【FP監修】子育て世代のリフォーム補助金2025年版|活用法と長期的な資金形成の方法

「子どもが大きくなって部屋が手狭になってきた」「教育費の準備もしなければならないのに、リフォーム費用まで捻出できるだろうか」——子育て世帯にとって、住環境の改善と将来への備えは、どちらも欠かせない課題です。
実は2025年〜2026年にかけて、この「住まいの課題」と「教育資金の課題」を同時に考えるきっかけとなる、補助金制度の拡充が行われています。
本記事では、子育て世帯が活用できるリフォーム補助金制度を詳しくご紹介し、さらに補助金により削減できた費用を活用して長期的な資産形成を行う方法まで、ファイナンシャルプランナーの視点から解説します。
「補助金を知りたい」方も「教育資金の準備まで考えたい」方も、ぜひ最後までお読みください。

ファイナンシャルプランナー
以西 裕介
一般社団法人確定拠出年金推進協会 理事/ファイナンシャルプランナー(2級FP技能士・IFA)保険・証券・企業型DCを軸に、個人と企業の資産形成を支援。年間800件以上の相談と50本超のセミナーを通じて、「本質的に豊かになる選択」を一緒に形にしていく専門家。
リノベ費用の決定版!リノベにかかるお金について総まとめした記事はこちらから
子育て世帯向けリフォーム補助金の活用法
子育て世帯が活用できるリフォーム補助金は複数あり、各家庭の住まいの悩みによって、最適な補助金制度は異なります。「結露がひどい」「給湯器が古い」「耐震性が心配」「子ども部屋が足りない」——それぞれの課題に応じて、最も効果的な補助金を選び、組み合わせることで、リフォーム費用の自己負担を大幅に削減できます。
さらに、補助金により削減できた費用を教育費や将来の備えに回すことで、住環境の改善と長期的な家計の安定を同時に実現することができます。
まずは診断チャートで、あなたの家庭に最適な補助金制度を見つけましょう。
【診断チャート】あなたに最適な補助金制度はどれ?
STEP1:今、一番困っていることは何ですか?
- A. 冬の結露がひどい/夏は暑くて冷房が効かない → ①先進的窓リノベ2025事業(最大200万円)で内窓や窓交換を検討
- B. 給湯器が古くなった/光熱費が高すぎる → ②給湯省エネ2025事業(最大20万円)でエコキュートなどに交換
- C. 築年数が経って地震が心配/家全体を長持ちさせたい → ③長期優良住宅化リフォーム推進事業(最大210万円)で耐震・省エネ・耐久性を一気に改善(※2025年度の申請受付は終了)
- D. 子ども部屋が足りない/家の中の危ない場所を直したい → ④子育てグリーン住宅支援事業(最大60万円)で間取り変更や安全対策
STEP2:もっと補助金を増やせる?「組み合わせ技」のススメ
- ✓ 窓も給湯器も子ども部屋も…全部直したいけど予算が限られている
- ✓ どうせリフォームするなら、まとめて補助金を最大限もらいたい
リフォーム内容が重複しなければ、複数の補助金を同時に使えます。
例えば、「結露がひどい窓を直す(先進的窓リノベ)+ 古い給湯器を交換(給湯省エネ)+ 子ども部屋を作る(子育てグリーン)」をまとめて実施すれば、最大280万円の補助金が受けられます。
詳しくは → 「大掛かりなリフォームこそチャンス!補助金額を最大化する戦略」をご覧ください
子育て世帯のリフォームで使える補助金制度【2025年版】
診断チャートで「自分に合う制度」を見つけたら、以下の詳細をチェックしてみましょう。
① 先進的窓リノベ2025事業(最大200万円)
対象:全ての世帯
実施機関:環境省
冬の結露や夏の暑さに悩んでいる方向けの制度。内窓設置や窓交換で、住宅の断熱性能を大幅に向上させることができます。最大200万円という高額補助が魅力で、光熱費の削減効果も期待できます。
- 対象工事:内窓設置、窓ガラス交換、外窓交換
- 補助額:工事内容・サイズにより5万円〜20万円/箇所、最大200万円/戸
以西窓の断熱性能を上げることで、冷暖房費が年間4〜6万円削減できるケースも。例えば、内窓設置8箇所(補助額60万円)を実施した場合、実質負担は約60万円で済み、光熱費削減効果により約10〜15年で回収可能。さらに結露によるカビ・ダニの発生を抑え、子どもの健康を守る効果もあります。補助金なしでは初期投資が高額ですが、この制度を使えば家計に優しくリフォームが実現できます。
→ 詳しい活用方法・申請の流れは関連記事でチェック!
