前は必ず配管の交換がいつ行われたのか確認するようにしてくださいね。