リノベーションとコンバージョンの違いとは?目的・費用・工期を比較
「リノベーションとコンバージョンって何が違うの?」
「コンバージョンってそもそもどんなことをするの?」
結論からお伝えすると、リノベーションとコンバージョンの違いは、「建物の使用目的を変えているかどうか」です。
リノベーションの場合は、建物の使用目的は変えず、改修することで性能や価値をアップします。
コンバージョンの場合は、改修することで、建物の使用目的を変えて新しい価値をつけます。
例えば、古民家を改修してカフェにする、使われなくなった小学校の校舎をホテルにする、といったものがコンバージョンです。
リノベーションとコンバージョンには、他にも費用や工事内容、メリット、デメリットなど様々な違いがあります。
この違いを理解していないと、いざ自分がコンバージョンできるお買い得な物件を見つけても、その物件を買うかどうかは決められないため、コンバージョン物件を候補に入れることができなくなってしまいます。
いくら立地や予算がピッタリのコンバージョン物件があっても、自信をもって購入することができなくては、せっかく見つかった理想の家候補をみすみす逃し、家づくりが失敗してしまうことになってしまうのです。
そこでこの記事では、リノベーションとコンバージョンの違いや、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
この記事を読めば、
◎リノベーションとコンバージョンの違い
◎リノベーションとコンバージョンの事例比較
◎リノベーションがおすすめの人
◎コンバージョンがおすすめの人
がわかります。
リノベーションとコンバージョンの違いを正しく理解しておくことで、いざ自分がコンバージョンできる物件に出会ったとき、購入するかどうか正しい判断ができます。
そして、後悔しないリノベーションやコンバージョンができるようになるのです。
この記事を読んで、自分の物件選びやリノベーション、コンバージョンの参考にしてください。
リノベーションとコンバージョンの違いとは?
リノベーションとコンバージョンは、どんな違いがあるのでしょうか?
先ほども紹介したように、リノベーションとコンバージョンの違いは「建物の使い道を変更しているかどうか」です。
一戸建てやマンションなどを間取り変更や設備変更をして新しい価値を付けるのはリノベーションです。
それに対してコンバージョンでは、倉庫を住居に改修する、小学校の校舎をホテルに改修するなど、建物の使い道を改修工事で変更してしまいます。
この他にも、工事内容、工期、費用など様々な違いがあります。
まずはリノベーションと混同されやすいリフォームも含めて、リフォーム、リノベーション、コンバージョンの違いを確認していきましょう。
リフォーム、リノベーション、コンバージョンの違いは次の表のとおりです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
1-1.目的の違い
リフォーム、リノベーション、コンバージョンは改修工事を行う目的が異なります。
それぞれの目的についてみていきましょう。
リノベーションの目的は「性能や価値をアップさせること」です。
間取りや設備を大きく変更し、今までよりも性能や価値をアップさせていきます。新しくするだけでなく、より良い家、住みやすい家に変えていくのがリノベーションです。
コンバージョンの目的は「使い道を変更して建物の価値をアップさせること」です。
倉庫を家にする、古民家をカフェにするなど、建物を改修することで使い道を変更し、価値をアップさせます。
リフォームの目的は「原状回復すること」です。
建物は年月が経つと経年劣化で古くなり、汚れや傷がついてしまいます。その汚れや傷がある部分を新しいものに入れ替えたり、補修して新築の状態に戻すことがリフォームの目的です。
1-2.工事内容の違い
リフォーム、リノベーション、コンバージョンは工事内容も異なります。
1-2-1.リノベーションの工事内容
リノベーションは工事することによって「建物の価値」を高めます。壁や床をすべて壊して、間取りを今のライフスタイルに合わせて変更するなど、大掛かりな工事を行います。
マンションの場合は、床や壁をすべて取り壊し、躯体だけの状態にします。
そこから新しく壁や床を作るため、ほぼ新築同然の家に仕上がるのです。
1-2-2.コンバージョンの工事内容
コンバージョンは建物の使い道を変えるための工事が入ります。
例えば倉庫として使われていた建物を住居に変えるには、断熱や遮熱効果を高める工事や、キッチンやお風呂などの水回り設備を付ける工事が必要になります。
建物の使用目的を変えるには、リノベーションよりも多くの工事が必要になるのです。
1-2-3.リフォームの工事内容
