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マンションで選ぶべきは内廊下?外廊下?メリット・デメリットを解説

マンション 廊下画像

マンションを選ぶとき、間取りや部屋の雰囲気、立地以外に注目すべきなのが「廊下」です。

実はマンションの廊下には「外廊下」と「内廊下」の2タイプがあり、特徴はもちろんのこと、メリットとデメリットも異なります。

外廊下のメリット

  • 通気性が良い
  • 太陽の光が入って室内が明るい
  • 管理コストが安い
  • 火災時に避難しやすい

外廊下のデメリット

  • 天候によって雨や雪、ゴミが入り込む
  • 外気の影響を受けやすい
  • 足音が響きやすい
  • 外から様子が見られてしまう

内廊下のメリット

  • 空調が整備されている
  • プライバシーを守れる
  • 足音が響きにくい
  • 高級感がある

内廊下のデメリット

  • 管理コストがかかる
  • 臭いや湿気がこもりやすい
  • 閉鎖性があるため室内侵入されるリスクがある
  • 火災時に被害が大きくなるリスクがある

マンションの廊下は、他の入居者と共に使う「共用部分」に該当します。共用部分は、入居者では変えられません。マンションを選ぶときには廊下にも注目しておかないと、入居後に思わぬトラブルを抱えてしまう恐れがあります。

この記事では、マンションの廊下タイプ2つについて、それぞれの特徴と上記のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。そして、どちらの廊下タイプが自分に合っているかをご判断いただけるように、マンションの廊下タイプ別に向いている人もお教えします。

さらに、マンション購入後に後悔しないために、マンションを選ぶときに見ておきたい廊下のチェックポイントも説明します。

この記事が、マンション選びの一助となれば幸いです。

目次

マンションの廊下には2タイプある

マンションの廊下というのは、住民が共用玄関から居室までの間を移動する細長い通路のこと。そのマンションに住む人全員が共通して利用するところであることから、共用部分として扱われます。

そんなマンションの廊下は、冒頭で説明した通り「外廊下」と「内廊下」の2タイプがあります。

外廊下は、共用廊下が外に設置され、外気に触れるタイプの廊下です。マンションの多くに採用されています。

外廊下を採用しているマンションの住戸は、基本的には全て同じ方向に並んでいるのが特徴です。

内廊下は、共用廊下がマンションの中に設置され、外気に触れないタイプの廊下です。高層マンションで採用されることが多いです。

内廊下を採用しているマンションの住戸は、廊下の両側に配置されています。ホテルをイメージすると分かりやすいかもしれません。

これらマンションの廊下2タイプは、それぞれメリットとデメリットも異なります。次の章から、外廊下と内廊下に分けて詳しく解説していきましょう。

マンションの外廊下タイプのメリット・デメリット

まず、マンションの廊下タイプで一般的な、外廊下のメリットとデメリットを解説します。

外廊下のメリット4つ

外廊下のメリットは、次の4つです。

  1. 通気性が良い
  2. 太陽の光が入って室内が明るい
  3. 管理コストが安い
  4. 火災時に避難しやすい

1つずつ説明しましょう。

1. 通気性が良い

外廊下は、マンションの外に設置されていて外気に触れるため、通気性が良いです。臭いや湿気が廊下にこもることがありません

また、外廊下を採用しているマンションの住戸には、基本的に廊下側とベランダ側に窓が設置されているため、これらの窓を開ければ居室全体に風を通すこともできます

玄関から居室まで、換気設備に頼らず効率良く換気できるのが外廊下のメリットです。

2. 太陽の光が入って室内が明るい

外廊下を採用しているマンションの住戸は片側に配置されるため、東向きや南向きといった日当たりの良い条件でマンションが建てられることがあります。

このため、外廊下タイプのマンションの居室には太陽の光が入りやすく、部屋が明るくなります。窓を開ければ太陽の光が入るため、基本的に日中は明かりを点ける必要がありません。節電対策にもなります

また、部屋の中に日差しが入るため、冬は部屋も暖かくなりやすいです。1日中暖房を効かせなくて済むことになります。

3. 管理コストが安い

外廊下タイプのマンションは、後ほど説明する内廊下タイプのマンションと比べると管理コストは安いです。

内廊下の場合、廊下に敷かれているカーペットの清掃や張り替え、廊下の空調の運転費といった管理費用を支払う必要があります。一方外廊下にはカーペットや空調の設備がないため、これらを管理・維持するための費用は発生しません。

