マンションの維持費は高い?毎月の費用目安と内訳を大公開!一戸建てとの比較
マンションの維持費には、大きく分けて、<1>管理費、<2>修繕積立金、<3>駐車場代・駐輪場代、<4>固定資産税・都市計画税、<5>保険料(火災保険料など)の、5つがあります。
これらの維持費を年間合計にすると、幅はありますが、毎年46.5万円~94万円程度かかる計算です。本文では、5つの維持費それぞれの内訳についてもかなり詳しく解説していきます。
▼この記事を読むと分かること
◎マンションには5つの維持費がかかる【合計で毎年46.5万円~94万円程度】
- 管理費:毎月1.5万~2万円程度
- 修繕積立金:毎月1万円~1.5万円程度
- 駐車場代・駐輪場代:毎月5,000円~3万円程度(車が無ければゼロ)
- 固定資産税などの税金:毎年10~15万円程度
- 保険料:毎年5,000円~1万円程度(10年払い)
◎中古マンションは築年数とともに、維持費が値上がりする可能性もある
◎一戸建てには4つの維持費がかかる【合計で毎年32万~45万円程度】
- 修繕費用:30年間で495万、50年で750万円程度
- 保険料:10年間で10~15万円程度
- 固定資産税など:毎年10~15万円程度(ただし不動産価値によってかなり幅がある)
- 庭の手入れ・警備代・電気代など:毎月5,000円~1万円程度
「マンションの維持費は一戸建てよりも高い」と良く言われますが、適切に管理・修繕を行う場合、それほど大きく価格が変わるわけではありません。ただし、駐車場代が高いエリアは、駐車場だけで年間30万~90万円かかるため、差が大きくなります。
「マンションと一戸建て、どちらにするか迷っている」という方も、「購入前にマンション維持費の相場を詳しく知っておきたい」という方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
宅地建物取引士/元銀行員 宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。
鰭沼 悟
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マンションに住むために必要な5つ維持費
分譲マンションを購入して住み続ける場合、以下のような5つの維持費がかかります。
維持費の種類 | 平均月額 | 平均年額 |
(1)管理費 | 毎月1.5万円~2万円程度 | 毎年18万円~24万円程度 |
(2)修繕積立金 | 毎月1万円~1.5万円程度 | 毎年12万円~18万円程度 |
(3)駐車場代など | 毎月5,000円~3万円程度※車が無い方はゼロ | 毎年6万円~36万円程度※車が無い方はゼロ |
(4)固定資産税など | ー | 毎年10~15万円程度※東京都内の新築マンションの場合 |
(5)保険料 | ー | 毎年5,000円~1万円程度(10年払い) |
合計 | 毎月3万円~6.5万円程度 | 毎年46.5万円~94万円程度 |
これはあくまで平均相場を示したもので、住人向けの施設が充実しているなど管理費がかなり高めのマンションや、都内の人気のエリアで駐車場が非常に高いマンションなどはこれよりもかかる場合があります。
5つの項目について、それぞれ詳しく解説していきます。
1.管理費:主に共用部分を管理するために毎月払う費用
マンションの管理費とは、「マンション(主に分譲マンション)の日常的な維持管理をするための費用」をいいます。
管理費はこんな用途に使われます
- 常駐している管理人がマンションを清掃・管理・保全するための費用
- 共用部分(廊下や駐車場、庭、エレベーターなど)の電気代や水道料金
- 共用部分の電球を交換する費用
- ゴミを処分するための費用
- 常駐している管理人の人件費
- エレベーターや貯水槽などの保守点検費用
- 共用部分の火災保険やその他の損害保険の保険料
平成30年度の調査では、1戸あたりのマンション管理費の全体平均は月額15,956円となっています。ただし、年々新築マンションの管理費は高くなっており、相場としては毎月1.5万円~2万円程度です。
