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築50年マンションは買って大丈夫!不動産のプロ教える後悔しないための見分け方

築 50 年 マンション画像

築50年の中古マンションと聞いて、どんなものをイメージしますか?

建物の老朽化や耐震性の問題、内装の古さなどが気になる人が多いのではないでしょうか。

それでは、こちらの写真を見てください。

築48年の物件を改装したゼロリノベの外苑前オフィス

実はこれ、築48年(当時)の物件を改装した「ゼロリノベのオフィス」です。
築50年近くとは思えませんよね?建物の「骨組み」や「構造部分」がしっかりとした物件であれば、リノベーションするだけでこれほどおしゃれになります。

この記事では、失敗しない築50年中古マンションの見極め方を解説。また、ゼロリノベが実際に手がけた「築50年マンションのリノベーション事例」も紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

この記事の監修者

宅地建物取引士/元銀行員
鰭沼 悟

宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

目次

築50年マンションのメリット・デメリット

まずは、築50年のマンションを購入してリノベーションする際のメリット・デメリットを紹介します。

築50年マンションのメリット

築50年のマンションには、主に3つのメリットがあります。

1.新築と比べてリーズナブルな価格で購入できる

築50年マンションの最大のメリットは価格の安さです。
マンションは新築が一番高く、その後は築年数が古ければ古いほど価格は安くなっていきます。

築50年のマンションは、現在市場に出回っているマンションのなかでもかなり築年数が古い物件です。そのため築年数が浅いマンションよりも値段が安く、購入しやすい価格といえます。

下記は、東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)中古マンション成約物件、築30年超の比率が3割超える(図表6 P5)」を基に作成した、中古マンションの築年数ごとの成約状況を示した表です。

参照元:公益財団法人 東日本不動産流通機構 REINS TOWER 「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)中古マンション成約物件、築30年超の比率が3割超える」

築26年を超えると、マンションの不動産成約価格の平均は3,000万円を下回り、新しいマンションの半額以下で購入できることが分かります。

2.物件価格を抑えてリノベーションにお金をかけられる

築50年のマンションは物件価格が安いため、浮いたお金でリノベーションできるメリットがあります。

たとえば、新築や築浅マンションより2,000万円安く購入できたとすると、リノベーションに850万円かけたとしても、十分お釣りが来る計算です。余裕が出る分、リノベーションにお金をかけることで、より満足度の高い空間を作ることもできるでしょう。

3.好立地の物件が多い

築50年が経過するマンションが建てられたのは、日本の高度経済成長期。その時代のマンションは、先を競うように良い立地に建てられた物件が多いです。駅近など立地が優れているのに価格が安いことは、築50年以上のマンションを買う大きなメリットとなります。

また、築古物件のなかには「ヴィンテージマンション」と呼ばれる、ブランド化されたマンションもあります。これらは好立地にあるのはもちろん、管理状態も優れているため一部の物件マニアのなかでは有名で、憧れやステータス価値があるのも特徴。味わいと歴史を感じさせるのは、築古物件ならではの魅力といえるでしょう。

築50年マンションのデメリット

一方、築50年のマンションには、以下のようなデメリットもあります。

1.売却しにくい傾向がある

以下は、東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023)中古マンション成約物件、築40年超の比率は全体の18%(P5)」を基に作成したグラフです。

前述したように、マンションは築年数が古くなればなるほど価格は下がります。さらに、買い手の需要も低くなる傾向があるため、成約率は低くなるのが特徴です。

中古マンションの対新規成約率2022

参照元:公益財団法人 東日本不動産流通機構 REINS TOWER「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023)中古マンション成約物件、築40年超の比率は全体の18%」

購入時に安く買えるのはメリットですが、売る際に成約しにくいデメリットがあることは、理解しておく必要があるでしょう。

2.内装や設備が古い

途中でリノベーションがされていない場合、内装が古いというデメリットがあります。デザインも50年前に流行したものは、現在のスタイルと比べると古くさいと感じるでしょう。