外廊下タイプのマンションの管理費は全くないわけではありませんが、全体的に住居費の節約につながります。

4. 火災時に避難しやすい

外廊下タイプのマンションは、防災面でのメリットがあります。万が一火災が起きたとき、消防車のはしごは外廊下の柵に設置されることもあるため、ベランダだけでなく廊下からも避難できるからです

また、外廊下は通気性が良いため、火災が発生したときは煙が廊下に充満しにくいです。煙や一酸化炭素といった有毒な物質の影響を最小限にしながら、避難することが可能になります

マンションを選ぶときに意外と見落としがちな避難経路ですが、外廊下タイプであれば安心できるでしょう。

2-2. 外廊下のデメリット4つ

外廊下タイプには、次の4つのようなデメリットもあります。

  1. 天候によって雨や雪、ゴミが入り込む
  2. 外気の影響を受けやすい
  3. 足音が響きやすい
  4. 外から様子が見られてしまう

順番に説明していきましょう。

1. 天候によって雨や雪、ゴミが入り込む

外廊下タイプのマンションだと、天候によって雨や雪、ゴミが廊下に入り込んできてしまうことがあります。

廊下の上に屋根はあるものの、豪雨であった場合は廊下でも傘を差さないと濡れてしまうことがあります。玄関から居室まで遠い場合は、住戸に着くまで雨風にさらされることもあるでしょう。

強風のときは、雨の他に外の砂やゴミ、葉っぱなどが廊下に飛んできてしまい、廊下が汚れてしまうこともあります。雪が降ってきたときは、廊下に雪が積もることもあります。

雨や雪が降ったり、強風が吹いたりしている日は、窓を開けられなくなり、換気もしにくくなります。雨や雪、強風によって廊下が汚れてしまったら、掃除をしなければなりません。

天候によっては快適に過ごしにくいのが、外廊下のデメリットです。

2. 外気の影響を受けやすい

外廊下は、外気の影響を受けやすいからこそのデメリットがあります。それは、外廊下の気温=外の気温であること。特に、夏と冬に実感することになります。

夏は30℃以上の猛暑が当たり前になった今、外廊下タイプのマンションの場合は玄関を開けたらすぐ、その暑さを体感します。冬の寒い日は、玄関を出たら震え上がるほどの寒さを直に実感することになるでしょう。

居室から共用玄関までの距離が遠い場合、夏と冬は出かけるときに苦痛になるかもしれません。ポストが共用玄関に設置されている場合は、配達物を取りに行くのが億劫になることもあるでしょう。

居室も外気の影響を受けやすくなります。特に外廊下側の部屋は、他の部屋と比べると夏は暑く、冬は寒くなりやすいです。

外廊下の外気の影響を受けやすいという特徴は、季節によってはデメリットになります。

3. 足音が響きやすい

外廊下にはカーペットが敷かれていないため、足音が響きやすいです。外の音や騒音など、日常生活で音に敏感な人にとってはデメリットとなるでしょう。

また、足音が響きやすいことで、近隣住民に外出時間や帰宅時間を知られてしまう恐れもあります。

マンション全ての外廊下が足音の響く廊下とは限りませんが、外廊下タイプのマンションだと人によっては快適な環境でない場合もあるのです。

4. 外から様子が見られてしまう

外廊下タイプを採用しているマンションの居室の玄関は、外から全て見えている状態です。

つまり、住民の様子が外から見られてしまうということ。外出時間や帰宅時間などを外部の人に知られるリスクがあります。外部に住民の様子が知られてしまうと、空き巣といった被害に遭う恐れがあることは覚えておきたいところです。