もっと詳しく知りたい方は、「マンションの管理費について説明しているこちらの記事」もご覧ください。
2.修繕積立金:大規模修繕に備えて積み立てておく費用
マンションの修繕積立金とは、マンションを修繕する(壊れたり劣化したりしたものを直す)ための費用で、相場は毎月1万円~1.5万円程度です。
修繕費は一度に何百万円単位でかかるため、毎月修繕積立金という名目で徴収し、必要な時までお金をプールしておく必要があります。
修繕積立金はこんな用途に使われます
- 10〜15年ごとに行われる大規模修繕の費用
- 外壁の改修工事
- 屋根、屋上の防水改修工事
- 外装、内装、階段の手すりなどのペンキ塗り替え
- 敷地内駐車場や駐輪場の補修、増設費など
- 給排水管の取り替え工事費
- 受水槽の取り替え工事費
- 台風、地震など自然災害による損傷の修繕
- 集合ポストの取り換え
- その他、共用部分の変更や改修工事
修繕積立金についてもっと詳しく知りたい方は、「マンションの修繕費について説明しているこちらの記事」もご覧ください。
3.駐車場代・駐輪場代
駐車場や駐輪場などを借りる場合は、毎月その料金がかかります。
マンション駐車場の相場はエリアごとや物件ごとにかなりまちまちですが、おおよそ毎月5,000円~3万円程度となるでしょう。ただし、東京都中央区や港区など特に駐車場代が高いエリアでは、5〜8万円などかなり高額な料金がかかるところもあります。
自転車やバイクを停める駐輪場の料金は、台数にもよりますが、かかっても1,000円未満が一般的でしょう。マンションによっては1台までは無料など、料金がかからない場合もあります。
4.固定資産税・都市計画税
マンションを所有している人が払わなければならない税金として、固定資産税と都市計画税があります。
固定資産税も都市計画税も、土地や住宅などの固有資産に課税される地方税です。毎年その資産に応じた金額が計算されて通知され、払込用紙や口座振替で各自治体に納税します。
固定資産税の税率は1.4%(標準税率)、都市計画税の税率は0.3%(上限)と定められており、所有している物件ごとに算定された評価額に税率をかけて算出します。
住宅にかかる固定資産税には各種の軽減措置が設けられており、例えば200㎡までの部分の土地にかかる課税評価額が1/6に軽減されるなどの制度があります。
マンションの広さや地価、築年数によって評価額が異なりますので、納める税金の金額は人それぞれ異なります。
例えば、東京都における新築マンションの固定資産税の相場は、毎年10~15万円程度が相場です。地価が安いエリアや築年数が古いマンションの場合は固定資産の評価額が下がるため、これよりも低くなることも多いでしょう。
5.保険料(火災保険料など)
マンションの専有部分が火災・地震などの天災に合った場合や水漏れを起こしてしまった場合に備えて、火災保険や地震保険に入る必要があります。
火災保険料は月額ではなく1年~10年分まとめて払うのが一般的です。一括で長く払うほど保険料が安くなります。
マンションの場合、共有部分(外壁や廊下など)の保険はマンション全体で入っているため、一戸建てに比べると補償を最小限にでき、火災保険料も地震保険料もそれほど高額にはなりません。
補償内容にもよりますが、10年払いの保険料の相場は5万円~10万円程度です。
マンションの火災保険の選び方を知りたい方は、「マンションの火災保険について詳しく説明しているこちらの記事」もご覧ください。
中古マンションは維持費の値上がりに注意
前章では、マンション全般の維持費について解説しましたが、築年数が古くなればなるほど維持費が値上がりする可能性についても考えておかなければなりません。
物件にもよりますが、新築分譲時には管理費や修繕積立金が低めに抑えられているのが一般的です。その方が、マンションを販売しやすいからです。この場合、管理費や修繕積立金の収支状況に応じて、10年後や20年後には値上がりするケースが多いでしょう。
新築から時間が経過するに従ってマンションの劣化は進みますので、築年数が古いマンションは修繕に必要な金額がどんどん膨らんでいきます。
