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【2024年最新版】中古マンションの住宅ローン控除!事前に知りたい落とし穴

住宅ローン減税を利用したリノベ事例

中古マンション購入を検討している方で、「住宅ローン控除」または「住宅ローン減税」を利用したいと考えている方も多いでしょう。2022年の改正では、「10年間で最大140万円(認定住宅等の場合は210万円)」が控除されることになりました。100万円以上も住宅購入費が浮くと考えると、使わない手はないように思えます。

でも、実際は誰でも140万円が戻ってくるわけではありません。税金控除にばかり意識が向いていると、肝心の物件選びで思わぬ落とし穴にハマってしまうこともあります。

そこで、今回は中古マンションにおける住宅ローン控除の適用条件や注意点を解説していきます。住宅ローン控除を利用したいと思っている人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

この記事の監修者
【監修】ファイナンシャルプランナー茂木禄人

ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人

株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら

目次

住宅購入の強い味方、住宅ローン控除とは

A男:
中古マンション購入を検討しているんですが、中古マンションでも住宅ローン控除を受けられると聞きました。できれば利用したいと思っているんですが、概要がよくわかっていなくて…。

アドバイザー:
ちまたで言われる住宅ローン控除、住宅ローン減税は基本的に同じ「住宅借入金等特別控除」のことを指します。仕組みは簡単で、その年のローン残高の0.7%が所得税(控除しきれない場合は住民税)から控除されるというものです。毎年の上限額は14万円でこれが10年間続くため、最大140万円の控除額という謳い文句になっています。

A男:
最大控除額が210万円と聞いたことがあるような…?

アドバイザー:
それは長期優良住宅や低炭素住宅、ZEH住宅などの認定住宅と呼ばれる中古マンションを購入した場合ですね。中古マンションの場合、これらの認定住宅はまだまだ少ないとされているため、一般的な中古マンションの最大控除額140万円として今回は解説していきますね。

A男:
なるほど。それでも100万円以上もらえるなら、やっぱり使いたいです!

アドバイザー:
もちろん、利用できるに越したことはありませんね。ですが、その前に注意したいポイントがいくつかあります。というのも、住宅ローン控除には利用条件があり、条件に適合した物件を選ぼうとすると、本当に叶えたい暮らしが実現できなくなるかもしれないのです。ここからはそのポイントを3つ見ていきましょう。

参考:国税庁「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」

【落とし穴1】所得税額によって控除額は大幅に変わる

アドバイザー:
一つ目の注意点は控除額そのものが所得税額によって大きく変わるということです。

A男:
住宅ローン残高の0.7%が控除されるんじゃないんですか?

アドバイザー:
例えば住宅ローンが2000万円なら0.7%が控除額になるので14万円(※)が控除対象になりますが、所得税と住民税の額がそれ以下の金額であれば、控除されるのは14万円以下になります。住民税は、前年度課税所得の5%または9万7,500円のうち小さい方の額が適用されます。

A男:
そもそも借入金額が2000万円以上、そして所得金額が一定額以上ないと、控除額も最大にはならないということですか?

アドバイザー:
そういうことになります。もう一つ、注意したいのが所得金額です。住宅ローン控除には所得要件もあり、年収が2000万円以下でないと対象とはなりません。

※認定住宅の場合の借入額上限は3000万円となるため、3000万円×0.7%として年間の控除限度額は21万円

中古マンションの住宅ローン控除額をシミュレーションしてみよう!

アドバイザー:
実際にシミュレーションしてみましょう。今回は、価格.com「住宅ローン控除シミュレーター」を使ってみます。

住宅ローンシミュレーション

配偶者あり、扶養家族1名、1500万円の借り入れで35年返済、全固定金利1.378%の年収別シミュレーション

  • 年収300万→年間の控除額は5.2万円。10年間の控除額は52万円。
  • 年収500万→年間の控除額は10.2万円からはじまり、年々減って7.9万円になる。10年間の控除額は90.9万円。

A男:
こんなに違いが出るんですね!

