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「買付証明書」は物件に対する購入意思を示すために売主に提出する書類のこと。作成するメリット・デメリット、注意点をわかりやすく解説。

「買付証明書」とは、希望する物件に対し、購入意思を示すために売主に提出する書類のことです。

「買付」の「証明」と言う言葉のイメージから、購入を約束する証明書というイメージが湧きますが、実際はそうではありません。買付証明書は「キャンセルできるもの」と認識できれば、気に入った物件をみすみす逃す事態も防げます。

本記事では、買付証明書を作成するメリット・デメリット、注意点についてわかりやすく解説します。

「買付証明書」に関するよくある質問

買付証明書とは?

買付証明書とは、買主の物件に対する購入意思を、売り手側がしっかり確認・管理しておくための証明書のことです。買付証明書は、仲介会社の担当者と物件を内覧し、気に入った物件であるときに、売主又は仲介会社宛に提出する書類でもあります。

「物件が気に入ったので、買います」という意思表示にもなるため、物件の購入時には提出が必要になるケースが多いです。

買付証明書の法的効力の有無や有効期限は?

買付証明書に法的効力はなく、仮に提出しなかったとしても、特にペナルティは発生しません。

有効期限は、1〜2週間が一般的です。これらの有効期限は、不動産会社によって決まっていることがほとんどです。

買付証明書の提出のタイミングは?

買付証明書は、物件の購入意思がある程度固まったタイミングですぐに提出します。

他にも購入希望者がいるなら、早めに買付証明書を提出し購入意思を示しましょう。
買付証明書の提出先は、直接やり取りする相手に提出します。基本的に仲介会社を通じて売主に提出しますが、不動産会社を介さず、直接売主とやり取りする場合は、買付証明書を売主に提出します。

買付証明書を提出するメリットは?

買付証明書を提出するメリットは、以下のとおりです。

  • 売主との交渉がスムーズに進められる
  • 値下げに関する情報が優先的に手に入る
  • 仲介会社と信頼関係を築ける

詳細はこちらをご覧ください。

買付証明書を提出する際の注意点は?

買付証明書を提出する際の注意点は、以下のとおりです。

  • 買付証明書は売買の正式な申し込みではない
  • 安易なキャンセルは信用問題に関わる
  • 損害賠償が生じる可能性がある

詳細はこちらをご覧ください。

買付証明書を出した後の優先順位はどのように決まりますか?

買付証明書を出した後の優先順位の決め方に、明確なルールは存在しません。

売主によってさまざまですが、一般的に以下のように優先順位を決めることが多いです。

  • 買付証明書の提出順
  • 買付証明書に記載されている条件
  • 売主の個人的判断

優先順位を買主から決定することはできません。

また、優先順位を決めるための明確なルールも特にないため、参考程度に確認しておきましょう。

買付証明書の宛名は誰にすればいいですか?

買付証明書の宛名は、仲介物件では仲介会社が一般的です。売主が直接物件の募集をしている場合は、売主が宛名になります。物件の売買相手が誰になるかによって宛名は変わるため、記載間違いに注意しましょう。