特に、低層階の居室の場合は、注意が必要でしょう。低層階でも角部屋にするか、上層階の居室を選べば、外部に様子を知られるといったリスクは低くなります。

マンションの内廊下タイプのメリット&デメリット

続いて、高層マンションに多い内廊下のメリットとデメリットについて解説していきます。

内廊下のメリット4つ

内廊下のメリットは、次の4つがあります。

  1. 空調が整備されている
  2. プライバシーを守れる
  3. 足音が響きにくい
  4. 高級感がある

1つずつ説明しましょう。

1. 空調が整備されている

内廊下には、空調が整備されています。

空調が整備されているのは、外廊下とは異なって空気がこもりやすいため。空調は、基本的に24時間稼働しているため、廊下は一年中快適な環境です

外廊下とは異なり、玄関を開けても外気の影響を受けません。夏の暑い日も冬の寒い日も、悪天候の日も、共用玄関から居室間は気持ち良く移動できます。

2. プライバシーを守れる

内廊下を採用しているマンションの居室の玄関は外からは見えないため、住民の出入りが外部に知られることはありません。プライバシーを守れるのが、内廊下のメリットです。

オートロックのマンションであれば、不審者もマンション内に入りにくいため、より一層プライバシーを守れる上、防犯面でも安心です。

3. 足音が響きにくい

マンションによっては内廊下にカーペットが敷かれているため、足音が響きにくいといったメリットもあります。近隣の住民に外出時間や帰宅時間も知られにくくなります。

外廊下タイプのマンションと比べると、音に悩まされることが少なく、静かで快適に過ごしやすいのが内廊下です。

4. 高級感がある

内廊下タイプは、高級感のある内装が多いです。おしゃれなカーペットや照明が設置されていることもあり、ホテルのような雰囲気があります。

高級感があると贅沢な気持ちになるもの。住んでいて高い満足度を得やすいのが、内廊下のメリットです。

3-2. 内廊下のデメリット4つ

内廊下には、次の4つのようなデメリットもあります。

  1. 管理コストがかかる
  2. 臭いや湿気がこもりやすい
  3. 閉鎖性があるため室内侵入されるリスクがある
  4. 火災時に被害が大きくなるリスクがある

1つずつ見ていきましょう

1. 管理コストがかかる

内廊下には次のような特徴があるため、外廊下タイプのマンションより管理費が高い傾向にあります。

  • 換気や温度を調整するための空調が整備されている
  • 昼間でも照明を点ける
  • マンションによってはカーペットを敷いている

空調は24時間効いているためその費用、照明の電気代、カーペットの張り替えや清掃にかかる費用などが、共用部分の管理費として加算されるのです。

多少のコストはかかっても、空調の効いた快適な廊下で、プライバシーを守れる内廊下タイプにするか、なるべくコストを下げて自然に換気できて開放感のある外廊下タイプにするか、予算や条件を考慮して選ぶ必要があるでしょう。

2. 臭いや湿気がこもりやすい

内廊下は24時間換気されているとはいえ、外からの風を通さないため、臭いや湿気がこもりやすいのもデメリットです。

外廊下タイプのマンションのように廊下側に窓はありません。玄関のドアや窓、ベランダの窓の二面を開けて空気を入れ替えるといったことは、内廊下タイプのマンションでは難しくなります。

3. 閉鎖性があるため室内侵入されるリスクがある

内廊下タイプのマンションは、外部から居室の玄関が見えないため、犯罪に遭うリスクは低いですが、完全にゼロではありません。

閉鎖性があってプライバシーを守りやすいというのは、反面、視線の届かないところがあれば人が入りやすいともいえます。不審者が住民に混じって玄関から入ってくることも考えられ、死角に隠れて室内侵入されるリスクがあるのです。

また、マンションによっては、24時間照明が明るいわけではありません。高級感を出すために薄暗くしていることもあるので、不審者にとっては人目に付きにくいという好条件が生まれます。

こうした内廊下の環境を利用した犯罪も起きやすいことは、念頭に置きたいところです。

4. 火災時に被害が大きくなるリスクがある

内廊下は、外廊下と比べると通気性が良くないため、臭いや湿気の他、火災が起きてしまったら煙がこもりやすくなります。炎や煙で廊下が充満しやすく、視界が悪くなって逃げにくくなり、被害が大きくなるリスクが高まります。

もちろんマンションは安全面を考慮して建設されていますが、外廊下と比べると避難経路を確保しにくいということはデメリットとして覚えておきたいところです。

向いているマンションの廊下タイプは?