アドバイザー:
もちろん、これでも充分お得ではあります。ただ、あくまで収入や借入金額に応じた控除額になるため、必ずしも控除限度額の140万円が満額戻ってくるわけではないということは覚えておきましょう。

【落とし穴2】中古マンションの適用条件に制限がある

アドバイザー:
中古マンションの住宅ローン控除を受けるにはいくつかの要件があります。その中でも気をつけなければならないのが、物件自体の条件に関わる項目です。

築年数

  • 登記簿の建築年で昭和57年(1982年)1月1日以降に建築されたもの

床面積

  • 50㎡以上(床面積の2/1以上が自己の居住用)

A男:
中古マンションで住宅ローン控除を受けるには、昭和57年以降に建築、広さ50㎡以上の物件でなければいけないということですね。

(*上記の築年数を超えた建物でも「耐震基準適合証明書」を取得することができれば、住宅ローン控除などの減税を受けられます)

アドバイザー:
はい。特に2021年までは築年数要件がRC造や鉄骨造の場合は築25年、木造住宅の場合は築20年以内と条件が狭かったこともあり、今回の改正により適用される物件の幅が広がったといえます。

また家族3人暮らしの場合、床面積の広さ目安は55~65㎡程度なので、家族構成によってはさほど気にならない項目かもしれませんが、それでも50㎡未満の物件は選べないというのは制限の一つになります。

A男:
なるほど…。

アドバイザー:
実はここが最大の落とし穴です。ローン控除を受けたいばかりに物件選びの幅を狭めてしまうのは非常にもったいないことですし、物件選びに時間がかかって、現在の住まいの家賃がかさんでしまってはせっかく控除を受けても相殺されてしまっては本末転倒だからです。

【落とし穴3】住宅ローン控除を受けるには確定申告が必須

アドバイザー:
もう一つ忘れてはならないのがことがあります。住宅借入金等特別控除は確定申告をしないと適用されません。サラリーマンの方で毎年会社に年末調整をしてもらっている場合は確定申告になじみがないと思うので、うっかり忘れてしまわないように注意しましょう。

控除を受けるための必要書類

  • 源泉徴収票
  • 金融機関等からの住宅ローン年末残高証明書(写し)
  • 土地・建物の登記事項証明書
  • 土地・建物の売買契約書(写し)
  • 工事請負契約書(写し)
  • マイナンバーの本人確認書類(写し)
  • 確定申告書B
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書

昭和56年12月31日以前に建築されたものである場合

耐震基準を満たしていることを証明するために下記のいずれか1つの書類が必要です。

  • 耐震基準適合証明書
  • 既存住宅性能評価書(写し)
  • 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書

長期優良住宅の認定を受けた場合

長期優良住宅を満たしていることを証明するために下記の書類が必要です。

  • 長期優良住宅建築計画の認定通知書
  • 住宅用家屋証明書
  • 認定長期優良住宅建築証明書

低炭素住宅に認定された場合

低炭素住宅を満たしていることを証明するために下記の書類が必要です。

  • 低炭素住宅建築物新築等計画の認定通知書
  • 認定低炭素住宅建築証明書

【結論】住宅ローン控除は適用できればラッキーと考え、予算と物件を決める

住宅ローン減税を利用したご家族

アドバイザー:
上記の通り、ローン控除は必ずしも満額控除されるものではありません。さらに、ローン控除を使用することを条件にして物件選びをすると、間取りや築年数に制限が出てしまい、希望するエリアで好きな物件が見つからないかもしれない、という落とし穴があります。

A男:
そう考えると、住宅ローン控除ありきの物件選びはやめたほうがいいのかもしれないですね。

アドバイザー:
さらに、住宅ローン控除に適用する物件があったからといって、住宅予算を逸脱してしまっては意味がありません。無理な予算で住宅を購入すると後から住宅ローンの支払いにしわ寄せがくることになり、安心して暮らせないからです。

第一に、無理なく返済できる予算を組むこと。そして、自分が日々を豊かに暮らせる住まいを探すことを大切にしましょう。その上で住宅ローン控除ができそうであれば、ぜひ利用してください。その方が、長期的な目で見て後悔がないはずです。

まとめ

この記事の制作体制
  • 薮菜摘

    ゼロリノベの編集担当。地元仙台の不動産会社でWebメディアの立ち上げに参加。世の中に埋もれている魅力的なヒト・モノ・コトを発掘し、「編集の力でその価値を発信する」ことにやりがいを感じる。住宅購入の検討中にゼロリノベを知り、ユニーク...

  • 茂木 禄人

    株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら

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