この記事の監修者

宅地建物取引士/元銀行員
鰭沼 悟

宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

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目次

買付証明書(買付申込書)とは

買付証明書とは、買主の物件に対する購入意思を、売り手側がしっかり確認・管理しておくための証明書のことです。

買付証明書は、仲介会社の担当者と物件を内覧して気に入った際、売主又は仲介会社宛に提出する書類でもあります。

「物件が気に入ったので買います」という意思表示にもなるため、物件購入時に提出が必要になるケースが多いです。

1-1.買付証明書の法的効力の有無

買付証明書に法的効力はなく、仮に提出しなかったとしても、特にペナルティは発生しません。

買付証明書は、あくまで購入の意思表示をしていることに過ぎないため、それほど重く考える必要はありません。

1-2.買付証明書の有効期限

買付証明書の有効期限は、1〜2週間が一般的です。

これらの有効期限は、不動産会社によって決まっていることがほとんどです。

一般的に、買付証明書提出後1〜2週間以内に、後ほど説明する「売渡承諾書」の提示が行われます。

1-3.買付証明書の書式と書き方

買付証明書の書式と書き方に関する決まりは、特にありません。買付証明書の作成は、仲介会社を通じて行うのが一般的です。

自分で買付証明書を作成する場合は、インターネットに掲載されている雛形やテンプレートを使用します。

1-4.買付証明書の提出タイミング

買付証明書は、物件の購入意思がある程度固まったタイミングですぐに提出します。

特に、ほかにも購入希望者がいる場合は、早めに買付証明書を提出し購入意思を示しましょう。

買付証明書の提出先は、直接やり取りする相手に提出します。基本的に仲介会社を通じて売主に提出しますが、不動産会社を介さず、直接売主とやり取りする場合は売主に提出します。

買付証明書の記載項目と作成方法

ここでは、買付証明書の記載項目と作成方法を紹介します。

買付証明書の記載項目と作成方法は、以下のとおりです。

  • 年収
  • 購入希望金額
  • 手付金
  • 土地・物件に関する情報
  • 残代金
  • 金融機関・融資利用の情報
  • 引き渡し希望日・有効期限

不動産会社とやり取りする場合には、これらの記載項目は全て記載してもらえます。

しかし、自分で作成する場合や買付証明書の理解を深める場合には、7つの記載項目と作成方法について確認しておきましょう。

2-1.年収

年収申告は、購入予定者が物件購入にふさわしい収入があるかどうかを判断するためです。

虚偽の年収記載は、信用問題に関わるため正しく申告しましょう。

ただし、会社員と個人事業主によって、年収の確認方法が異なるため注意が必要です。

会社員の場合は「源泉徴収票の支払金額に記載されている金額」個人事業主の場合は「所得金額」を記入します。

2-2.購入希望金額

購入希望金額は、物件をどれくらいの金額で購入するかを記載します。

支払い可能な金額を記入しますが、人気物件の場合、買付証明書が複数提出されることが考えられるため、高めの金額を記入するケースも考えられます。

妥当な金額が分からないという方は、仲介担当者に相談しながら進めましょう。

2-3.手付金

手付金とは、売買契約締結時に、買主から売主へ預けるお金のことで、相場は物件金額の5~10%です。

買付証明書の提出時に、手付金を支払う必要はありません。

しかし、買付証明書の記載項目には必要になるため、物件に見合った手付金の金額を記載しましょう。

2-4.土地・物件に関する情報

土地に関する情報では、地目や公図上に記載されている地番・延べ床面積を記載します。

物件に関する情報では、建物の構造(木造・重量鉄骨・RCなど)を記載します。

土地・物件の情報が不明な場合は、不動産会社や仲介業者に問い合わせましょう。

2-5.残代金

残代金は、購入希望金額から手付金を差し引いた金額です。

一般的に、物件の引き渡し時に残代金を支払います。

住宅ローンに関する情報の記載が必要な場合には、その残代金を記載しましょう。

2-6.金融機関・融資利用の情報

買付証明書には、金融機関・融資利用の情報の記載が必要です。

たとえば、ローン融資がいくらか、融資の対象、諸費用など、どこまで含まれるのかを記載します。

融資の利用を検討中で融資先が決まっていない場合は、「未定」と記載しましょう。

2-7.引き渡し希望日・有効期限

買付証明書には、売買契約や引き渡し希望日などのスケジュールを記載します。

買付証明書提出後から、物件引き渡しまでの交渉を円滑に進めるために必要です。

有効期限は、1〜2週間が目安。

ただし、購入希望金額と売却希望額に差があったり、価格交渉が落ち着いたりする可能性もあるため、有効期限は余裕を持たせることをおすすめします。

買付契約書(買付申込書)と売買契約書との違い

買付証明書と売買契約書には、以下の違いがあります。

スクロールできます
買付証明書売買契約書
目的不動産の購入を意思表示するための証明書不動産の売買契約を結ぶ際の書面
法的効力なしあり
手付金の有無なしあり
本人確認書類なくても良い場合がある必要
キャンセル可能可能だが条件によってはキャンセル費用が発生