マンションの廊下タイプは、好みやライフスタイルに合った廊下を選ぶと良いですが、廊下の特徴やメリット・デメリットを見ても「自分はどの廊下タイプが良いのか、判断できない…」という方もいるでしょう。

そんな方のために、ここでは外廊下が向いている人、内廊下が向いている人を説明します。マンション選びのときにご参考ください。

外廊下タイプが向いている人

外廊下タイプが向いているのは、次のような人といえます。

  • 開放感が欲しい
  • 通気性と採光性があり、自然な環境で暮らしたい
  • 高い管理費は気になる
  • 防災面で安心できる暮らしをしたい
  • なるべく割安な物件を選びたい

外廊下タイプのマンションは、開放感があります。通気性と採光性があるため、自然な環境で暮らしたい方におすすめです。

内廊下タイプのマンションと比べると、廊下のカーペットや空調など共用部分で使われている設備が少ないため、管理費は安くなります。「高い管理費を払うのはちょっと…」と抵抗がある方も、外廊下が向いているでしょう。

防災の面で見ると、外廊下の方が安心できるといえます。もし災害があったときに逃げやすさを重視するなら、外廊下タイプが良いです。

また、外廊下はマンションでは一般的のため、比較的多くの物件があります。そして、多く建築しやすい「田の字」の間取り(※)の居室が採用されることが多いため、物件の価格が安くなることもあります。

内廊下タイプのマンションと比べると物件を探しやすいため、なるべく多くの物件を見て、安い物件を選びたい人にもおすすめできます。

※玄関を入るとリビング・ダイニング・キッチンまで伸びる廊下があり、その両脇に部屋が1室ずつある間取りのこと

内廊下タイプが向いている人

内廊下タイプが向いているのは、次のような人といえます。

  • 外気の影響を受けたくない
  • プライバシーを重視したい
  • 人の足音など音に敏感
  • 管理費や家賃が高めでも、高級感のあるところに住みたい

内廊下タイプのマンションは、外がどんな天候であってもその影響は受けません。外気の影響を受けず、換気や空調の効いた快適な環境で暮らしたい人に向いているでしょう。

プライバシーを重視したい方にもおすすめです。玄関は外部からは見えませんし、カーペットが敷かれているマンションもあるため、足音によって近隣住民に外出時間や帰宅時間を知られにくいです。

こう考えると、内廊下タイプのマンションは一人暮らしをする方や女性、ハイクラス志向の方に向いているといえます。

トラブルを回避!マンションを選ぶときの廊下のチェックポイント7つ

マンションを選ぶときは廊下の特徴やメリット・デメリットを踏まえるだけでなく、マンション購入後のトラブルを回避するために、実際の廊下をしっかり見ておく必要があります。

マンションを選ぶときに見ておきたい廊下のチェックポイントは次の7つです。

  1. ゴミや私物の置きっぱなしがないか?
  2. 清掃がしっかり行き届いているか?
  3. 気にならない音の響き具合か?
  4. 部屋のプライバシーを守る工夫があるか?
  5. 見通しの良い作りになっているか?
  6. 防災設備は充実しているか?
  7. バリアフリーを意識するなら廊下の幅をチェック!

順に説明していきましょう。

1. ゴミや私物の置きっぱなしがないか?

廊下にゴミや私物といった物の置きっぱなしがないかチェックしましょう。廊下に物が置かれている状況で、そのマンションの住民のマナーの善し悪しが分かるからです

そもそもマンションの廊下は共用部分なので、ゴミや私物を置くのは原則禁止されています。そんな共用部分の廊下に、一時的ではあってもゴミや私物が置いてあると、

  • 悪臭や汚れの一因になる
  • 万が一災害が起きたときの避難の邪魔になる
  • 放火につながる

といったトラブルが起きやすくなります。

廊下にゴミや私物の放置が多かったら、そこのマンションの住民マナーは良いとはいえません。

マナーを守らない人と一緒に住むと何かと問題に巻き込まれやすくなります。近隣住民と快適に、良い関係で暮らすためにも、廊下に置いてある物の状況をチェックすることが大切です。

2. 清掃がしっかり行き届いているか?

廊下の清掃がしっかり行き届いているかを見ることも大切です。ゴミが散乱していたり、虫の死骸などが多く転がっていたりする廊下の場合、住民やそのマンションの管理人の清掃意識が分かるからです

マンションの廊下のような共用部分の清掃については、専門の会社に委託されている場合が多いですが、マンションによっては委託しておらず、マンションの所有者で構成される「管理組合」で対応している場合もあります。

清掃を委託しているにしろ、管理組合で対応しているにしろ、ゴミや虫の死骸などで廊下が汚れていて、清掃が行き届いていない場合は、そのマンションは廊下の清掃に力を入れていないことが伺えます。

また、廊下の清掃は「入居者は対応してはいけない」という決まりもありません。このため、廊下がゴミでいっぱいだったら、そのマンションの入居者の清掃意識が低いことが分かるでしょう。

快適な住まい環境は、マンションの住居人みんなで作るもの。そうした意識があるかを見られるのが、廊下の清掃状況といえます。

3. 気にならない音の響き具合か?