また、室内の設備も劣化している可能性が高く、リノベーションによって交換が必要なケースがほとんどです。当然、その分の費用もかかってきます。

3.管理・修繕の状態次第では老朽化が進んでいることも

マンションの寿命は、適切な管理・修繕がおこなわれているかどうかによって大きく左右されます。管理状態が悪ければ、老朽化が進んでいるかもしれません。

築50年以上のマンションを購入する際は、適切な大規模修繕がおこなわれているか、今後おこなわれる予定があるかをよくチェックすることが重要です。

4.耐震工事が済んでいない場合がある

「新耐震基準」が定められたのは1981年であるため、築50年以上のマンションは「旧耐震基準」で建てられています。

旧耐震のマンションは、贈与税の非課税制度や不動産取得税などの優遇が利用できない、住宅ローン控除を受けられないなどのデメリットがあります。

また、よく誤解されがちなのが「旧耐震基準のマンション=危険」とは限りません。旧耐震基準で建てられたマンションであっても、耐震補強工事や耐震診断がおこなわれている場合もあるので、事前にしっかりチェックしておくとよいでしょう。

5.住宅ローンの審査が厳しい場合もある

多くの銀行では、旧耐震基準で建てられたマンションに対する審査は厳しく、場合によっては住宅ローンが組めない可能性があります。

ただし、住宅ローンの審査項目や基準は金融機関によって異なります。耐震補強工事がされていたり、耐震診断の結果がよかったりした場合は、問題ないとされるケースもあるので購入前に確認しましょう。

築50年マンションっていつまで住めるの?

「築50年マンションを購入しても、長く住めないのでは?」と、不安に思う方もいるでしょう。

しかし、驚くことに中古マンションの寿命は117年といわれています。これは、国土交通省の「RC造(コンクリート造)の寿命に係る既往の研究例」¹⁾で示されている寿命で、鉄筋コンクリート造建物の消耗度と実際の使用年数との関係から推定された年数です。

給排水管など配管設備の寿命は25~30年といわれていますが、大規模修繕で設備のメンテナンスが定期的におこなわれていれば問題ありません。

ただし、管理・修繕がされていない場合は、築50年ともなれば激しく老朽化している可能性があります。やはりここでも、マンションの管理・修繕状況は、しっかり見極めることが重要になるのです。

参照元1):国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取り組み紹介(スライド P10)

マンションの建て替えはほとんどない

国土交通省の調査「マンション建替え等の実施状況」によると、2024年4月1日時点での建て替え累計数は297件(約24,000戸)です。

2023年の累計数は285件だったことから、2023年~2024年で建て替えられたマンションはわずか「12件」となります。

これは、建て替えには1戸あたり少なくとも1,000万円程度の資金負担を求められることや、所有者の5分の4以上の賛成が必要になることなどが理由です。

そのため、マンション購入後に建て替えが起きるのでは…という心配をする必要は、ほとんどないといえるでしょう。

参照元:国土交通省「マンション建替え等の実施状況(2024(令和6)年4月1日現在)」

築50年マンションの耐震性は?

築50年のマンション購入を検討したとき、多くの方が心配する耐震性について詳しく解説します。

1. 築50年の中古マンションは「旧耐震基準」で建てられている

「4.耐震工事が済んでいない場合がある」でお伝えしたように、築50年の中古マンションは旧耐震基準*で建てられています。

新耐震基準は、震度6以上の大規模地震で建物が倒壊しないことが条件です。一方、旧耐震基準は震度5強程度の揺れで倒壊しないことを条件としており、震度6以上の揺れに対しては何も定めがありません。

だからといって、予算を超えて新耐震基準物件を無理して購入すると、今度は経済的なリスクに陥ります。ここで大切なのは「管理状態の良い」新耐震物件であることです。

*新耐震基準が施行された、1981年6月1日より前に建築確認されたマンションは、「旧耐震基準」に沿っています。

2. 耐震補強によって「新耐震基準」を満たしている物件なら安心

築50年マンションは、どれも耐震性が保証されていないかというとそんなことはありません。耐震改修や耐震補強をおこない、新耐震基準を満たしているマンションも多くあります。

安易に築年数だけで耐震性を判断してしまうと、お宝物件を見逃しかねません。耐震工事の有無に加えて、地盤の強度もチェックしておくと安心です。

築50年マンションは売却できる?

築古物件は売却しにくいというのは事実です。けれども中古物件の人気の高まりを受け、築古物件に関心がある人は増えており売却は可能といえます。

たとえば、リノベーション会社が運営元である不動産サイト「sumnara」のように、リノベ前提の人に向け物件を紹介しているサイトを利用すると、ニーズにマッチしやすくなります。売却できるかどうかは、売り方次第といえるでしょう。

リノベ済みなら「賃貸に出す」のもアリ!