また、住人の高齢化・空室化・未払いなどにより管理費や修繕積立金の徴収額が減ってしまうと、これらの維持費が値上がりする可能性もあります。
新築時よりも築年数の古いマンションの方が維持費は高くなりがちということは覚えておくと良いでしょう。
マンションの維持費で考慮しておきたいポイント
その他、マンションの維持費を考えるうえで考慮しておきたいポイントをまとめました。
3-1. 建て替えでさらなる住民負担の可能性がある
マンションの老朽化が進んで建て替えが必要となる場合は、その費用は住人が負担しなければなりません。建て替え費用の相場は、一戸あたり2,800万円程度といわれています。さらに、建て替え以外に引っ越し費用や仮住まいを用意する費用も必要です。
建て替え時期が迫っているマンションを購入する場合は、建て替えの可能性についても考慮しておく必要があります。
3-2. 管理費や修繕積立金の収支状況が重要
2章で述べた通り、管理費や修繕積立金の未払いなどが横行すると、本来徴収できるはずの管理費や修繕積立金を得られないため、収支状況が悪化していき、値上げせざるを得ない状況になる可能性があります。
例えば、管理費と修繕積立金の合計が月3万円の50戸のマンションの場合、通常ならば月150万円集まりますが、10戸の滞納があると月30万円が未収になります。
高齢者が多いマンションや、マンションに住んでいない所有者が多い場合も、将来的に収支状況が悪化する可能性があります。
中古マンションを購入する場合は、内見の際に管理費や修繕積立金の収支状況を把握するとともに、大規模修繕計画がしっかり作成されているかチェックしておくと良いでしょう。
マンションと戸建ての維持費はどちらが高い?
この記事を読んでいる方の中には、マンションにするか一戸建てにするか決めかねている方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、マンションの維持費と戸建ての維持費を比べるとどうか?という視点で解説していきます。
4-1.戸建ての4つの維持費
戸建てを適切に維持するためには、以下のような費用がかかります。
維持費の種類 | 平均月額 | 平均年額 |
(1)修繕費用 | ー | 30年間で495万、50年で750万円程度(1年あたり15~16.5万円程度) |
(2)保険料 | ー | 10年間で10~15万円程度(1年あたり1万~1.5万円程度) |
(3)固定資産税など | ー | 毎年10~15万円程度ただし不動産価値によってだいぶ幅がある |
(4)庭の手入れ・警備代など | 毎月0.5万~1万円程度 | 毎年6万~12万円程度 |
合計 | 月額換算で2.7万円~4.6万円程度 | 毎年32万~45万円程度 |
1.修繕費用:外壁や屋根の塗装、水回りの修繕など
マンションの場合は共用部分(外壁や柱、基礎、共用廊下、エレベーターなど)の修繕費を「修繕積立金」という形で毎月徴収されますが、一戸建ての場合は外壁や屋根などの修繕費は自己責任で行います。
アットホーム株式会社が行った調査結果によると、一戸建ての修繕費用の平均は、築30~34年の方が556万円、築50年の方が750万円となっています。
例えば、約100万円かかる外壁塗装を10年ごとに行うと、30年で300万円かかる計算となります。この他、屋根の塗装やベランダ・バルコニーの修繕など適切に維持するために、まとまった金額が必要となることが分かります。
2.保険料(火災保険・地震保険)
マンションでも火災保険などの保険料はかかりますが、一戸建ての方が保険料は高くなります。なぜならば、マンションは外壁など共用部分の補償は必要ありませんが、一戸建ての場合は外壁や屋根などの補償も必要となるからです。
また、マンションではリスクが少ない水災、風災、地震保険についてもカバーしなければならないため、補償内容が手厚くなり保険料は高くなります。
保険料は補償内容によってかなり変わりますが、だいたい10年間で10~15万円程度が一般的でしょう。
関連:マンションの火災保険について説明している記事
関連:マンションの地震保険について説明している記事
