リノベーションの種類はメリット・デメリットの違いで選ぶのが正解!
「リノベーション」という言葉を最近耳にすることが増えた、と感じている方は多いのではないでしょうか。
今までよく使われていたのは「リフォーム」という言葉です。
リノベーションとリフォーム、イメージとしては似ているように思われますが、実際には目的が異なるものです。
今回は、リノベーションとリフォームは何が違うのか、リノベーションで分類されるフルリノベーションと部分リノベーションについて詳しくご紹介します。
自分たちが求める暮らし方には、どの選択がベストなのか判断する際の参考にしていただければ幸いです。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
リノベーションの意味とリフォームとの違い
リノベーションの具体的な種類について説明する前に、まずはリノベーションとリフォームの違いについて説明しましょう。
1-1.リノベーションとは
リノベーションとは、既存の家を自分が暮らしやすいように、全体的に計画・デザインして改装する工事です。
もともとの間取りを大きく変えたり、オリジナリティのある設備を設置したり、ライフスタイルに合わせて自由な発想を取り入れ、新たな機能やプラスαの価値観を付け加えます。
室内が根本的に新しくなり質が高まるだけではなく、日々の暮らし方そのものの質も高められるのが、リノベーションの大きな特徴です。
1-2.リノベーションとリフォームの違い
上述でも触れた通り、リノベーションは住宅や暮らしの質を高めるような付加価値を与えてくれる工事です。
一方、リフォームは、古くなった部屋の設備や機能を新築時の状態に戻すための改装工事を指しており、原状回復工事の意味合いが強いといえます。
古くなったキッチンを新しい機能的なキッチンに交換したり、古くなった内装を修繕したりするのがリフォームの一例です。
同じ改装工事でも、工事の目的としてはリノベーションとリフォームでは明確な違いがあるといえるでしょう。
【改修範囲別】リノベーションの種類
一口にリノベーションといっても、どの程度の範囲を改装するかによって次のふたつに分類されます。
- フルリノベーション
- 表層リノベーション
- 部分リノベーション
この章では、リノベーションの種類の特徴やそれぞれのメリット・デメリットを確認していきましょう。
2-1.フルリノベーション
フルリノベーションとは、既存の家全体を改修するタイプのリノベーションです。もともとの間仕切り壁や設備を全て取り払い、新たに計画した間取りや内装、設備に作り変えます。
構造によっては、専有部分の普段は目に見えない配管や電気の配線などを変えることも可能です。フルリノベーションは、空間を一度リセットする広範囲な「スケルトンリノベーション」を指す場合が多いでしょう。
【メリット】
フルリノベーションは、基本的に何もない状態から部屋のデザインや設計ができるため、自由度が高いことが大きなメリットのひとつです。既存の間取りを大きく変えたり、水回りの位置を変更したり、自分の理想的な住空間にすることが可能です。
【デメリット】
ゼロから住空間をつくれる分、部分リノベーションに比べて費用が高くなることが多いです。
一度基礎の部分まで解体するなど全体的な工事になるため、部分リノベーションより工期も長くかかりがちです。仮住まいが必要な場合は家賃など経費的な部分もかかります。
2-2.表層リノベーション
表層リノベーションは、壁紙や床板など、目に見える部分だけ改修するタイプのリノベーションです。水まわりの工事に関しては、移設や形状の変更は難しく、新しい設備と交換するといった方法になります。
【メリット】
壁や天井、床は室内を占める面積が大きいため、工事の規模は小さくても部屋の印象を大きく変えることができます。壁紙を変更する際、スイッチカバーや巾木の経年劣化が気になる場合があるため、同時に取り替えると見た目が美しくなります。
また、工事内容がシンプルなため、材料費が抑えられ工期が短く済むだけでなく、施工の際の人件費なども抑えられる可能性があります。
【デメリット】
目に見えない部分は変えられないため、配管などの劣化に気がつきにくいのがデメリットです。
特に築年数が経過した物件の場合、劣化した部分をそのままにしておくと、水漏れなどを引き起こすおそれがあるため、表層リノベーションよりもスケルトンリノベーションを行うことをおすすめします。
2-3.部分リノベーション
部分リノベーションは、既存の家の一部を改修するタイプのリノベーションです。ライフスタイルに大きく影響するようなスペースについて、間取りを変えたり設備を新しくしたりします。