築50年のマンションでもリノベーションが済んでいる場合は、売却せずに賃貸に出すのもひとつの方法です。

リノベーションで内装や設備を一新していると好印象を与え、成約に繋がりやすくなる可能性があります。個性的すぎるデザインや間取りでなければ、継続的な賃貸収入を得られるかもしれません。

ただし所有しているマンションを賃貸に出すには、住宅ローンを完済しているのが条件であることを理解しておきましょう。

【ケース別】築50年マンションの注意すべきポイント

ここからは、築50年のマンションについて「購入を考えている場合」「住み続ける場合」「売却する場合」の3つのケースに分け、注意すべきポイントを解説します。

1. 購入を考えている場合

築50年のマンションの購入を考えている場合は、以下のことに注意して確認しましょう。

  • 大規模修繕の履歴と修繕計画の有無
  • 管理費や修繕積立金の滞納の有無と金額
  • 耐震性能
  • 建て替えの実施予定
  • 立地の良さ

前述したとおり、同じ築50年のマンションでも、老朽化が進んでいるマンションとそうでないマンションがあります。

その違いは、大規模修繕が適切におこなわれているかどうかです。修繕計画がしっかりと組まれており、計画通りにスケジュールが進められているマンションなら安心といえます。購入前に、必ず大規模修繕の履歴や今後の計画を取り寄せて確認しましょう。

管理費や修繕積立金の滞納額が大きくないかも確認が必要です。滞納している住人の割合や滞納額があまりに大きい場合は、将来的に適切な修繕が実施できない可能性があります。金額が相場と比べて適切かどうかも調べましょう。

その際、建て替えの実施予定についても確認しておくと安心です。中古マンションが建て替えられる場合、その負担額は住人で分け合うことになります。

最後に、将来売却を考えているならば、立地条件を重視してマンションを選びましょう。これは、都心に近い駅近物件であれば、築年数が古くても賃貸ニーズもあり資産価値が下がりにくいからです。

逆に立地がそれほど良くないマンションの場合、築年数が古くなればなるほど価値が下がるため注意が必要です。

2.住み続けることを考えている場合

築古(これから築50年を迎える)マンションに住み続ける場合は、以下のことに注意しましょう。

  • 定期的に資産価値を確認する
  • 管理費や修繕積立金の滞納の有無、住人の退去状況は常に確認
  • 早めに売却する選択肢も持っておく

築年数が古くても住み続けていいマンションとは、資産価値が落ちにくいマンションです。

たとえば駅から徒歩5分圏内など好立地のマンションは、築年数が古くても資産価値が高く値崩れしにくくなります。都心部へのアクセスの良さも重要な要素です。

資産価値がどのくらいあるか把握するため、定期的に不動産の簡易査定を受けておくのもよいでしょう。

また、管理費や修繕積立金の滞納額が大きくなっていないかも、常に確認するようにしましょう。滞納額が大きければ、今後適切に管理や修繕がおこなわれない可能性があるからです。

滞納状況の有無に不安がある場合は、早めの売却も検討しましょう。

3. 売却する場合

築50年のマンションを売却する場合は、以下のことに注意しましょう。

  • 購入者が見つかりにくいことは覚悟しておく
  • 事前にリノベーションしても高値で売れるとは限らない

築50年マンションは、不動産市場にまだ多くは出回っていません。そのため売却活動をスタートさせても、買い手が見つかりにくい可能性があります。売却を考えている場合は、ある程度長期戦になることも考えておきましょう。

なお、物件の価値を上げるために、売却前にリノベーションしたいと考える方もいます。しかし、リフォームしたからといって、必ずしも高く売れたり成約率が上がったりするとは限りません。

むしろ、築古マンションを探している買い手は、物件価格を抑えて購入し、自分好みにリノベーションしたいと考えている方も多いもの。そのままのほうが売れやすい場合もあるので、売却前のリノベーションは避けるのが無難といえます。

【弊社実例紹介】築50年マンションのリノベーション事例3選

ここまで解説したように、中古マンションの寿命は117年ともいわれており、築50年であっても適切に管理・修繕されているなら快適に住むことができます。

ここからは、ゼロリノベで実際に築50年程度のマンションをリノベーションした事例をご紹介します。

築50年マンションのリノベーション事例①
1967年築|豊島区|お店気分を味わえるバーカウンターがおしゃれ!