マンションの廊下に響く音が、自分にとって気にならないか確認しておきましょう。特に、外廊下タイプのマンション、内廊下タイプのマンションでもカーペットが敷かれていない場合に該当します。

国土交通省が平成31年に公表した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、マンションのトラブルで最も多いのが、入居者の行為やマナーをめぐるもので55.9%と一番多く、その中で「生活音」が38%と最も多いことが分かっています。

生活音というのは、室内にいたときに隣の部屋から聞こえてくる音に注目しがちですが、廊下のような室外から聞こえる音は意外と見落としがちです。

室内で聞こえる音は、実際に住んでみないと分からないこともありますが、廊下に響く音はマンションを見学しに行ったときにチェックしやすいところです。入居後、音に悩まされないためにもしっかり確認しておきましょう。

4. 部屋のプライバシーを守る工夫があるか?

外廊下タイプのマンションを検討していたら、外廊下側のプライバシーを守る工夫が施されているかをチェックしましょう。

外廊下タイプのマンションの居室は、廊下側の部屋のプライバシーが守られにくいといったデメリットがありますが、マンションによってはプライバシーを守る工夫が施されていることもあります。

プライバシーを守る工夫の例

  • 外廊下側の窓に可動ルーバー付面格子(※1)を設けている
  • 外廊下側の部屋の前に光庭(※2)を設けている
  • 外廊下とルーフバルコニーの間に高い柵が設置されている(マンションの端の居室を検討する場合にチェックすると良い)

※1. 通気性が良く目隠しにもなる棒を格子状に取り付けたもの
※2. 建物や壁で囲まれた庭のこと

上記のようなプライバシーを守る工夫がされていれば、防犯面でも安心です。特に人目につきやすい低層階の居室を検討している場合は、しっかり見ておくと良いでしょう。

5. 見通しの良い作りになっているか?

こちらも外廊下タイプのマンションにいえることですが、廊下が見通しの良い作りになっているかもチェックポイントです。見通しの良い廊下の作りでないと、防犯の面でリスクが高まるからです

実は同じ外廊下タイプのマンションでも、死角がない廊下と死角がある廊下があります。

死角がない廊下は、その階の居室全てが一列に並んでいるため、端から端まで廊下の見通しは良いです。

死角がある廊下は、住戸が一列に並んでおらず、途中で曲道があるなどの理由で端から端まで廊下全体を見渡すことができません。死角は不審者にとって隠れやすい好条件のため、空き巣や室内侵入などの被害に遭う恐れがあるのです。

一つ前の「4. 部屋のプライバシーを守る工夫があるか?」で説明したような、プライバシーを守る工夫がされていれば安心です。

入居後に窓や玄関に防犯対策をして解決できる場合もありますが、入居前のマンションを選ぶ段階でしっかり見ておくことで、被害を受けるリスクを最小限にできます。

6. 防災設備は充実しているか?

内廊下タイプのマンションを検討している場合、廊下の防災設備が充実しているかもチェックすると良いでしょう。

内廊下タイプのマンションは、火災が起きてしまったときは煙が充満しやすく、消防のはしごによる救助が受けにくいといったデメリットがあります。そんな内廊下のデメリットを軽減させるのが、防災設備です。

防災設備には色々ありますが、内廊下タイプのマンションでは排煙設備を見ておくと良いでしょう。排煙設備とは、火災が起きたときに煙を外に出すための設備。自然の力で煙を建物の外へ出す「自然排煙」と機械の力で煙を建物の外に出す「機械排煙設備」の2種類があり、内廊下タイプのマンションではどちらかを設置しなければならないことになっています。

また、内廊下を採用していることが多い高層マンションの中には「加圧防煙システム」という、火災が起きたときに廊下を加圧して煙の漏れを防ぐ設備を設置しているところもあります。

こうした災害時に被害を最小限にできる設備が整っているかを見ることも大切です。

7. バリアフリーを意識するなら廊下の幅をチェック!

