マンションの共用部分は居住者全員で利用する部分のこと。専有部分との違いやよくあるトラブルを解説。
マンションは「共用部分」と「専有部分」から成り立っています。
マンションの共用部分とは、居住者(区分所有者や賃貸人)が全員で共有して利用する部分のこと。部屋から出て外気に触れている部分は基本的に共用部分と考えるとわかりやすいでしょう。
また、外気に触れていない室内でも建物の躯体(コンクリートなど)にあたる床、天井、壁などは共用部分になり、バルコニーも含まれます。
本記事では、「マンションの共用部分ってどこのこと?」「マンションの共用部分と専有部分て何が違うの?」といった疑問をお持ちの方に、マンションの共用部分の範囲や決まりについてわかりやすく解説します。
最後まで読んで頂ければ、あなたが今抱えている疑問がスッキリ解決するでしょう。
この記事があなたのマンションに対する悩み解決のお役に立てば幸いです。
よくあるご質問
マンションの共用部分の所有者は?
共有部分は、原則として区分所有者全員が所有者です。そのため、共用部分は居住者個人の一存で勝手にリフォームや修繕を行うことはできません。
マンションの専有部分だと勘違いしやすい共用部分は?
多くの方が専有部分だと勘違いしやすい共用部分は以下の2つです。
・玄関扉の外側は共用部分(内側だけが専有部分)
・窓ガラス、サッシ、ルーフバルコニー、ベランダは共用部分
また、専有部分と共用部分の境界線はマンションごとの管理規約で定められており、マンションによってルールが異なる場合もあります。
マンションの老朽化した玄関ドアを取り替えたいのですがダメですか?
分譲マンションの場合、玄関ドアの住居側は専有部分なので色の塗り替えなどは自由ですが、外側は共用部分であるため塗り替えや扉自体の交換はできません。
ただドアが老朽化してしまい交換が必要なケースでは、マンション一斉に交換となることもあります。この場合の費用は管理組合が負担するので、1度管理組合に玄関ドアの老朽化について相談してみることをおすすめします。ただし、日常生活の中で個人が玄関ドアを破損してしまった場合、修繕費用は個人負担となります。
バルコニーにサンルームは作れますか?
バルコニーは共用部分なので、勝手に仕様を変えることはできません。物干しのための金具や設備を増やしたり、位置を変えたいといったことも管理組合の許可なく行えませんので注意してください。
バルコニーはマンション全体の避難経路で、災害時には、各家のバルコニーをつたって避難することになります。バルコニーに物が多すぎると避難者を遮り犠牲者を出してしまうことも考えられます。そこまで制限はされていませんが、バルコニーには日頃から大きな物を置かず、避難経路を妨げないように配慮しましょう。
共用部分でない分譲マンションの部屋の間取りは変更できますか?
住居の内側は専有部分なので、変更は可能です。ただし、制限はあります。たとえば、隣の住居との境壁は共用部分なので壁を削ったり撤去することはできません。隣の住居を購入して一部屋にしてしまうようなことは原則できないのです。
一方で、1つの住居内のリビングダイニングと和室の間の壁を撤去して、リビングダイニングを広くすることは可能です。例外として、境壁でも壁の表面部分までは専有部分としているマンションがあり、その場合はクロス張り替えまでは可能になります。
結露対策で窓ガラスを二重にしたいのですが可能でしょうか?
窓ガラスは共用部分なので勝手に二重ガラスにすることはできません。ただし、専有部分である室内にもう一つ窓を取り付ける内窓・二重窓の工事であれば可能です。どうしてもガラス自体の交換が必要な場合は、窓ガラスの工事をしたい理由と要望を管理組合あるいは管理会社に相談するようにしましょう。
こうした結露対策や断熱効果のための窓ガラス工事や、生活の中で破損してしまった場合の修理は、管理組合(管理会社)を通した上で、認められれば実施できます。この場合の費用は、個人負担となります。
また、築年数の古いマンションでは、新しい防犯や断熱設備を整備するために一斉に改修工事を行う場合もあります。この場合の費用は管理組合が負担しますので、1度管理組合に窓ガラスの結露問題について相談してみることをおすすめします。
階下の家の天井から水漏れが発生しました。我が家の責任になるのですか?
原則でいうと、床下の配管は専有部分なので、上階の所有者が責任を持つことになります。ただ、床下の配管の解釈に関しては両論あり、ある判例では、上下階の間のスラブに埋まった配管からの水漏れ事故について「下階天井裏の配管は上階の専有部分ではない」という判決も出ています。
記事で述べたように、標準管理規約はあくまでも一定の雛形であって、共用部分と専有部分の細かい境界線については各マンションごとに独自の管理規約があります。
まずは、マンションの管理規約で、下階天井裏の配管が共用部分か専有部分であるかを確認するようにしてください。専有部分であった場合も、水漏れした場所、マンションの構造などから、全て個人で賠償しないで済むケースもあるので、管理会社(管理組合)あるいは専門家に相談するようにしましょう。
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マンションの共用部分とは?