公式サイト:先進的窓リノベ2025事業
② 給湯省エネ2025事業(最大20万円)
対象:全ての世帯
実施機関:経済産業省
古い給湯器を高効率機器(エコキュート、エネファーム、ハイブリッド給湯器)に交換することで補助金が受けられます。光熱費が高くて悩んでいる子育て世帯には特におすすめの制度です。
- 対象機器:エコキュート(6〜20万円)、エネファーム(18万円)、ハイブリッド給湯器(10万円)
- 補助額:基本額 + 性能加算 + 撤去加算で最大20万円



エコキュートに交換すると、電気代を大幅に削減できます。例えば、本体価格80万円のエコキュートを設置する場合、補助金13万円(基本6万円+性能加算3万円+撤去加算4万円の例)を活用すれば実質負担67万円。ガス給湯器と比べて年間5〜8万円の光熱費削減が見込め、長期的に家計がラクになります。さらに、給湯器が急に壊れた緊急時でも、登録事業者経由なら補助金を受けながらスピーディーに交換できます。
→ 緊急時の対応・詳しい補助額シミュレーションは関連記事でチェック!
公式サイト:給湯省エネ2025事業
③ 長期優良住宅化リフォーム推進事業(最大210万円)※2025年度予算分終了
対象:全ての世帯(子育て世帯・若者夫婦世帯は加算あり)
実施機関:国土交通省
築年数が経って地震が心配、家全体を長持ちさせたいという方向けの制度。耐震性・省エネ性・耐久性を総合的に向上させるリフォームが対象です。子育て世帯なら最大260万円(基本210万円+加算50万円)の高額補助が受けられます。
- 対象工事:耐震改修、省エネ改修、劣化対策、維持管理対策など
- 補助額:工事費の1/3、最大210万円
- メリット:住宅の資産価値向上、地震・災害への備え
世帯状況による加算制度
この制度では、世帯状況に応じて補助金の上乗せ(加算)が受けられます:
| 世帯区分 | 加算額 | 条件 |
|---|---|---|
| 子育て世帯 | +50万円 | 18歳未満の子どもがいる世帯 |
| 若者夫婦世帯 | +50万円 | 夫婦のいずれかが39歳以下の世帯 |
| 三世代同居改修 | +60万円 | 親世代と同居するためのリフォーム(キッチン・浴室・トイレ・玄関のいずれかを複数設置) |
計算例:120万円の工事を行った場合(子育て世帯)
- 基本補助:120万円 × 1/3 = 40万円
- 子育て世帯加算:+50万円
- 合計補助:90万円(実質負担30万円)
公式サイト:長期優良住宅化リフォーム推進事業



⚠️ この事業は令和7年度(2025年度)予算分をもって終了しています(交付申請締切:2025年11月14日)。令和8年度(2026年度)以降は社会資本整備総合交付金の住宅省エネ改修支援に移行予定(検討中)です。詳しくは2026年4月以降、国土交通省の公式サイトでご確認ください。
④ 子育てグリーン住宅支援事業(最大60万円)
対象:全ての世帯(子育て世帯以外も利用可能)
実施機関:国土交通省
名称に「子育て」と入っていますが、リフォームの場合は子育て世帯以外も利用可能な制度です。省エネ改修に加えて、子ども部屋の間仕切り設置や安全対策など「子育て対応改修」も補助対象となるのが特徴。比較的小規模なリフォームから活用できる柔軟性の高い制度です。
- 対象工事:省エネ改修(窓・断熱・エコ設備)+ 子育て対応改修(間仕切り・収納・安全対策)
- 補助額:工事内容により最大60万円(必須工事の実施数による)
- 最低申請額:1申請あたり合計5万円以上



最大の特徴は「子育て対応改修」が補助対象になる点です。例えば、子ども部屋の間仕切り設置(2.8万円)、ビルトイン食洗機設置(2.1万円)、浴室乾燥機設置(2.4万円)など、他の制度では対象外の「暮らしやすさを向上させる工事」も補助が受けられます。省エネ改修とセットで実施すれば、住宅性能と生活の質が同時に向上し、光熱費削減(年間2〜5万円)と家事負担軽減の両方を実現できます。
公式サイト:子育てグリーン住宅支援事業
大掛かりなリフォームこそチャンス!補助金額を最大化する戦略
こんな悩みを抱えていませんか?
