和室をリノベーションしておしゃれに!洋室にするコツ・費用・注意点を解説
リビングに隣接した和室がなんとなく使い勝手が悪いと感じている人は、リノベーション(リフォーム)を検討してみることをおすすめします。
洋室化して空間をリビングと一体化させれば、現代の暮らしにあった快適で広々とした空間を実現できるでしょう。
今回は、和室リノベーションについて、以下の内容を紹介します。
- 和室の定義
- 和室のメリット・デメリット
- 和室をリビングと一体化させるリノベーションの種類
- 和室リノベーションの費用相場
- おしゃれな和室リノベーションの事例
- 和室リノベーションのポイント
ほかにも工事にかかる日数や施工時の注意点、DIYのアイデアなども紹介するので、和室リノベーションに関心のある人はぜひ参考にしてください。
和室とは?昔からある日本家屋の伝統的な部屋
和室は、日本の伝統的な部屋であり、日本人のアイデンティティを感じることができる空間です。そのため、多くの人が和室で落ち着くと感じるでしょう。
和室には洋室とは異なる特徴があり、「床の間」や「襖」などがありますが、特に代表的なものとしては、「畳(たたみ)」が床材として使用されていることが挙げられます。
しかし、現代のライフスタイルとは合わないことが多く、自宅の和室を使いきれていない人も多いのが現状です。
はじめに、以下2つの特徴を通して和室を詳しく紹介します。
1-1.和室リノベーションとは?
「和室リノベーション」とは、自宅の和室を現代的で使い勝手のよい空間に変えることを意味します。実際、自宅に和室があるにも関わらず、有効活用できない方が多いのが現状です。しかし、和室を使いやすい洋室に変えたり、和の雰囲気を活かしたモダンな空間に変えたりすることで、家の中のスペースをより有効活用できます。
最近では、築古物件をリノベーションすることが一般的になっており、その過程で和室リノベーションを選ぶ方も増えてきました。
1-2.和室リノベーションと和室リフォームの違いとは?
「和室リノベーション」と似た意味を持つ「和室リフォーム」がありますが、それらは少しニュアンスが異なります。通常、リノベーションは、住み心地を向上させるために大規模な修繕工事が行われることを指しています。
そのため、和室を洋室や和モダンの空間に変えるような工事の場合は、和室リノベーションと呼ばれるのが適切です。一方、リフォームはもっと広範で、老朽化を改善するための修繕工事など、元の状態を回復させることも含まれます。
したがって、畳などを新しくする工事の場合は、和室リフォームの言葉がより分かりやすいでしょう。
ただし、厳密に定義されているわけではなく、大規模な和室の修繕工事が和室リフォームと呼ばれることもあります。
和室(畳の部屋)のメリット・デメリットとは
次に、和室を作るメリットとデメリットを紹介します。
現在の生活に適した和室がどのようなものかを知るために参考にしてください。
2-1.和室(畳の部屋)のメリット
和室のメリットは主に以下の3つです。
- 調湿効果、遮音効果、断熱効果がある
- 上品な質感で住み心地がよい
- イ草にはリラックス効果や空気清浄効果が期待できる
日本は夏に高温多湿で冬は乾燥する特徴があり、畳は気候に適した床材です。
そして、畳の質感は日本独特のもので、落ち着きを感じさせてくれます。
2-2.和室(畳の部屋)のデメリット
和室のデメリットは主に以下の2つです。
- 定期的なメンテナンスが必要になる
傷や汚れに弱い
また、多くの日本人が洋風スタイルに慣れてしまっているため、座りにくいと感じたり家具の置き方が分からなかったりする点もデメリットでしょう。
和室をリビングと一体化させるリノベーション3種類
隣接したリビングと和室を一体化させ、広々とした空間を確保するリノベーションは人気があります。
ただしこの場合、以下3つのポイントのどれを優先するかによって仕上がりやかかる費用が大きく異なる点に注意が必要です。
- コスト
- バランス
- クオリティ
それぞれのパターンの概要を見ていきましょう。
3-1. コスト重視の和室リノベーション
コストを重視して、和室とリビングを一体化させるリノベーションをする場合、床、壁、天井、その他の工事に分けて施工が進められます。
3-1-1. 和室の床リノベーション
和室の床リノベーションでは畳からフローリングに変更し、リビングと統一します。このときリビング側のフローリングと同じものが廃盤になっていたり、同じ素材でもリビングのフローリングが色あせていたりすると、ちぐはぐ感が生じることがあります。
また、和室だったエリアとリビングの境には見切り材を設置するため、床を2つに分けているような見た目になるのもデメリットです。和室の畳の厚みとリビング側のフローリングの厚みが異なるので、フローリングの高さに合わせてレベル調整をおこなう下地木工事も必要です。
3-1-2. 和室の壁リノベーション