3.固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税の相場は、マンションの場合とそれほど変わらず、10万~15万円程度です。
ただし前述した通り、税金の金額は固定資産評価額によって決まるため、敷地が広大な場合や地価が高いエリアの場合はこれよりも高くなる場合もあります。
4.庭の手入れ・警備代・電気代など
毎月管理費が徴収されるマンションと違って、一戸建てには管理費はありません。しかし、管理費の代わりに各種費用が発生します。
例えば、植栽など庭を維持するための費用、警備会社のセキュリティーサービス、駐車場などの電気代などがあります。
電気代は、日本生活協同組合連合会の調査によると、マンションなど集合住宅よりも一戸建ての方が月平均2,000円ほど電気代が高いことが分かっています。
これらの金額を合わせると、大体毎月5,000円~1万円程度の費用になります。
4-2. マンションと一戸建ての維持費を比較シミュレーション
マンションでは毎月かかる管理費・修繕積立金ですが、一戸建ての場合は毎月かかるものではありません。
そこで、両者を比較するために、30年住んだ時の累計額を比較シミュレーションしてみます。
<30年住んだ時の維持費シミュレーション>
維持費の種類 | マンション | 維持費の種類 | 一戸建て |
(1)管理費 | 540万円~720万円 | (1)庭の手入れ・警備代など | 180万円~360万円 |
(2)修繕積立金 | 360万円~540万円 | (2)修繕積立金 | 495万 |
(3)駐車場代など | 0~1,080万円 | (3)駐車場代など | 0円 |
(4)固定資産税など | 300万円~450万円 | (4)固定資産税など | 300万円~450万円 |
(5)火災保険料など | 1.5万円~3万円 | (5)火災保険料など | 30万円~45万円 |
合計 | 30年で1,201万円(車なし)~2,793万円(車あり) | 合計 | 30年で1,005万円~1,350万円 |
一見するとマンションの維持費の方がかなり高そうに見えますが、車を所有していない場合で考えると、マンションと一戸建ての維持費はそれほど大きく変わらないことが分かるでしょう。
また、物件購入額と合わせて考えると、一般的には一戸建ての方が高いため、物件購入額+30年間の維持費を比べると、むしろ一戸建ての方が高くなるケースが多いかもしれません。
「マンションの維持費の方が高い」とするサイトもありますが、それは一軒家の修繕費を工夫して節約した場合です。適切に修繕を実施する場合は、それほど維持費は変わらないということを分かっていただけたでしょうか。
マンションと戸建てで迷ったら?決めるポイント
ここまで、マンションと一戸建ての維持費について解説してきました。それでは、「マンションにするか、一戸建てにするか、迷ったらどう決めていけばいいのかポイントを説明します。
5-1. 手間をかけずに維持できるのはマンション
マンションの場合は管理費や修繕積立金が毎月必ずかかるため、一戸建てと比べると強制的にお金がかかる仕組みになっています。
そのため、一戸建てのように維持費を節約するのは難しいのですが、維持に手間をかけたくない方にはむしろおすすめと言えるでしょう。
なぜならば、毎月管理費や修繕積立金を払ってさえいれば、実際の管理や共用部の清掃、メンテナンス、修繕は自分で行う必要がなく、管理会社が代行して行ってくれるからです。
さらに、毎月どんな管理が必要なのか、何年ごとにどんな修繕が必要かなどのプランも管理会社が提案してくれるため、自分で何かを決めたり手配したりする手間もかかりません。
5-2. 工夫して維持費を節約できるのは戸建て
一方、一戸建ての場合は、手間はかかりますが、工夫次第で維持費を節約できます。敷地内の手入れや外壁の塗装など、自分でできるものは自分で作業するようにすれば、労力はかかりますが費用を大幅に減らすことができるでしょう。
マンションのように毎月管理費・修繕積立金を払う必要がないため、自分で必要な項目だけを選んで管理できるメリットがあります。