1967年築のマンションを、おうちで居酒屋気分を味わえる空間にリノベーションした事例です。

お酒を視覚・味覚で楽しめるよう、アクセントを持たせたバーカウンター風キッチンに、畳の小上がりがアクセントになっています。

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畳みや格子収納が和モダンな雰囲気を演出。
お気に入りのお猪口を飾れる棚は、どこから見てもおしゃれなお店です!
小上がりの奥(正面右)にはロフトが。
ロフトの反対側には、ワークスペースを。プライベート空間で仕事もはかどります。

物件情報

建物タイプマンション
広さ74.7m²
築年月1967年04月
居住人数3人

築50年マンションのリノベーション事例②
1973年築|目黒区|趣ある躯体が魅力のインダストリアルリノベ

マンションリノベーションで人気の「躯体(くたい)現し」手法を取り入れた事例です。

1973年に建てられたマンションのコンクリート壁はあえて接着剤のあとを残し、さらに下部にグレーの塗装を組み合わせることで、ラフ過ぎない空間に仕上げています。

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ダイニングと完全に独立しているリビング。ホームシアターも存分に満喫できます。
窓の向こうに広がる緑を楽しめるよう、キッチンの洗い場は窓向きに設計。
中庭から差し込む光が、無機質なデザインにあたたかみをプラスしているオリジナルバスルーム。
メゾネットタイプのマンションで、玄関先も解放感があります。

物件情報

建物タイプマンション
広さ112.19m²
築年月1973年01月
居住人数3人

築50年マンションのリノベーション事例③
1979年築|憧れのテイストを実現した西海岸風リノベ

1979年築のマンションをフルリノベーションした事例。南仏にある海沿いのおうちをイメージし、ブルーを基調とした爽やかな印象の空間です。

海外のビーチ沿いにある、カジュアルなカフェやホテルのような居住空間を作りあげました。

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リビングの延長線上には、広々としたルーフバルコニーが。
リノベ前は暗かった玄関を、しっかり光が届くように設計。
タイルと木のコントラストがおしゃれな洗面台。アンティーク感のある水栓がアクセントに。

物件情報

建物タイプマンション
広さ63.54m²
築年月1979年12月
居住人数2人

下記の記事では、ここで紹介した事例③のAさんご夫婦と、埼玉県で1974年築のマンションをリノベしたBさんご夫婦の経験者インタビューを載せています。

また、下記の記事では、築50年のマンションがリノベーションで見事に生まれ変わった事例7選を紹介。築古マンションのリノベーションでの注意点や費用に関しても解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:【弊社実例紹介】築50年をリノベーション!古いマンションが生まれ変わった事例を大公開

中古マンションで大事なのは、築年数よりも「管理」

中古マンション購入においてもっとも大切なことは、「管理状態」を見極めることです。なぜなら、中古マンションは「管理」を買うものであり、築年数は一つの数字でしかありません。

大事なのは、これまでどのように住まわれてきたのか。これからも適切な修繕やメンテナンスがなされていくのか。そして住民にその意識があるのかどうかです。

とはいうものの、建物の専門家でなければなかなか判断が難しいですよね。ゼロリノベでは、リノベーション向き物件の目利きを得意とし、マンションごとの管理状況やコンクリートの状態の良し悪しまでプロ目線で見極めます。

また、ゼロリノベでは無料オンラインセミナーを開催しています。リスクに強い家の探し方や、マイホーム購入の際に知っておくべきお金の話など、ブログでは伝えきれないノウハウをギュッとまとめて伝授!

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「中古物件の見極めかた」

  • 中古って本当に大丈夫?
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  • リノベーションでどこまで綺麗になる?

そんな不安を抱える方にぴったり!安心して住める中古物件の見極め方を伝授します。

築50年のマンションに関するよくある質問

築50年のマンションを買っても大丈夫ですか?

マンションの管理・修繕状態がしっかりしている物件であれば、大丈夫といえます。気になる耐震性も、旧耐震でも、耐震検査をクリアしていれば購入に問題はありません。

本記事では、築50年のマンション購入を考えている場合に注意すべきポイントや耐震性について詳しく解説していますので、ぜひこちらを参考にしてください。

築50年のマンションは、購入後いつまで住めるの?

マンションの寿命は「管理状態」次第です。適切な管理・修繕がされていない物件は、築50年未満であっても寿命は短いといえます。大切なのは、築年数ではなく管理状態であり、ここをしっかり見極めることがポイントです。

この記事の制作体制
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

  • 鰭沼 悟

    宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

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