- 「冬は結露がひどいし、給湯器も古い。さらに子ども部屋も足りない…でも全部直すお金がない」
- 「どうせリフォームするなら、窓も給湯器も耐震も全部やりたいけど、予算は300万円が限界」
- 「教育費のことを考えると、リフォームに大金を使うのは不安。でも今の家のままでは不便…」
- 「親との同居も視野に入れて、長期的に快適な家にしたいけれど、どこから手をつけていいかわからない」
このような「複合的な住まいの悩み」と「限られた予算」の間で最適解を探している家庭こそ、補助金を最大限活用すべきタイミングです。大掛かりなリフォームで補助金を最大化する戦略は、大きく分けて2つあります。
補助金最大化の2つの戦略
どちらを選ぶべき?
| こんな方におすすめ | 工事内容の例 | 選ぶべき戦略 |
|---|---|---|
| 窓・給湯器中心の部分改修 (総工事費〜300万円程度) | 「結露がひどい」「給湯器が古い」「子ども部屋を増やしたい」という複数の悩みを解決 | → 戦略①:複数制度の組み合わせ |
| 築年数が経過した大規模改修 (総工事費500万円以上) | 耐震+省エネ+劣化対策を総合的に実施し、長期優良住宅認定を取得 | → 戦略②:長期優良住宅化リフォーム単独 ※2025年度の受付は終了 |
リフォームの規模・内容に応じて、最適な補助金戦略を選びましょう。
【戦略①】複数制度を組み合わせる(最大280万円)
窓・給湯器・その他省エネ工事など、工事内容を分けて複数の制度を同時申請する方法。比較的小〜中規模のリフォーム(300万円程度まで)に適しています。重要なの「工事内容を重複させない」こと。例えば、窓の工事費用は「先進的窓リノベ」で申請し、給湯器は「給湯省エネ」、子育て対応改修は「子育てグリーン住宅支援事業」で申請する、というように工事を明確に分けます。
【戦略①の現実的なケース例】窓 + 給湯器 + その他省エネ工事
| 制度名 | 対象工事 | 補助額 |
|---|---|---|
| 先進的窓リノベ2025 | 内窓設置(リビング・寝室など8箇所) | 約60万円 |
| 給湯省エネ2025 | エコキュート交換 | 約13万円 |
| 子育てグリーン住宅支援 | 浴室乾燥機、食洗機、子ども部屋間仕切り | 約35万円 |
| 合計 | – | 約108万円 |
工事総額の目安: 300万円 → 実質負担192万円(補助率36.0%)
【戦略①】複数制度を組み合わせる場合のルール
- 工事内容の重複禁止: 同じ工事費用を複数の制度で二重に申請することはできません
- 登録事業者の選定: 複数制度を併用する場合、各制度に登録している事業者への依頼が必須 ※公式サイトの事業者検索(※窓リノベ・給湯省エネ・子育てグリーンの3事業)はこちら
- 申請タイミング: 制度によって申請時期が異なるため、事前に全体スケジュールを確認しましょう
- 見積書の分離: 工事内容ごとに見積書を分けて作成してもらう必要があります



【戦略①】で最も経済合理性が高い組み合わせは、「先進的窓リノベ(窓)+ 給湯省エネ(給湯器)+ 子育てグリーン(その他)」の3制度併用です。この組み合わせなら、工事内容の重複が起きにくく、上記のケース例(約108万円)のような補助が期待できます。さらに、窓と給湯器の両方を改修することで、光熱費削減効果が年間7〜13万円にも達し、10年で70〜130万円の節約になります。補助金と光熱費削減を合わせれば、実質的な投資回収期間は大幅に短縮されます。
【戦略②】長期優良住宅化リフォーム単独(最大260万円〜320万円)
⚠️ この制度は2025年度(2025年11月14日交付申請締切)で終了しました。以下は参考情報として記載しています。2026年度以降の新制度については、国土交通省の公式サイトでご確認ください。