リフォームは原状回復が目的ですから、古くなったところを補修するような工事内容です。壁紙を張り替えたり、傷のついた床を張り替えます。
トイレの設備を取り替える、システムキッチンを入れ替えるなどもリフォームに当たります。
間取りを変更するような大きな工事はリフォームには含まれません。
1-3.工事費用の違い
工事に係る費用は、リフォーム、リノベーション、コンバージョン、それぞれ工事内容によって変わります。
リフォームの場合、壁紙を一部張り替えるなど小さな補修だけなら1万円から可能です。
リノベーションは大規模な工事が入る分、リフォームより費用が掛かります。間取り変更なども伴うマンションのフルリノベーションの場合は、仮の70㎡の場合だと、11万円/㎡〜、と考えておくとよいでしょう。
コンバージョンは新しく設備を取り付ける費用が必要なため、リノベーションよりも高額になります。対象の建物によって費用感が大きく変わることを覚えておきましょう。
1-4.工期の違い
それぞれの工期は次のようになっています。
リフォームは工事内容が簡単なものが多いため、早い場合は1日で終わります。
例えばトイレの便器を新しいものと取り替える場合、最短で1日程度の工事で取り替えが可能です。
リノベーションは、家全体を躯体の状態にして、新しく内装や壁を造ります。
マンションの場合、今までの設備や内装を取り外すスケルトン解体に約10日前後かかります。その後新しい内装の工事を行うことを考えると約2ヶ月~4ヶ月ほど工期を見ておきましょう。
コンバージョンは設備を変える必要があるため、リノベーションよりも工期が長くなります。
スケルトンの状態に解体するのは、リノベーションと同じく約10日前後です。
その後、水回りを新しく作る工事や、今までまったくなかった断熱材を入れる工事、窓を大きくする工事など、暮らしやすさを上げるための大掛かりな工事が必要となるのです。
そのため、コンバージョンの場合はリノベーションよりも1ヶ月から3ヶ月程度工事期間が長くなります。
3ヶ月から半年くらいはかかると見積もっておきましょう。
リノベーションとコンバージョンの事例比較
リノベーションとコンバージョンの違いが理解できたところで、より具体的に違いをイメージするため、事例を比較していきましょう。
それぞれの事例をひとつずつ紹介します。
2-1.リノベーションの事例
■BEFORE
■AFTER
築年数:1999年
延べ床面積:76.01平米
タイプ:マンション
人数:2人
築20年以上のマンションを、大きく間取りを変更してライフスタイルに合わせた家へとリノベーションした事例です。
リノベーションとしてのポイントは、間取りを変えているものの、お風呂やキッチンといった生活するための設備はあらかじめ整っており、工事の必要がない点がコンバージョンとは大きく異なります。
2LDKだった間取りは、和室をなくしてリビングを広げ、大容量の収納で家全体をスッキリさせています。
またワークスペースを新しくつくり、テレワークもしやすい環境が整いました。
キッチンカウンターは夜は夫婦二人でお酒を楽しめるバーカウンターに変わります。
玄関には土間収納を増やし、靴やアウトドアグッズを収納できるようにしました。
ワークスペースは狭い分機能的な作りになっており、こもって集中できる環境となっています。
こちらの事例をより詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
2-2.コンバージョンの事例
■BEFORE
■AFTER
築年数:1961年
延べ床面積:(1F) 29.08平米 (2F) 29.08平米
タイプ:倉庫を事務所に
築60年弱の木造倉庫を事務所へとコンバージョンした事例です。
コンバージョンとしてのポイントは、倉庫だったため、キッチンやトイレなどの水回りがなく、窓もなかった物件に、新しく水回りを設置し、窓を増やしているという点がリノベーションとは大きく異なります。
一階、二階ともに窓を三か所増やし、採光と風通しをよくしました。
また、トイレとキッチンを新しく設置するため、小下水道の配管工事も行っています。
一階はひとつの空間だった倉庫を、まるでカフェのような打ち合わせ&セミナースペースへ変えました。
奥には給排水設備を整え、バーカウンターも作られています。
二階は倉庫だった時の木造の味わいを残した、山小屋風の内装に仕上げました。
入り口はガラスにすることで、視線が遠くに抜けて開放感を出し、空間をより広く見せることができます。
こちらの事例についてより詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
コンバージョンがおすすめな人
リノベーションとコンバージョンの違いはわかりましたが、自分はどちらを選ぶのがよいのでしょうか?
