マンションリノベーションによる間取り変更事例10選!費用相場や注意点・業者選びのポイントも解説【一級建築士監修】

マンションの間取りをリノベーションにより変更することで、築古マンションや使い勝手の悪い空間を、暮らしやすい住まいへとガラリと変えることが可能です。
よくある間取りから、ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて変えられる点がメリットで、生活動線や家事動線の効率的な間取りも実現できます。
マンションの間取り変更の注意点として、構造や管理規約などによってリノベーションが制限される場合も。自分好みの空間を叶えるためには注意点も事前に把握しておくことが大切です。
本記事では、間取りを変更しやすいマンション構造の知識やリノベーションに必要な費用相場、業者選びのポイントについて解説。ゼロリノベが手掛けて激変した間取り変更のリノベーション事例も10選ご紹介するので、参考にしてくださいね。

一級建築士
西村 一宏
ゼロリノベの取締役。一級建築士としての豊富な現場経験と元大学講師としての深い専門知識をもとに、設計施工の責任者を務める。リノベーション・オブ・ザ・イヤーなど建築関連アワードの受賞数は20以上。業界の既成観念に囚われない最適なアプローチで施主のニーズに応えている。
リノベ費用の決定版!リノベにかかるお金について総まとめした記事はこちらから
マンションの間取り変更で何が変わる?
マンションの間取り変更を行うことで、家族構成の変化やライフスタイルの変化に合わせて住みやすい空間を作ることが可能です。マンションの間取り変更によって以下のように室内を変えられます。
間仕切り壁の撤去や増設 | ・不要な部屋の壁を撤去し新たな空間を作る ・ワークスペースや子ども部屋を作るために壁を設置する |
スケルトン工事 | ・躯体(梁や柱)のみを残してほかは撤去し、室内の間取りを大幅に変更できる |
クローゼットや収納の増設 | ・ウォークインクローゼットやシューズクロークなどを設置して収納力を高める |
水回り設備の移動やオープン化 | ・壁付けキッチンから対面式キッチンへの変更、洗面所を廊下に移動するなどして動線を改善する |
マンションの間取りを変更しやすい構造としにくい構造
マンションの構造は、「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類。下記の図のとおり、間取り変更をしやすい構造としにくい構造があります。

ラーメン構造
ラーメン構造とは、柱で建物を支えており、部屋の四隅に柱の出っ張りがあったり、天井に梁がある構造をしています。ラーメンの語源とはドイツ語の「Rahmen」から来ています。
こちらは、リノベーション工事をする際に、柱や梁は構造躯体のため動かしたり手を加えたりすることができませんが、部屋内の壁は撤去することが可能ですので、間取り変更の自由度が高い構造であることが特徴といえます。
壁式構造
壁式構造は上記の間取り図のように、柱や梁ではなく、構造壁や下がり壁によって建物を支えています。
建物を壁で支えていますので、間取り図にある壁の多くは耐震性などを確保するために必要なため撤去したり、移動させることができない可能性があり、間取り変更に制約が出てきます。
図面だけでは壁式構造かどうか判断できないこともあるので、実際に壁を叩いてみてください。コンクリートが入っているような硬い音がした場合は、構造壁の可能性が高いです。
また、壁式構造の物件はマンション全体の階数が5階以下の低層マンションに多くみられます。

壁式構造は間取り変更に制約が出るからといっておすすめできないというわけではありません。こちらの事例のお客様は『壊せない壁が多いことはわかっていましたが、「なんでも自由!」と言われると迷ってしまうので、あらかじめ区画が決められているのも悪くはないと思いました。』とお話ししてくださる方もいらっしゃいましたよ!