窓・給湯器・耐震・劣化対策などをすべて1つの制度でまかなう方法。大規模な全面改修(500万円以上)で、耐震性・省エネ性・耐久性を総合的に向上させたい場合に適しています。他制度との併用はできませんが、子育て世帯・三世代同居などの加算により最大320万円まで補助額を増やせるのが特徴です。
【戦略②の現実的なケース例】大規模改修(耐震+省エネ+劣化対策)
| 制度名 | 対象工事 | 補助額 |
|---|---|---|
| 長期優良住宅化リフォーム (子育て世帯加算あり) | 耐震改修、断熱改修(窓含む)、劣化対策、給湯器交換等を含む総合改修 | 最大260万円 (基本210万円+加算50万円) |
長期優良住宅化リフォームは「先進的窓リノベ」「給湯省エネ」「子育てグリーン住宅支援」との併用はできません。
ゼロリノベのフルリフォーム事例:自宅が素敵な空間に!
ここまで補助金の組み合わせ戦略をご紹介してきましたが、「実際にどんなリフォームができるのか?」「理想の住まいを実現した家庭はどんな工夫をしているのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
ゼロリノベでは、家族のライフスタイルに合わせたフルリフォームを数多く手がけています。子育て世帯の間取り変更、省エネ性能の向上、耐震改修など、素敵なリフォーム実例をぜひご覧いただき、あなたの理想の住まいのイメージを膨らませてみてください。
ゼロリノベのリノベーション施工事例
シンプルナチュラルな仕上げにしつつ、在来工法の浴室とロの字の間取りで他にないオリジナルな住まいを計画。日当たりよく広々したLDKは家族の憩いの場になり子どもものびのび遊べます。あえてDIY可能な部分を残し、施主様ご自身で住まいをつくる楽しさをプラスしました。
※費用は引き渡し当時の金額です
ゼロリノベのリノベーション施工事例
子供達が遊べるロフトや回遊性のあるプラン/寝室を寝るだけのスペースとすることで広いリビングダイニングを確保/特注サイズのダイニングテーブルは様々な用途を兼ねる/奥行きのある造作ベンチはクッションの使い方次第でキッチリもダラッとも使える
※費用は引き渡し当時の金額です
ゼロリノベのリノベーション施工事例
無垢の木に憧れがあったという施主様夫婦。安心・安全をテーマに漆喰や木などの自然素材で仕上げました。リビングの一角に造りつけた小上がりは床下に充実の収納確保するとともに、小さなお子さんの将来は子ども部屋として使えるよう計画しました。
※費用は引き渡し当時の金額です
ゼロリノベのリノベーション施工事例
二人のお子さんをもつファミリーの住まい。休日の料理担当であるご主人は、使い勝手のよいキッチンをリクエストされました。キッチンの正面にはマンションの構造体となる壁があったため、家族の思い出の写真や成長を刻めるよう、一部を木で仕上げています。
※費用は引き渡し当時の金額です
ゼロリノベのリノベーション施工事例
森のような一面のグリーンが、家族の時間を豊かに彩ります。スタイリッシュな引き戸で間仕切りしたサンルームはお部屋の主役。広い玄関土間は大空間をオンとオフに分け、家族みんなが快適に過ごせます。子ども部屋の増設も視野に入れ可変性を残した、植物との共生を楽しむ住まいです。
※費用は引き渡し当時の金額です
リノベ費用を算出して施工事例を見てみる
ゼロリノベでは業界では新しい「定額制」でのリノベーションを行っています。下記はリノベーション費用のシミュレーターです。リノベーション予定の平米数から、リノベーション費用のおおよその金額を算出します。また、その金額とマッチする施工事例を紹介しているので、ぜひお試しください!