この章と次の章では、自分の家はリノベーションとコンバージョンどちらがよいのか選ぶため、それぞれのメリットやデメリット、おすすめの人を紹介します。
まずはコンバージョンのメリットデメリットやおすすめの人を見ていきましょう。
コンバージョンのメリットデメリット、おすすめなのは、次のような人です。
詳しくみていきましょう。
3-1.コンバージョンのメリット
コンバージョンのメリットは、なんといっても個性的な家が手に入るということです。
倉庫などを改築して家にする場合、もともと家として建てられた建物とは違った趣があり、他にはない仕上がりになります。
例えば山小屋のような木の天井など、普通のマンションにはない佇まいがある家に仕上がるのは、コンバージョン物件ならではです。
住宅にはない筋交いなどもあり、構造や配管もむき出しになっているため、インダストリアルデザインが好みの方にはたまらない内装にすることが可能です。
また、物件の幅を広げることで、一戸建てやマンションの候補物件が見つからなかったエリアでもコンバージョンを視野に入れれば、コストパフォーマンスが高い物件が見つかる可能性が高まるのもメリットです。
例えば古い工場が多いエリアなどでは、マンションや中古一戸建ては少ないけれど、倉庫なら売りに出ている物件がある場合があります。
そんな時、コンバージョンして住むことを候補として入れておくと、選べる物件の選択肢が増えて、より理想の住まいを見つけやすくなるのです。
3-2.コンバージョンのデメリット
コンバージョンのデメリットは、リノベーションと比べると工事内容が増えて費用も高くなってしまうという点です。
倉庫など、住むために作られていない建物は、給排水設備や気密性が備わっていません。
そのため、コンバージョンして住宅にする場合は、給排水工事や断熱工事など、リノベーションでは必要なかった工事が必要になり、増える工事の分費用が高くなってしまうのです。
倉庫を家に改築する場合では、例えば以下のような費用が余分にかかります。
◎上下水道を引き込む費用 約20万円から40万円
◎ガスを引き込む費用 約10万円から20万円
また、倉庫の場合は窓が少ない、場合によっては窓がない物件もあります。
窓を増やすことはできるのですが、耐震強度との兼ね合いで難しい場合があり、開放感や明るさに制限が出てしまうのもデメリットです。
3-3.コンバージョンがおすすめな人
コンバージョンがおすすめなのは、
◎他にはない個性的な家が欲しい人
◎住みたいエリアが決まっていて、リノベーション物件が少ない人
です。
コンバージョンはもともと家ではない建物を改築して家にするため、かなり個性的な建物に仕上げることができます。
他の人とは違う、味わいやデザインを求めている人にはピッタリです。
また、住みたいエリアが決まっており、物件が少ない場合には、コンバージョンも視野に入れるとよい物件が見つかる可能性が高まるためおすすめです。
リノベーションがおすすめの人
リノベーションは、コンバージョンと比べてデメリットが少ないため、ほとんどの方におすすめです。
リノベーションのメリットとデメリット、おすすめの人は次の通りです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
4-1.リノベーションのメリット
コンバージョンと比較したメリットは、リノベーションは住むために作られた建物を改修工事するため、基本的な設備が整っているということです。
一軒家でもマンションでも、住むことを目的として建てられているため、断熱性や遮熱性、基本的な給排水設備はすでに備わっています。
そのため、コンバージョンで必要になった水道の引き込み工事やガス管の引き込み工事は必要ありません。
行わなくてはならない工事が少ない分、費用がコンバージョンよりも少なく済み、工事日数も少なくなるのはメリットです。
4-2.リノベーションのデメリット
リノベーションのデメリットは、元々住居としてつくられた建物を改修するためコンバージョンと比べてしまうと外観や内装の突き抜けた個性は出しづらいという点です。
他の人とは全く違う、個性的で変わった家にしたいと思っても、コンバージョンほどのインパクトは出しにくいというのはデメリットです。
4-3.リノベーションがおすすめの人
リノベーションがおすすめなのは、
◎間取りを変えてライフスタイルに合った暮らし方がしたい人
◎築年数が古くても中身がよければ気にしない人
です。
リノベーションは既存の壁や床を壊して内装を変えるため、間取りを大きく変更し、自分のライフスタイルに合わせた暮らし方が実現できます。
建物自体の築年数は古くても、内装を変えることで見た目や使い勝手は今らしくなりますから、住み心地もアップするのです。
基本的にはリノベーションはすべての人におすすめできます。
まとめ
リノベーションとコンバージョンの違いについて解説しました。
リノベーションとコンバージョンの大きな違いは、「建物の使い道を変えているかどうか」です。
もともと倉庫だった建物や、店舗として建てられた建物を家にすることで、他にはない個性やデザインが楽しめるのがコンバージョンです。
給排水設備がないことや窓が少ないなどのデメリットもありますが、他にはない個性的な住まいを探しているなら、コンバージョンも候補に入れてみるのもひとつの手です。
ぜひ事例を詳しくチェックして、自分のライフスタイルに合わせた家を手に入れてください。