和室の壁リノベーションでは和室とリビングを仕切る壁や建具を取り去ります。あわせて壁、床、天井の補修工事、壁や天井のクロスの張り替えもおこないます。
壁のクロスも、リビングと同じものが廃番となっていたり、新しいクロスと旧クロスとの間に色の違いが生じたりすることがあるため、事前に確認しておきましょう。壁のリノベーションは、撤去した壁の周辺のみの張り替えにとどめておけばコストを抑えられるのがメリットです。
3-1-3. 和室の天井リノベーション
和室の天井は木目のラミネート天井である場合が多く、解体してつくり変えるのが一般的です。ただし解体がともなうと費用がかさむ傾向があるため、安価に済ませたい場合は、天井材の上にベニヤを直張りしてパテ処理をおこない、クロスで仕上げます。
3-1-4. その他の和室リノベーション工事
壁を撤去する際にコンセントなどがある場合は、電気工事が必要です。また、和室の窓に設置された障子は撤去しますが、敷居などは残したままでカーテンレールを取り付けます。
和室に押し入れなどがある場合は、押入れの中は変えずにふすまだけを洋風の引き戸に交換するとリーズナブルです。
3-2. バランス重視の和室リノベーション
バランスを重視したプランは、コスト重視プランよりも費用がかかりますが、和室だったエリアとリビングの一体感を得られるのがメリットです。
なお、床はコスト重視プランと同様の方法で張り替えます。見切り板を設置しなければならないデメリットはありますが、リビングの床の張り替えが不要であるためコストを抑えやすくなります。
一方、壁と天井は、旧和室とリビングダイニングのすべてをこだわりのクロスや壁材で張り替えます。また、押し入れは中間棚を取り払ってクローゼットにリフォームすると、長い洋服などをかけられるようになり使い勝手がよくなるでしょう。
3-3. クオリティ重視の和室リノベーション
クオリティ重視プランは、ひとつの空間として統一感のある美しい仕上がりになるのがメリットです。
この場合、和室とリビングダイニングの両方で、既存の床と壁を撤去して新たに張り替えます。和室天井は解体してリビングの天井と同じ高さにし、障子の枠や敷居も洋風のものに変更します。
ただしクオリティ重視プランでは、「漆喰や珪藻土で塗り壁にしたい」、「無垢材などの自然素材を活用したい」など、材料にこだわればこだわるほど費用が高額になるのがデメリットです。
予算内でどこまで実現できるかをリノベーション会社と相談し、計画しましょう。
【施工内容別】和室リノベーションの費用相場
和室リノベーションは、プランだけでなく面積や選ぶ素材によって費用が異なります。明確な額は見積もりをとらなければわかりませんが、おおよその相場観をチェックしておきましょう。
種類 | 施工内容と費用相場 | 費用総額の相場 |
コスト重視 | 壁工事:4万円~ | 39万~45万円 |
天井工事:5万円~ | ||
床工事:20万円~ | ||
その他諸経費:10万円~ | ||
バランス重視 | 壁工事:20万円~ | 60万~70万円 |
天井工事:6万円~ | ||
床工事:20万円~ | ||
その他諸経費:16万円~ | ||
クオリティ重視 | 壁と天井のクロス張り替え:20万円~ | 100万円前後 |
天井工事:15万円~ | ||
床工事:40万円~ | ||
その他諸経費:20万円~ |
4-1. コスト重視の費用相場
コスト重視プランで和室とリビングを一体化させるリフォームをした場合、総額は39万円ほどです。床工事が約20万円、壁工事に約4万円、天井工事は約5万円、その他の工事には約10万円かかります。概算ですが、多く見積もっても45万円以内に収まります。
4-2. バランス重視の費用相場
バランス重視の場合、総額は62万円ほどです。床工事は変わらず約20万円、壁工事にも約20万円、天井工事は約6万円、その他の費用は約16万円です。ざっくり60~70万円と考えておきましょう。
4-3. クオリティ重視の費用相場
クオリティ重視でリノベーション(リフォーム)すると、総額は95万円ほどです。床工事に約40万円、壁と天井のクロス張り替えに約20万円、天井の解体と高さ調整に約15万円、その他に約20万円かかります。100万円前後は見ておいた方がいいでしょう。
4-4. 和室を洋室に変える際の費用相場
和室とリビングを一体化させるのではなく、和室から洋室に変更するだけという方法もあります。この場合、統一感を出す必要がないためリノベーション面積は小さくなり、和室とリビングを一体化する場合に比べて費用が少なくて済むのがメリットです。
ここまでフローリング、壁、天井それぞれのリノベーションが必要になることをご紹介しましたが、素材や用途によって費用もさまざまです。
以下の記事を参考にしながら検討してみてください。
>おすすめ記事:壁紙リノベーションの値段相場とおすすめクロス5種類をご紹介!