同居する家族や老後を考えて、バリアフリーを意識してマンションを買う方は、廊下の幅もチェックしておきましょう。共用玄関や居室部分のバリアフリーは意識しやすいですが、廊下部分については意外と見落としがちです。

マンションの廊下の幅は、「建築基準法施行令 第119条」の規定により決められています。

(廊下の幅)
第百十九条 廊下の幅は、それぞれ次の表に掲げる数値以上としなければならない。

廊下の配置
廊下の用途
両側に居室がある廊下における場合
(単位 メートル)
その他の廊下における場合
(単位 メートル)
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校における児童用又は生徒用のもの 二・三 一・八
病院における患者用のもの、共同住宅の住戸若しくは住室の床面積の合計が百平方メートルを超える階における共用のもの又は三室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が二百平方メートル地階にあつては、百平方メートル)を超える階におけるもの 一・六 一・二

出典:建築基準法施行令|e-Gov法令検索

マンションの場合は、上記の「廊下の用途」の2番目に該当し、「両側に居室がある廊下における場合」は外廊下、「その他の廊下における場合」は内廊下に当てはまります。

それぞれの廊下の幅は、以下の通りでなければならないことになります。

  • 外廊下の幅…1.2m以上
  • 内廊下の幅…1.6m以上

外廊下と内廊下で廊下の幅が異なるのは、火災などの災害時に住民が安全な避難経路を確保するため。内廊下が外廊下より幅が広いのは、内廊下タイプの居室が廊下の両側にあることが多いため、多くの人が避難できるように余裕を持たせるためなのです。

バリアフリーを意識する場合、廊下の幅はどのくらいあると良いのかというと、車いすが通っても対面通行できるような幅です。既定の幅ちょうどで廊下が作られていると、車いすで通ったときに一方通行になりやすく、他の住民が通れなくなる恐れがあります。

このため、検討しているマンションの廊下が規定以上のゆとりがある幅で作られているかを確認すると良いでしょう。

まとめ

マンションを選ぶときは、廊下にも注目する必要があります。

マンションの廊下には「外廊下」と「内廊下」の2種類があり、それぞれ特徴とメリット&デメリットが異なり、向いている人も変わります。

外廊下 内廊下
採用される

マンションのタイプ

  • 一般的なマンション
  • 低層マンション
高層マンション
メリット
  • 通気性が良い
  • 太陽の光が入って室内が明るい
  • 管理コストが安い
  • 火災時に避難しやすい
  • 空調が整備されている
  • プライバシーを守れる
  • 足音が響きにくい
  • 高級感がある
デメリット
  • 天候によって雨や雪、ゴミが入り込む
  • 外気の影響を受けやすい
  • 足音が響きやすい
  • 外から様子が見られてしまう
  • 管理コストがかかる
  • 臭いや湿気がこもりやすい
  • 閉鎖性があるため室内侵入されるリスクがある
  • 火災時に被害が大きくなるリスクがある
向いている人
  • 開放感が欲しい
  • 通気性と採光性があり、自然な環境で暮らしたい
  • 高い管理費は気になる
  • 防災面で安心できる暮らしをしたい
  • なるべく割安な物件を選びたい
  • 外気の影響を受けたくない
  • プライバシーを重視したい
  • 人の足音など音に敏感
  • 管理費や家賃が高めでも、高級感のあるところに住みたい

廊下は、マンションの場合は共用部分になり、何らかのトラブルが起こっても変えられないところです。入居後にトラブルを抱えないためにも、マンションの購入前の選ぶ段階で廊下を見ておくことが大切です。

マンションの廊下は、次の7つのチェックポイントを意識して確認しましょう。

  • ゴミや私物の置きっぱなしがないか?
  • 清掃がしっかり行き届いているか?
  • 気にならない音の響き具合か?
  • 部屋のプライバシーを守る工夫があるか?
  • 見通しの良い作りになっているか?
  • 防災設備は充実しているか?
  • バリアフリーを意識するなら廊下の幅をチェック!

マンションの外廊下も内廊下も、それぞれメリットとデメリットがあります。ライフタイルや「これだけは譲れない!」という条件を考慮しながら、廊下のタイプも意識してマンションを選んでみてくださいね。

 

 

この記事の執筆
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

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