FPが教える、補助金で削減できた費用の戦略的活用法
これまでご紹介したように、複数の補助金制度を組み合わせることで、リフォーム費用の自己負担を大幅に減らすことができます。例えば、総工事費300万円のリフォームに対して約108万円の補助を受けられれば、実質負担は192万円。
では、この本来かかるはずだった108万円分の費用負担が軽減されたことで生まれる家計の余裕を、どう戦略的に活用すべきか?ファイナンシャルプランナーの視点から、子育て世帯が検討できる資金戦略の選択肢をご紹介します。
① 基本的な考え方:「継続的な収入」との組み合わせ
補助金により、本来かかるはずだった費用(例:108万円)の負担が軽減されるとします。これは手元に現金が入ってくるわけではありませんが、家計の支出が減った分、その余裕を教育資金の準備に回すことができるという考え方です。
この費用削減効果を一時的なものに終わらせず、「継続的な収入」である児童手当と組み合わせて長期的に運用することで、将来的により大きな教育資金を準備できます。投資は短期では成果が出にくいですが、時間を味方につけることで着実に資産を形成できるのが最大の魅力です。
まず、この戦略の基盤となる「拡充された児童手当」の内容を確認しましょう。
拡充された児童手当の内容
2024年10月から児童手当が大幅に拡充され、支給期間が従来の中学卒業までから高校卒業まで延長されるとともに、第3子以降の支給額が月1.5万円から月3万円へ倍増しました。
児童手当の総受給額(子ども1人あたり)
| 年齢区分 | 月額 | 期間 | 小計 |
|---|---|---|---|
| 0〜2歳 | 15,000円 | 3年間 | 54万円 |
| 3歳〜小学校卒業 | 10,000円(第3子以降30,000円) | 10年間 | 120万円(第3子以降360万円) |
| 中学生 | 10,000円(第3子以降30,000円) | 3年間 | 36万円(第3子以降108万円) |
| 高校生(拡充分) | 10,000円(第3子以降30,000円) | 3年間 | 36万円(第3子以降108万円) |
| 合計 | – | 19年間 | 246万円(第3子以降630万円) |
② 具体的な運用例:新NISAでの長期積立戦略
ここからは、補助金により削減できた費用相当額と児童手当を活用した「運用方法の一例」をご紹介します。ただし、最適な運用方法は各家庭の手元資産、家計状況、リスク許容度によって大きく異なります。
以下のシミュレーションは、あくまで一般的な例です。実際の運用を検討する際は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、ご自身の家計状況に合った方法を選択してください。投資運用にはリスクが伴い、必ずしも想定通りの結果が得られるわけではありませんので注意しましょう。
運用戦略の一例:月2万円を15年間積立運用
具体的には、補助金により削減できた費用相当額から月1万円 + 児童手当から月1万円 = 月2万円を15年間積立運用する戦略です。この運用方法の具体例として、2024年スタートの「新NISA」を活用したケースをご紹介します。
補助金により削減できた費用相当額と児童手当の一部を、2024年スタートの「新NISA」で運用することで、10年後、15年後の教育資金を効率的に準備できる可能性があります。投資は短期間で大きな利益を狙うものではなく、時間をかけてコツコツ積み立てることで、複利効果により資産が雪だるま式に増えていく仕組みです。
補助金により削減できた費用相当額(月1万円)+ 児童手当の一部(月1万円)= 月2万円を15年間積立運用
【運用シミュレーション(年利5%)】
※年利5%は、全世界株式インデックスファンドの長期平均リターン(年6〜7%)を参考にした保守的な想定
・毎月の積立額:2万円
・積立期間:15年間
・元本:360万円 → 運用後:約530万円(+170万円の運用益)