冒頭で述べたように、マンションの共用部分とは、居住者(区分所有者や賃貸人)が全員で利用する部分のことです。
具体的には、建物の区分所有に関する法律である「区分所有法」では以下のように範囲が定められています。
第二条
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
(共用部分)
第四条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
まず、部屋から出て外気に触れている部分は基本的に共用部分と考えて間違いないです。エントランスホールや廊下、階段エレベーターなどは理解しやすいですね。
外気に触れていない室内でも、建物の躯体(コンクリートなど)にあたる床、天井、壁などは共用部分になります。バルコニーもここに含まれます。
次に建物に付属している設備関係は共用部分です。エレベーター設備、給水排水設備などがわかりやすいかと思います。
さらにマンション管理人や清掃員が使用する部屋も共用部分となり、居住者全員が使用できる集会室や、倉庫も共用部分にあたります。
※共用部分の範囲はマンションによって異なる場合があります。お住まいのマンションの詳細な共用部分の範囲については管理会社にご確認ください。
1-1.共用部分の「法定共用部分」と「規約共用部分」について
マンションの共用部分の範囲を解説しましたが、共用部分はさらに以下の2つに分けられます。
- 法定共用部分:構造上、共用で使用・利用される部分
- 規約共用部分:専有部分になり得る独立性があるが、規約により共用部分と定められた部分
専有部分を含め、マンションの区分として下記の表にまとめましたのでご覧ください。
管理対象者 | 該当箇所 | |
専有部分 | 区分対象者 | ・天井、床及び壁、躯体部分を除く部分 ・玄関扉の錠及び内部塗装部分 ※窓枠、窓ガラスは含まれない |
法定共用部分 | 管理組合 | ・エントランスホール ・廊下 ・階段 ・エレベーターホール ・エレベーター室 ・共用トイレ ・屋上 ・屋根 ・塔屋 ・ポンプ室 ・自家用電気室 ・機械室 ・受水槽室 ・高置水槽室 ・パイプスペース ・メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く) ・内外壁 ・界壁 ・床スラブ ・床 ・天井 ・柱 ・基礎部分 ・バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」 ・エレベーター設備 ・電気設備 ・給水設備 ・排水設備 ・消防/防災設備 ・インターネット通信設備 ・テレビ共同受信設備 ・オートロック設備 ・宅配ボックス ・避雷設備 ・集合郵便受箱 ・各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配 管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」 |
規約共用部分 | ・管理事務室 ・管理用倉庫 ・清掃員控室 ・集会室 ・トランクルーム ・倉庫及びそれらの附属物 |
共用部分は居住者個人の一存で勝手にリフォームや修繕を行うことはできません。
一方、専有部分は、分譲マンションであれば、購入した居住者(区分所有者)が部屋の内部のリフォームやリノベーション、修繕を自由に行うことができます。
ただし、範囲が決まっているとはいえ、共用部分と専有部分の線引きには紛らわしい点が多々あります。
次章では、専有部分と間違いやすい共用部分について解説していきます。
マンションの共用部分と専有部分の違いとは?
1章のおさらいとして一棟のマンションをざっくり区分すると以下のようになります。
- 共用部分+専有部分=マンション
- 共用部分は専有部分以外
- 専有部分は躯体(コンクリートなど)の内側の居住スペース
こう見るととてもシンプルなのですが、実は共用部分と専有部分の線引きには紛らわしい点が多々あります。そこを把握していただくために、本章では、共用部分と専有部分の違いについて解説します。
2-1.マンションの専有部分とは?
マンションの専有部分とは、躯体(コンクリートなど)の内側の居住スペースのことです。
専有部分の範囲について、国土交通省の標準管理規約では以下のように定められています。
(専有部分の範囲)
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、次のとおりと
する。
一 住戸番号を付した住戸(以下「住戸部分」という。)
二 店舗番号を付した店舗(以下「店舗部分」という。)
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおり
とする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉及びシャッターは、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 –
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にあ
る部分以外のものは、専有部分とする。
例として、主たる専有部分を書き出しましたので参考にしてください。
- 玄関扉の錠や内装
- 室内のドア、引き戸、襖
- キッチン、レンジフード、ユニットバス、トイレ
- クローゼット、押し入れ
- 壁紙、フローリング、畳などの内装材
- 躯体以外の間仕切り壁
- メーター以降の配管
- メーター以降の配線
- 共用管までの排水管
- 共用ダクトまでのダクト
- 居住スペースにある消化器
上記に該当する部分が専有部分となりますので、覚えておきましょう。
2-2.専有部分と間違いやすい共用部分
共用部分と専有部分それぞれの範囲がご理解いただけたかと思います。
しかしながら、ふたつを完璧に線引きすることは難しく、専有部分だと思い込んでいた場所が共用部分だったというような例が実は少なくありません。
多くの方が専有部分だと勘違いしやすい共用部分は以下の2つです。
- 玄関扉の外側は共用部分(内側だけが専有部分)
- 窓ガラス、サッシ、ルーフバルコニー、ベランダは共用部分
また、専有部分と共用部分の境界線はマンションごとの管理規約で定められており、マンションによってルールが異なる場合もあります。
たとえば、以下のような部分の扱いに関しては、専有なのか共用なのかがマンションによって異なります。
- 居住スペースにある自動火災警報設備や発信機
- 専用庭
- 単独型のインターホン
- 共用連動型インターホン
- 店舗用看板
- 給水管
- 電気配線
これらの部分で何かあったときは、ご自身で勝手に判断せず、かならず扱いを管理会社に確認するようにしましょう。
マンションの共用部分にかかる費用とは?