>>おすすめ記事:天井リノベーション!こんなときどうする?5つの病状別で相場もスッキリ
和室のリノベーション費用を安く抑える方法とは
畳を使った和モダンな部屋にしたい場合、畳を新しくするのではなく「表替え」と呼ばれる方法や、畳の裏面を活用する「裏返し」を利用できます。また、和室の床を洋室のように変える場合、特にこだわりがなければ無垢材のフローリングではなく安価な素材であるクッションフロアなどを選ぶことも。
ただし、クッションフロアは家具の重さで跡がつきやすいというデメリットもあります。そのため、複合フローリングも一つの選択肢に入れて考えるとよいでしょう。
壁は、珪藻土などの自然素材を使う代わりに、ビニールクロスを使うと費用を抑えられます。リフォームする際には、自分がこだわりたい部分を決めて、必要に応じて安価な素材を選ぶとよいでしょう。
和室をおしゃれにリノベーションした事例5選
ここからは、実際におしゃれな和室へとリノベーションした施工事例を5つ紹介していきます。和室リノベーションを検討する際の参考にしてみてくださいね。
6-1.【事例1】和室から店舗のような造りつけソファが印象的なLDK
大きめのプロジェクターを置いても違和感がない広々空間へとリノベーションしました。壁面にソファを造作したので、大人数をおもてなしできます。
<Before>
<After>
<間取り図>
6-2.【事例2】LDKと和室をつなげて全体の回遊性をアップ
リビングダイニングと和室の境目をなくし、キッチンも一体化させています。寝室へ回遊する通路にもドアを設置せず住まい全体が緩やかにつながったため、リノベーション前よりもはるかに広い印象を与えています。
<Before>
<After>
<間取り図>
6-3.【事例3】和室から広いモダンなLDKに
和室2部屋分と洋室、LDKをすべて一体化させることにより、シックなトーンでデザイン性の高い大空間を実現。将来的に必要になったら壁をつくることで、間取りを自在に変えられるプランです。
<Before>
<After>
<間取り図>
6-4.【事例4】リビングの一角に和室を新設
あえてLDKの一角に和室スペースを残したプランです。和のインテリアを楽しみながらくつろいだり、趣味に集中したりできる落ち着きある空間になりました。また、お客さまが泊まりに来た際に、お布団を敷けるスペースにもなります。
6-5.【事例5】小上がり和モダンスペースと床下収納
リビングに小上がりを設置して和のテイストを残し、さらに畳の下を収納にしました。小さなお子さんがいるご家庭なら遊ぶスペースとして使えるうえ、収納スペースがぐっと増えて便利です。
おしゃれな和室へリノベーションする2つのポイントとは
おしゃれな和室にリノベーションするポイントは、隣接する部屋を含めて「空間に統一感を出す」ことです。
どうすれば統一感が出せるのか、2つの方法をご紹介します。
7-1. LDKと一体になる開放的な空間をつくる
和室リノベーションでおしゃれな空間を実現するには、LDKと一体感のある開放的な空間づくりを目指しましょう。床や天井の高さを合わせると一体感を、間仕切りを撤去すると開放感を演出できます。
ただし住宅の構造によっては、間仕切りの撤去に制限がある点には注意が必要です。
実際の施工の前にリノベーション会社の担当者に撤去できる壁かどうかを見極めてもらい、少しでも理想に近づくプランを提案してもらいましょう。
7-2. 小上がりや縁なし畳などのアクセントを加える
和室を洋室にするのではなく、リノベーションしておしゃれに仕上げるのであれば、琉球畳など縁のない畳や小上がりなどを採用するのも方法のひとつです。
縁なし畳は洋室と調和しやすく、部屋を広く感じられるようになるのもメリットです。対して小上がりを置いた場合は、空間に立体感が出ておしゃれに見えます。
段差を利用して引き出しを設けることで収納スペースが増え、部屋を片づけやすくなるほか、人が集まったときに椅子やソファの代わりになるのも小上がりのメリットです。
小上がり和室は、こちらの記事で詳しく紹介しています。気になる方はチェックしてみてくださいね。
和室をリノベーションする際によくある質問
最後に、和室をリノベーションする際によくある質問を5つ紹介します。
- 和室をリノベーションする場合の工期は何日くらい?