キッチンをアイランド型にして回遊性の高いLDKにしたり、家の中にワークスペースを取り入れたり、ピンポイントに質を高める改修が可能です。全体に手を掛けなくても、物件の状態が良い場合に適しています。
【メリット】
工事範囲が限られるため、フルリノベーションに比べて工事が低予算で済みます。工事期間が短いこともメリットのひとつでしょう。
部分的なリノベーションでは、住みながら工事を進められる場合もあります。この場合、新たに仮住まいを借りる必要がないため、家賃負担は必要ないことがほとんどです。
【デメリット】
部分的なリノベーションの場合、部屋全体として統一感を出しにくい点があります。LDK部分のみリノベーションした場合、キッチンは新しいけどユニットバスや洗面化粧台は古いままなど、新しい設備と古い設備で見た目や機能の差ができてしまうこともあります。
フルリノベーションのように天井や床下を取り払うことがない場合は、給排設備の配管や電気配線などが隠れている状態であるため、劣化部分に気付きにくいことや自由な場所に移動するのが難しい場合があります。
部分リノベーションについてより詳しく知りたい方は、予算毎に可能な工事内容を紹介したこちらの記事もご覧ください。
◎300万円でできるリノベーションを解説した記事はこちら
◎500万円でできるリノベーションを解説した記事はこちら
【プラン体系別】リノベーションの種類
リノベーションには、次のようにふたつのプランの種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認していきましょう。
- パッケージ型リノベーション
- オーダーメイド型リノベーション
3-1.パッケージ型
パッケージ型とは、リノベーション内容があらかじめ決まっているプラン体系です。使用できる設備や素材、デザインや施工箇所なども一定範囲内で決められていて、完成後のお部屋のスタイルに合わせて用意されている数種類から選べる場合があります。
【メリット】
パッケージ型リノベーションは、最低料金がわかりやすくなっているため工事の予算を立てやすいのがメリットのひとつです。
リノベーションは、取り入れたい要望が多くなると、どうしても予算が増える傾向がありますので、あらかじめ範囲が限定されていれば費用が増えすぎるのを防げます。
使う素材やリノベーション範囲がある程度決められているため、デザインや設計の打ち合わせなどの時間が少なく済みます。そのため、施工完了までの期間も短くなる場合が多いでしょう。
【デメリット】
デザインや設計の自由度が低いと感じる場合もあります。パッケージ型は、予算を抑えることができる反面、決められた範囲内で仕様を選ぶことが前提ですから、予算が決まっている方やリノベーションへのこだわりがそれほど高くない方に向いているでしょう。
パッケージ型の特徴として、リノベーション箇所が決められている点があります。本来、リノベーションの予定がなかった箇所が含まれている場合もあるなど、会社によって内容が異なりますので、パッケージ内容を事前にしっかりと理解する必要があります。
3-2.オーダーメイド型
オーダーメイド型とは、自由な設計でリノベーションができるプラン体系です。自分たちの好みやライフスタイルに合わせて、あらゆる設備や素材、デザインを取り入れることが可能です。一般的な住空間とは違う特殊な要望やこだわりを持っている方に適しています。
防音ルームをつくりたい、最新設備のアイランドキッチンにしたいなど希望のスタイルやイメージが明確な場合はオーダーメイド型が良いでしょう。
【メリット】
オーダーメイド型リノベーションは、ゼロから自由に空間設計ができることが大きなメリットのひとつです。
生活動線を考慮した機能的な住まい、好みの家具が映えるバランスの取れた空間デザインなどあらゆる要望に応えることが可能です。
【デメリット】
オーダーメイド型は自由度が高いため、リノベーション費用が高くなりがちです。
また、デザインや設計などのこだわりが多いほど、打ち合わせにも時間がかかり決めなければならない項目も増えて完成までに時間がかかる場合があります。オーダーメイド型では、完成引越しまでゆとりを持ったスケジュールが必要です。
【参考】ゼロリノベ|「サービス|料金」
自由な家づくりを実現するゼロリノベのプラン
ゼロリノベでは、自由度の高いデザインや設計が取り入れられる「フルリノベーション」とポイント的に要望を取り入れられる「部分リノベーション」の2種類のリノベーションサービスをご用意しています。