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マンションの間取りを変更する場合の費用相場
マンションの間取りを大きく変えるには、「フルリノベーション」という選択肢があります。フルリノベーションではどれくらい費用がかかるのか、一般的な費用相場をご紹介します。


リノベーションする面積の広さと費用相場は下記の比較表をご覧いただくと、上記の参考事例のように、一般的な間取りのマンションでフルリノベーションするなら、70㎡の場合で1,190万円が平均的な業界相場です。
面積ごとの費用目安として業界相場を記載しています。おおよその費用の参考にしてください。


*上記はあくまで参考・やりたい内容や物件状態によって費用は大きく変わる
ゼロリノベのBASICプランで70㎡の物件を購入しリノベーションする場合、かかる費用は下記のとおりです。
ゼロリノベの平米数別の料金相場
フルリノベの場合には、1㎡単位の完全定額制『BASE』と広さによって基本単価が決まる『PLUS』 プランがあります。
平米数 | BASEプラン 1㎡単位の完全定額制(税込) | PLUSプラン 14万円〜/㎡+450万円(税込) |
---|---|---|
40㎡ | 1,110万円 | 1,111万円〜 |
50㎡ | 1,210万円 | 1,265万円〜 |
60㎡ | 1,320万円 | 1,419万円〜 |
70㎡ | 1,430万円 | 1,573万円〜 |
80㎡ | 1,540万円 | 1,727万円〜 |
90㎡ | 1,650万円 | 1,881万円〜 |
BASEプランもっと詳しく知る | PLUSプランをもっと詳しく知る |
*戸建ては建物ごとに状態が異なるため、別途お見積もりとなります。
(参考)リノベーション料金プラン|ゼロリノベ
上の表で示されている業界相場よりも価格を抑えられるのは、不動産仲介、リノベーションの設計施工まで、すべての工程を自社で管理しているためです。
なお、LDKを広くする、キッチンを対面式にするなど、部分的な間取りの変更にかかる費用については以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。


また、ゼロリノベの料金プランについて詳しくは以下をご覧ください。
ゼロリノベ 選べる3つの料金プラン
注文住宅のように、ゼロから自由な空間をつくれるフルリノベ『 BASE』と『PLUS』 スケルトン工事せず、既存を生かした部分リノベ『LIGHT』明確な料金設定と、自分らしい選択肢で、納得のいく住まいを実現できる3つのプランをご用意しました。


マンションの間取り変更の注意点
マンションの間取り変更をしたい方は先述した構造の確認とともに、以下の点に注意する必要があります。
- 管理規約の確認
- 水回りの配管や設備の制限
- 予算内でやりたい工事ができるかどうか確認する
- 近隣住民への配慮
管理規約の確認
マンションの間取り変更を希望しても管理規約により希望のリノベーションができない可能性もあるため、事前に確認しておくことが大切。
マンションは「専有部分」と「共用部分」に分かれており、リノベーションが可能なのは室内にあたる専有部分のみです。専有部分は原則自由にリノベーションできますが、マンションによっては管理規約で床材の使用制限や窓の変更制限、躯体への穴あけを禁止しているなどのルールが設けられていることもあります。
物件の構造や配管が通っているPS(パイプスペース)の位置などを調べて、事前に家族が希望するレイアウトを施工事例を参考にしながらイメージしておき、使える予算内で実現可能かリノベーション会社やリフォーム会社に相談しておくと安心です。
間取り変更を行うリノベーションの際には、管理組合への事前申請・承認が必要な場合も。トラブルを起こさないためにも、事前に管理規約や使用細則を把握し、必要に応じて管理組合や管理会社に相談しましょう。


水回りの配管や設備の制限
水回りの配管や設備の制限にも注意が必要です。そもそも管理規約により水回りの移動、配管の工事が禁止されていれば、工事自体が行えません。また、共用部分にある配管は変更不可です。
配管を交換したい場合、マンションの配管構造によって難易度が大きく異なります。配管は、「床スラブ貫通配管」タイプと「床スラブ上配管」タイプに分かれ、交換の工事が大変なのは床スラブ(構造躯体コンクリート)を貫いている「床スラブ貫通配管」です。この場合、配管が通っている場所が共用部分になるため、原則として自由に交換することができません。