- 和室のリノベーションの注意点(防音基準)とは?
- DIYで和室をリノベーションするには?
- 賃貸で洋室を和室にできるDIYリノベーションアイデアはある?
- 和室リノベーションする前に考えておくこととは?
それぞれに回答するので、最後までご覧ください。
8-1.和室をリノベーションする場合の工期は何日くらい?
和室を洋室にしてリビング側と一体化させる場合は、1ヵ月前後を想定しておきましょう。
工事期間中はメインとなるリビング空間が使えなくなってしまうので、場合によっては仮住まいの部屋が必要になるかもしれません。
8-2.和室のリノベーションの注意点(防音基準)とは?
マンションの和室をリノベーションする際に気をつけたいのが、「防音基準」です。お住まいのマンションの管理規約を見ると、「防音規定」が定められているはずです。和室の畳をフローリングにする場合、この基準を満たす床材にする必要があります。
一般的なフローリングなら、基準値に達している製品が販売されているので問題ないケースがほとんどです。しかし無垢フローリングにしたい場合には要注意です。無垢フローリング材には防音性能はないものが多いため、下地材でカバーするなど工夫が必要になるでしょう。
8-3.DIYで和室をリノベーションするには?
DIYに興味がある人は、できることならマンションの和室リノベーションも自分でやりたいと思うのではないでしょうか。
しかしここまで紹介してきたとおり、和室のリノベーションは壁や床、天井、さらに電気工事なども関わってくるため、個人ですべておこなうのはなかなか難しいのが正直なところです。
仕上がりや時間・手間を考慮すると、プロにおまかせするのが賢明です。
8-4.賃貸で洋室を和室にできるDIYリノベーションアイデアはある?
賃貸の場合は、原状回復できる範囲でリノベーションをおこないましょう。
たとえば床にウッドカーペットを敷けば、あっという間に洋室になります。接着剤などを使わず置くだけなので、原状回復も簡単です。
また、リビングと統一感を出したい場合は、同じクッションシートやフロアタイルでひと続きにするのがおすすめです。床面がそろうと視野が広がり、見た目も広々とした雰囲気になります。
和室の壁は、原状回復ができるよう、マスキングテープや両面テープ、大きなホッチキスのようなタッカーを使って壁紙を貼るとよいでしょう。
8-5.和室リノベーションする前に考えておくこととは?
和室を改装する際には、どのような目的で使用するかを明確にしておくことが重要です。個人の部屋として使うのか、家族がくつろぐスペースとして使うのか、家事や育児にフレキシブルに使用したいのか、などを考えましょう。
また、もしも客間のような特定の用途にする場合には、限られたスペースにわざわざ和室を作る必要があるのかどうかも検討すべきです。
さらに、伝統的な和室に使われる畳や障子、砂壁などは、定期的なメンテナンスが必要です。
畳の張り替えや補修なども考慮してください。また、普段の掃除方法も洋室とは異なるため、お手入れやメンテナンスがしやすい素材やデザインを選ぶことも、和室を取り入れる上で重要なポイントです。
住まいはライフスタイルの変化に応じて適応するものです。快適に過ごすためにも、将来の生活に合った間取りやスタイル、素材を選んで、理想的な和室を作りましょう。
まとめ
和室のリノベーションは、隣接する部屋とどの程度の統一感を求めるかにより工事の範囲や費用が大きく異なります。基本的には統一感を求めるほど工事規模は大きくなり、費用も高くなっていきます。
また、間仕切り壁の撤去は住宅の構造によりできない場合がある点にも注意が必要です。和室リノベーションは難易度が高いためDIYは避け、どの範囲まで工事が可能かリノベーション会社に見てもらったうえで相談しながら進めましょう。
なおゼロリノベでは、予算立てから物件選び、プラン設計、リノベーション工事まで、家づくりのすべてをワンストップでサポートしています。和室のリノベーションに関しても、予算にあわせて少しでも理想に近づくプランのご提案が可能です。
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