基本的にオーダーメード型(自由設計)で、面積に応じて費用が決まるのが特徴です。つまり、オーダーメイド型の自由度で、パッケージ型のような明瞭会計が叶えられるのがゼロリノベの特徴です。
どちらも事前に決めた安心できる予算をベースに、面積に応じてリノベ料金が決まる料金体系になっているため、安心して工事を進めていただけます。
この章では、ゼロリノベが提供するリノベーションサービスについて詳しくご紹介していきます。
フルリノベーション
・BASICプラン
・PLUSプラン
部分リノベーション
・ECOプラン
ゼロリノベの3つの料金プラン
注文住宅のように、ゼロから自由な空間をつくれるフルリノベ『BASIC』と『PLUS』 スケルトン工事せず、既存を生かした部分リノベ『ECO』いずれも、選べる仕様/設備が決められておらず、世の中にある設備や素材から自由に選べることが特徴です。
*物件探しをせず、リノベーションのみの場合、420万円→520万円となります。
*BASICプランの請負金額は平米数に関わらず860万円(税別)が最低価格です。
*ECOプランは場合により300万円以下でも承れます。リノベーションのみの場合1,000万円が最低価格となります。
*戸建ての場合は1㎡あたりの単価が+2万円となります。
*420万円は、面積に関わらずフルリノベ(スケルトン工事)に必要な費用です。解体に伴う費用、配管工事や電気配線などが含まれます。
4-1.フルリノベーション
ゼロリノベのフルリノベーションは「BASICプラン」「PLUSプラン」の2種類に分かれています。
【BASICプラン】
予算内でゼロから自由に空間を作ることができる、オーダーメイド型のプランです。設備や内装の仕様を自由に選べることはもちろん、オリジナルの造作家具や建具も可能です。
自由な間取りを取り入れながら、デザインと費用のバランスの良い計画が進められます。一部の設備や素材をグレードアップさせるなど、プラスαで自分たちの好みを取り入れることも可能です。
【PLUSプラン】
BASICよりもハイグレードな設備や素材にこだわる方のための、オーダーメイド型のリノベーションプランです。BASICでできる内容に加えて、複数の設備や素材のグレードアップ、複数のオリジナル造作、在来工法の浴室や防音室など自由度の高い造作や機能性の高い設備を選択できます。
自分好みのデザインを取り入れて、こだわりのある住空間を実現するなら、PLUSプランが最適です。
4-2.部分リノベーション
ゼロリノベでは、既存の設備を活かした「ECOプラン」があります。
部分リノベーションは、住宅のある一部分をリノベーションするものです。物件の状態がよく全体に手を掛ける必要がなかったり、ライフスタイルに合わせてポイント的にリノベーションしたりする場合に向いています。
ポイント的なリノベーションの例としては、
- ワークスペースをつくりたい
- キッチンを新しくして収納を増やしたい
- 床や壁などを好みの素材、デザインにしたい
- 子供部屋の様子が見えるように透明ガラスの間仕切りにしたい
など、部分リノベーションで機能やデザイン性に優れた住空間を実現することが可能です。
フルリノベーションも部分リノベーションも、リノベーションに求める内容や予算に合わせて自由に選択できます。
まとめ
この記事では、リノベーションの工事方法や費用体系の種類についてご紹介してきました。
最後に要点のおさらいをしましょう。
◎【改修範囲別】リノベーションの種類
【フルリノベーション】
設計の自由度が高く、配管など目に見えない部分も交換できるのがメリット。一方で、
工事の規模や施工内容が多岐にわたるため、他の種類に比べて費用が高くなったり、工期が長くなりやすい。
向いている人:配管の交換などを含めた抜本的な工事を行いたい人。間取りやデザインを大きく変更したい人。
【表層リノベーション】
壁紙と床材、設備交換といった目に見える部分だけを修繕するリノベーション。費用を抑えて気軽に部屋の印象を変えることができるが、部屋の増改築や間取りの変更などはできない。
向いている人:間取り変更は必要ない人。できるだけ短期間で費用を抑えたリノベーションを行いたい人。
【部分リノベーション】
部屋の一部分だけ改修を行うリノベーション。フルリノベーションに比べて費用を抑えられるが、全体の統一感を出すのが難しい。
向いている人:「LDK横の和室を一体化させたい」「キッチンの向きを変えたい」など、ピンポイントでやりたい工事がある人。
自分に合うリノベーション方法が見つかったでしょうか? 工事のイメージがついたら、次は予算に合わせて、変えたい設備や工事範囲を決めていくステップです。設計士のアイデアを盛り込みながら、理想の住まいをプランニングしていきましょう。