予算内でやりたい工事ができるかどうか確認する
間仕切り壁を取り壊すような間取り変更工事は、ある程度の費用がかかりやすく、予算オーバーにもなりがちです。例えば次のような工事が当てはまります。
- 3LDKを2LDK、1LDKのお部屋にする
- クローゼットをウォークインタイプの収納スペースにする
- 和室をオープンにしてフローリングにする
近年は木材の価格高騰などもあり、自分たちがイメージする費用相場よりも費用がかさむ可能性もあります。
理想とするレイアウトが予算内で実現できるのか、完成イメージと実際の費用との乖離をできるだけ少なくするためリノベーション会社やリフォーム会社に相談しておくと安心です。
近隣住民への配慮
マンションの間取りを変更する大掛かりなリノベーションは、工事の騒音対策が必要です。マンションは騒音が隣戸や階下に伝わりやすいため、工事の時間帯も配慮しましょう。工事を開始する前には隣接の住戸や上下階の住人に挨拶することが大切です。工事期間や内容、騒音発生の可能性について事前に伝えることが推奨されます。
マンションの間取り変更を依頼する業者選びのポイント
間取り変更したい方は、理想の空間を実現するために業者選びを開始しましょう。業者は、リノベーション専門の大手会社のほか大手建設業・工務店などのリノベーションサービスなどから選択できます。
間取り変更によって自分のこだわりを実現したい方は、ノウハウが豊富なリノベーション専門の大手会社に依頼するのがおすすめ。物件選びや施工、アフターフォローまで、ワンストップで提供している企業も多くあります。
認知度や安心感を重視したい方は、大手建設業・工務店などのリノベーションサービスがおすすめ。リノベーション専門の大手会社よりも費用が高額になりやすいですが、アフターフォローまで充実しているの点はメリットです。
リノベーション会社をお探しの方は、以下の記事も参考にしてくださいね。




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【厳選リノベ10事例】マンションの間取り変更のアイデア
マンションの間取りを変更した事例と費用を10選ご紹介します。間取り変更を希望する方は参考にしてくださいね。
【事例1】ルーフバルコニーをリビングにした事例
広さ:48㎡
構造:ラーメン構造
こちらの事例は、3DKをダイナミックなワンルームに変えた事例です。ルーフバルコニーをアウトドアリビングとして取り入れて、室内を広く活用できる間取りに。壁を取り払い広くシンプルな空間にしたことで、ストレスフリーな暮らしを実現しました。
<After>




<Before>


<間取り図>


【事例2】バスタブから部屋全体を見渡す家
広さ:55㎡
構造:ラーメン構造
こちらの事例は、浴室を大きく移動したリノベーション事例です。浴室をガラス張りにすることでオープンで広がりのある明るい居住空間に。元々特徴のある形の間取りでしたが、LDKを中心に整理することで、生活動線も家事動線も効率的で無駄なくスムーズな動きが実現しています。
<After>






<Before>


<間取り図>


【事例3】70㎡の3LDKをワンルームに間取り変更した事例
広さ:71㎡
構造:ラーメン構造
不要な和室や壁を取り払い、素材を統一すれば、同じ平米数でもグッと広くなります。こちらの事例では、自然素材をふんだんに取り入れて温もりのある空間を演出。既存の個室壁を取り払いワンルームのような使いやすさが魅力です。
<After>






<Before>


<間取り図>


【事例4】壁式構造を活かして部屋のレイアウトを変更した家
広さ:66.40㎡
構造:壁式構造
部屋ごとに区画されて狭い印象だった空間を、対面キッチンとダイニング・リビングスペースをひとつながりの大空間に間取り変更。家族の気配をいつも感じられる住空間に変わりました。子供たちが勉強したり、家族が憩いの時間を過ごしたり、みんなが自然に集うスペースに大変身です。
<After>




<間取り図>
【事例5】一般的な2LDKを浴室から緑が楽しめる海外風の家に間取り変更した事例
広さ:77.43㎡
構造:ラーメン構造
居住空間がひとつながりの広々したスペースにするために、オープンな空間の中で、キッチン設備や家具配置によりゆるやかにゾーニング分けした事例です。洗面所と浴室をベランダ側に配置するという個性的な間取りで緑が身近に感じられるのが魅力です。
<After>






<Before>


<間取り図>
【事例6】壁を取り払い、明るくゆったりした1LDKに間取り変更した事例
広さ:83.17㎡
構造:ラーメン構造
こちらは、部屋の奥まで自然光が取り込める明るさを確保するために、大胆に3部屋分の間仕切り壁を取り払うことで、自然光がたっぷり降り注ぎワンルームのように開放感あふれる間取りにした事例です。シンプルな色づかいでまとめられた空間に、家具のフォルムが引き立っていますね。
<After>