買付証明書と売買契約書では、目的から法的効力、手付金の有無まで大きく異なります。

どちらも不動産を売買する際に必要不可欠な書類ですので、売買契約書についても理解を深めておかなくてはいけません。

買付証明書(買付申込書)を提出するメリット

ここでは、買付証明書を提出するメリットを紹介します。

買付証明書を提出するメリットは、以下のとおりです。

  • 売主との交渉がスムーズに進められる
  • 値下げに関する情報が優先的に手に入る
  • 仲介会社と信頼関係を築ける

4-1.売主との交渉がスムーズに進められる

人気が高い物件の場合、買付証明書を提出するライバルが多数現れます。買付証明書を提出していないと、購入意思を示すこと自体ができません。

買付証明書の記載項目には、引き渡し希望日や有効期限などの引き渡しまでのスケジュールを記載します。

これらの項目を明確にすることで、買付証明書提出後から売買契約までの交渉をスムーズに進めることができます。

4-2.値下げに関する情報が優先的に手に入る

なかなか契約合意に至らない場合、売主は物件を早く手放すために価格の引き下げを検討し、そのことは仲介会社の耳に入ります。

このとき、買付証明書を提出している人へ、優先的に情報を共有してくれる可能性が高いです。

また、買付証明書の記載内容から、自分にあった掘り出し物件情報を提案してもらえることもあります。

4-3.仲介会社との信頼関係を築ける

買付証明書を提出することにより、仲介会社との信頼構築が期待できます。先述のとおり、「買付証明書を提出する人は強い購入意思を持った人」と、仲介会社が認識するためです。