前章まで、マンションの共用部分と専有部分の違いについて紹介しましたが、本章ではマンションの共用部分にかかる費用について解説します。
- 共用部分の管理費用
- 共用部分の修理費用
順に紹介します。
3-1.共用部分の管理費用
共有部分の管理費用に関しては、区分所有者全員で均等に出し合って捻出します。よって、ローンが完済していようと、毎月管理費と修繕費用は払い続ける必要があります。
具体的な管理費用に関しては、マンションごとに異なるため、自身が住む物件の管理組合にて確認してください。
関連:マンションの管理組合とは?役員の業務内容やよくあるトラブル事例を解説!
3-2.共用部分の修理費用
共用部分のものを破損させてしまった場合には、故意的かどうかに関係なく費用を負担する必要があります。
しかし、経年劣化で共用部分の修繕やリフォームなどを希望する場合は、自己負担ではなく管理費や修繕積立金から捻出するので、管理組合の総会での承認が必要です。
ですので、共用部分に問題が発生した場合は、区分所有者であっても、自分の判断で共用部分に手を加えることはできないので、まずは管理組合に相談することをおすすめします。
例えば、自分の部屋の窓ガラスやサッシに不具合があっても、それは共用部分の範囲になるため、管理組合に相談するようにしてください。
マンションの共用部分でよくあるトラブル
前述したように、マンションでは共用部分と専有部分を完璧に線引きするのが難しいため、トラブルがよく発生します。
とりわけ頻繁に起こるのが以下の2つのトラブルです。
- 専有部分だと思い居住者が勝手にリフォームをした部分が実は共用部分だった!
- 共用部分か専有部分か認識が曖昧な部分が壊れてしまった!
ひとつずつ具体的な内容を解説します。
4-1.トラブル①共有部分のリフォーム
最も多い共用部分のリフォーム事例は、バルコニーです。
バルコニーは繰り返し説明しているように避難経路としても使われる共用部分です。居住者が勝手に改造するなど手を入れることはできません。
次によくあるのが玄関ドアです。
玄関ドアは、内側は専有部分なので自由に塗り替えられますが、外側は共用部分なので勝手に手をいれることはできません。
共用部分を勝手にリフォームしたり修理すると、マンションの管理会社や管理組合との間で問題になることがあるため気をつけましょう。
4-2.トラブル②専有か共用かが曖昧な部分の破損
共用か専有かが曖昧な部分が壊れたとき問題となるのは修理費用です。
破損したり故障したところが、共用部分であれば修理費用は管理組合が負担します。
専有部分であれば、居住者(区分所有者や賃貸人)の個人負担になります。
たとえば、窓ガラスが熱割れ等で破損した際の修繕費用は管理組合が負担します。
しかしながら、居住者が誤って破損させてしまった場合の費用負担については、破損させた本人の個人負担になるケースと、管理組合で加入している損害保険で対応するケースが考えられます。
このように責任のあるところが費用を負担することに決まっているのですが、共用部分か専有部分かの認識が曖昧な部分については、修理費用を誰(どこ)が負担するかで揉めてトラブルになることが少なくありません。
上記のようなトラブルを回避するために、わかりづらい共用部分と専有部分について、そのマンションの規則ではどうなっているのかを前もって管理会社や管理組合に確認しておくようにしましょう。
まとめ
マンションの共用部分とは、居住者(区分所有者や賃貸人)が全員で共有して利用する部分のことです。マンションは共用部分と専有部分から成り立っています。
一棟のマンションを大まかに分けると以下のようになります。
- 共用部分+専有部分=マンション
- 共用部分は専有部分以外
- 専有部分は躯体(コンクリートなど)の内側の居住スペース
共用部分は居住者個人の一存で勝手にリフォームや修繕を行うことはできません。
また、共用部分を使用する際は、皆で利用するということを念頭に置きルールを守って綺麗に使うようにしましょう。
共用部分と専有部分の境界線については、マンションによって異なる場合があります。
お住まいのマンションの詳細な共用部分の範囲については、管理規約や管理会社に確認しておくことをおすすめします。
この記事があなたのマンションに関する疑問解決のお役に立てば嬉しいです。
また、マンションリノベーションの費用やリノベーションの会社についてより詳しく知りたい方は以下の記事も併せてお読みください。