<Before>


<間取り図>


【事例7】2DKをワンルームに変更したおしゃれなひとり暮らしの家
広さ:46.62㎡
構造:ラーメン構造
こちらは、一般的な2LDKの間取りを個室の壁を取り払うことで、面積以上の空間の広がりを実現した事例です。間仕切り壁を腰壁にしてワンルームのような視界の「ヌケ」が魅力です。玄関から掃き出し窓まで一目で見渡せるため、外までつながるような広がりを感じさせます。
<After>






<Before>
【事例8】ライフスタイルの変化に対応する余白を残した一戸建ての間取り変更
広さ:117.14㎡
構造:木造2階建て
こちらは、構造に問題のない間仕切り壁を取り払い、可変性にも柔軟に対応できるリノベーションをした戸建ての事例です。1階は壁の場所を変更することで生活動線がスムーズな空間に。2階は将来的なライフスタイルの変化にも対応できるようにあえて壁で仕切り過ぎない選択をしています。
<After>


【事例9】間取り変更でキッチンの家事動線と収納を充実させた事例
広さ:58.30㎡
構造:ラーメン構造
こちらは、個室の壁を取りはらうことでオープンで広々したLDKを作り、広がった空間にⅡ型キッチンを取り入れてキッチンスペースを充実させた事例です。二人でキッチンに立つことを考え広さに加えて動きやすい動線も実現しています。他の部屋との移動もスムーズで家事効率がUPする間取りですね。
<After>
<Before>
<間取り図>
>>その他の事例写真はこちら
【事例10】壁式構造でも開放感のある空間を実現した間取り変更
広さ:85.63㎡
構造:壁式構造
こちらは壁式構造でのリノベーション事例ですが、除いても可能な部分の壁を取り払い、ゆるやかに空間がつながる開放的な空間にリノベーションした事例です。色に統一感を持たせることでより広がりを感じさせています。
<After>






<間取り図>


まとめ
マンションの間取りを大きく変更するようなリノベーションは、一部分のみに手を掛けるのではなく、フルリノベーションも選択できます。フルリノベーションの際にはマンションの構造の種類や特徴を確認しておくことが大切。
ラーメン構造はリノベーションの自由度は高いですが、壁式構造であっても取れない壁を活かしたフルリノベーションは可能です。
ご紹介した10事例では、リノベーション後は新たに作る間仕切り壁が少ない状態である場合が多く、将来的にライフスタイルが変わったときにも柔軟に対応できる余白を設けているのが印象的でしたね。
しかし、将来の暮らし方まで想定した間取り変更を、構造のことも注意しつつ自分たちで考えるのは簡単ではありません。やりたいことができるのか予算内でできるのか、なかなかイメージもしにくいのが現状ではないでしょうか。
失敗なく理想のデザインに間取り変更するためには、経験豊富なパートナーが必要不可欠です。ゼロリノベでは受賞歴のある設計チームが、お一人おひとりの暮らしに合ったリノベーション設計をご提案します。
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マンションの間取り変更に関するよくある質問
- マンションの間取り変更ができない箇所はありますか?
-
マンションは「専有部分」と「共用部分」に分かれています。共用部分に関しては手を加えることはできません。共用部分は玄関ドア、窓、バルコニー、外壁などが該当します。
専有部分は原則自由にリノベーションできますが、マンションによっては管理規約で床材の使用制限や窓の変更制限、躯体への穴あけを禁止しているなどのルールが設けられていることもあります。
マンションの専有部分と共用部分の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
- マンションの間取りを変更した事例で参考になるものはありますか?
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編集後記



リノベーションに制約はつきもの。建物構造以外にも、スケルトン解体工事後に初めて分かる制約もあります。こんなリノベーションがしたい!という理想像を描きつつ、物件の特性にあわせて代案も柔軟に楽しむような心持ちでいると、リノベーション設計の可能性がさらに拡がりますよ。



ゼロリノベでのリノベーション設計は、ヒアリングシートに1日のタイムスケジュールから空間の優先順位、それぞれの空間でどんなふうに過ごしたいかなど細かく記入するところから始まります。ライフスタイルを言語化することができ、またプラン提案が出てくる瞬間はワクワクします…!リノベを考えている方は、ぜひご自身の生活スタイルを振り返って打ち合わせに望んでいただきたいです。