物件購入を考えている方にとって、信頼できる仲介会社と巡り合うことは非常に大切なこと。

一度買付証明書を提出し、たとえ契約に至らなかったとしても、仲介会社に希望条件や購入意思が伝わっていれば、確度の高い別の物件に出会える可能性が高まります。

買付証明書(買付申込書)を提出するデメリット

買付証明書を提出するデメリットは、ほとんどありません。

しかし、人気が高い物件であれば、買付証明書が多数提出されます。

売主は、数ある買付証明書の中から条件が良い内容と合意を結ぶことになるため、自分より後に提出した人から交渉が始まることも。

1番初めに提出したからといって、優先的に交渉が進められることではないことに留意しましょう。

買付証明書(買付申込書)を提出する際の注意点

買付証明書を提出する際には、いくつかの注意点があります。

ここからは、下記の順序で買付証明書を提出する際の注意点を紹介します。

  • 買付証明書は売買の正式な申し込みではない
  • 安易なキャンセルは信用問題に関わる
  • 損害賠償が生じる可能性がある

6-1.買付証明書は売買の正式な申し込みではない

あくまで買付証明書は、購入希望の意思表示書類になります。

物件の売買は、買付証明書後に交渉を重ね、売買契約書を結ぶことで完了します。

買付証明書には優先順位がありません。

1番初めに提出したからといって、必ずしも優先的に交渉を進めるわけではないのです。

複数の買付証明書が提出された場合、売主は金額や引き渡し希望時期など、条件が良いものから交渉を進めることがほとんどです。

6-2.安易なキャンセルは信用問題に関わる

買付証明書提出後にキャンセルをしたからといって、ペナルティはありません。

しかし、安易にキャンセルしたり、無断で音信普通になったりすると、売主や仲介会社との信頼問題に関わります。

特に、仲介会社は買付証明書の準備や売主とのやり取りなど、多岐にわたる業務を担います。

安易なキャンセルは今後の取引や信用問題にも影響が出るため、「本当に提出して問題ないか」を慎重に検討しましょう。

6-3.損害賠償が生じる可能性がある

買付証明書の提出後、購入に向けて交渉を進めているにも関わらず、正当な理由なく一方的に売買契約を拒否した場合は、契約締結上の過失責任に問われることがあります。

これは、契約準備に入っていると、売主や仲介する不動産会社に損害を与えてはいけないという義務があるためです。

損害賠償が生じる大きなトラブルを回避するためにも、買付証明書を提出する際に、書類の内容を慎重に検討する必要があります。

【実例】買付証明書(買付申込書)の出し遅れで後悔!

ここでは、ケース別の買付証明書の出し遅れで起こりうるリスクを紹介します。

実際、ゼロリノベでもタッチの差で買付証明書を出すのが遅れ、悔しい思いをしたお客様もいらっしゃいます。

後々後悔しないためにも、ゼロリノベで実際に起こった2つの事例について確認していきましょう。

7-1.【ケース1】価格交渉中に買われてしまった

神奈川方面の人気エリアで物件を探していたOさんご夫婦。自分たちの希望する条件で、優先順位を付けて5つの物件を内件していました。そのうち2つは、眺望や立地などの理由で断念。最後の物件は、想定していたよりも抜群によい物件でした。

しかし、その物件は自分たちが決めていた予算を50万円ほどオーバー。売主に価格交渉を持ちかけて数日、ご夫婦で考えた結果、やはりどうしてもほしい物件ということで、価格交渉をやめて満額で申し込みしたものの、その数日間に別の人が満額で申し込みをしており購入された後でした。

そこから新たに物件を探し、別の物件を購入。しかし、気持ちの整理や希望の物件が出ないなどの理由で、購入までに数ヶ月を要し、家賃の出費が増える結果となりました。

7-2.【ケース2】悩んでる間に買われてしまった

世田谷方面で物件を探していたKさんご家族。自分たちの希望していた条件に当てはまる物件を見つけ、さっそく内見に。周辺環境や街の雰囲気も思っていたより良く、物件自体も問題がありませんでした。

しかし、物件を探し始めてすぐに理想物件が見つかったため、「これで決めてしまっていいのだろうか?他にもあるんじゃないか?」と悩み、ほかの物件も内見。その上で、やはり最初の物件にしようと決意したときには、他の人に購入された後でした。

Kさんご家族は、現在ほかのエリアで物件を探している最中です。

気に入った物件を逃して後悔しないために!

「これぞ!」と思う物件と出会ったら、問題が見つからない限りは、購入するつもりでなるべく早く申し込むのがおすすめ。買付証明書を提出することで、より詳しい物件情報を手に入れることもできます。

一方で、複数の物件に申し込んだり、購入意思があまりないのに買付証明書を出すのは、売主や不動産会社にとって迷惑になるためやめておきましょう。

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売渡承諾書は、買付証明書への返信にあたる書類で、売主との交渉権にも該当します。

とはいえ、口頭で伝えることがほとんどになるため、このような書面を用意するケースは少ないです。

参考程度に、売渡承諾書については認識しておきましょう。

まとめ

買付証明書は、買い手側が売主に対して購入意思を示すためのものです。

法的拘束力は無く、提出後に購入を取りやめても問題にはなりません。

「キャンセルするかもしれないから」と、気に入った物件に対して購入意思を示さないと、人気物件の場合ほかの人に先を越されかねません。

「そんなに早くは売れないだろう」と思いがちですが、売れてしまった後に「しまった!早く申込書を出した方が良いってアドバイスをもらってたのに…」と後悔しても遅いですよね。

物件との出会いは一期一会。後悔しないために、慎重かつ迅速に判断するようにしましょう。


この記事の制作体制
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

  • 鰭沼 悟

    宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

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