合計:約530万円の教育資金を確保
(国公立大学の学費約240万円を十分にカバーし、私立理系の学費約540万円にもほぼ対応可能)
補助金で初期費用を削減し、その分を毎月の教育資金積立に回すことで、15年後の大学進学時に必要な学費(入学金+授業料4年間:国公立で約240万円、私立文系で約410万円、私立理系で約540万円)を十分にカバーできます。一括投資よりも家計の負担が平準化され、無理なく続けられるのがポイントです。



重要なのは「なるべく早く始めて、長期にわたって続けること」です。投資は時間がかかる分、早く始めるほど複利効果が大きくなります。子どもが小さいうちからコツコツ積み立てることで、焦らず着実に教育資金を形成できます。
【別パターン】手元資金に余裕がある場合:一括投資戦略
もし、リフォーム費用を補助金込みで計画した結果、手元にまとまった余裕資金(例:児童手当相当の240万円)がある場合、別の選択肢として「一括投資」を検討することもできます。
手元資金240万円を新NISAで一括投資し、15年間運用した場合
【運用シミュレーション(年利5%)】
※年利5%は、株式インデックスファンドの長期平均リターン(年6〜7%)を参考にした保守的な想定
・投資額:240万円
・運用期間:15年間
・運用後:約500万円(+260万円の運用益)
一括投資の場合、投資額は240万円で済み、積立投資(360万円)よりも120万円少ない元本で、ほぼ同水準(約500万円)の教育資金を確保できます。
この場合、児童手当は家族の楽しみのために使うことができます。
一括投資で教育資金の目処が立てば、児童手当は無理に貯蓄に回さず、家族旅行や習い事、日々の暮らしを豊かにするために使うという選択肢もあります。子どもとの時間や経験は、お金では買えない大切な資産です。
③ 補助金活用とNISA運用で知っておくべき注意点
補助金と児童手当を活用した教育資金戦略は魅力的ですが、リスクや注意点も理解しておく必要があります。以下の点を必ず押さえてください。
【注意点1】補助金の受け取りと支払い方法を理解する
住宅省エネ2025キャンペーン(先進的窓リノベ、給湯省エネ、子育てグリーン住宅支援)の補助金は、登録事業者(施工会社)が申請・受領し、消費者に還元される仕組みです。
補助金の還元方法は以下の2通り
- ①契約代金に充当(最も一般的):最終支払い時に補助金額を差し引いた金額を支払う(例:工事費300万円−補助金108万円=実質192万円を支払う)
- ②現金で受け取る:工事費を全額支払った後、事業者から補助金分を現金で受け取る
⚠️注意:補助金の還元方法は、工事請負契約前に事業者と「共同事業実施規約」で取り決めます。多くの場合①の「契約代金に充当」が選ばれるため、実質的な支払額は補助金分を差し引いた金額になります。ただし、補助金の事業者への入金は工事完了・申請後1〜2ヶ月程度かかるため、支払いタイミングについては事前に事業者と相談しましょう。
【注意点2】投資運用のリスクを理解する
新NISAでの運用シミュレーション(年利5%)は、あくまで長期平均のリターンであり、短期的には元本割れのリスクもあります。
- 対策①:教育資金が必要な時期(例:子どもが15歳になる年)の5年前頃から、徐々にリスクの低い資産(債券・現金)にシフトする
- 対策②:近い時期に必要な生活費(生活防衛資金として生活費6ヶ月分程度)は預貯金として別途確保し、緊急時に備える余裕を持つ
【注意点3】予算切れリスクへの対応
補助金制度は予算に限りがあり、年度途中で予算が尽きると申請が締め切られます。特に人気の高い「先進的窓リノベ」は早期終了の可能性が高いです。
- 対策:申請期間の早い段階での申請を目指す。事業者との打ち合わせは早めに開始
- 情報収集:各制度の公式サイトで「予算執行状況」を定期的にチェック
- 代替案:予算切れの場合、自治体独自の補助金制度や、翌年度の制度継続を視野に入れる



補助金活用と資産運用の組み合わせ戦略は、「計画性」と「柔軟性」のバランスが重要です。理想的なシミュレーション通りに進まないケースもありますが、以下を心がければリスクを最小限に抑えられます。
✓ リフォームは無理のない予算で計画し、補助金はあくまで「プラスアルファ」と考える
✓ 投資運用は「余裕資金」で行い、生活防衛資金は別途確保する
✓ 市場環境の変化に応じて、定期的に運用戦略を見直す(年1回程度)
✓ FPなど専門家に相談し、家計全体のバランスを確認する
大切なのは「完璧を目指す」ことではなく、「家族にとって無理のない範囲で、できることから始める」ことです。補助金も運用も、あくまで家族の豊かな暮らしを実現するための「手段」であることを忘れないでください。
2026年度の補助金制度継続見込み
2026年度も、子育て世帯向けのリフォーム補助金制度は継続される見込みです。ただし、予算規模や制度内容に変更があるため、最新情報を確認しながら計画を進めましょう。
【2026年度(2026年4月頃開始予定)の制度継続見込み】
・みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026):約300億円
※「子育てグリーン住宅支援事業」の後継事業として2025年11月28日閣議決定。ただし予算は減少予定。
・先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業も継続予定
※具体的な予算額は2026年度予算案の確定後に公表されます
・長期優良住宅化リフォーム推進事業:2025年度で終了
※2026年度以降は社会資本整備総合交付金の住宅省エネ改修支援に移行予定(検討中)。具体的な制度内容・予算規模は未定です。詳しくは2026年4月以降、国土交通省の公式サイトでご確認ください。



2026年度の予算額や制度詳細は、2026年春頃に以下の各省庁の公式サイトで公表される予定ですので、今後リフォームを検討されている方はそれぞれの公式サイトで確認してください。
・国土交通省(住宅リフォーム関連事業)
・環境省(先進的窓リノベ事業)
・経済産業省(給湯省エネ事業)
まとめ
リフォームを考える時期は、子育て世帯にとって補助金制度を活用しながら、住まいの改善と教育資金の準備を同時に考えるチャンスです。本記事でご紹介した補助金活用戦略のポイントをまとめます。
本記事の3つの重要ポイント
① 住まいの悩みに応じて、最適な補助金制度を選ぶ
診断チャートで自分の家庭に合った制度を見つけ、優先順位をつけてリフォーム計画を立てましょう。窓・給湯器・耐震・子育て対応—それぞれに適した制度があります。
② 大掛かりなリフォームほど、補助金を最大化すべき
複数の悩みを一度に解決するなら、複数制度の組み合わせ(最大280万円)または長期優良住宅化リフォーム単独(最大260〜320万円)で、数百万円単位の初期費用を圧縮できます。※2025年度の申請受付は終了。2026年度以降は別の支援メニューに以降予定(検討中)。
③ 補助金で削減できた費用を、教育資金に変える
補助金により削減できた費用相当額と拡充された児童手当を組み合わせて新NISAなどで長期運用、もしくは一括投資して長期運用すれば、15年後の教育資金を確保できます。
• 毎月積立:月2万円×15年間(年利5%)→ 約530万円の教育資金
• 一括投資:手元資金240万円×15年間(年利5%)→ 約500万円の教育資金(児童手当は家族の楽しみに活用)
補助金制度は予算に限りがあり、人気の高い制度は申請期間中に予算が尽きる可能性があります。申請を検討している方は、予算切れを避けるため、早めに登録事業者へ相談し、計画を進めましょう。予算状況は各制度の公式サイトで確認できます。



リフォームは単なる「家の改修」ではなく、「家族の未来への投資」です。補助金を賢く活用することで、住まいの改善と将来の備えを同時に進めましょう!









