中古マンションのリノベーション期間|フル・部分別の目安と注意点

中古マンションのリノベーション期間は、工事の規模や内容によって大きく異なります。
リノベーションを検討する際に知っておきたい、フルリノベーション・部分リフォームの工事期間や費用、失敗しないための注意点やポイントを紹介します。

一級建築士
西村 一宏
ゼロリノベの取締役。一級建築士としての豊富な現場経験と元大学講師としての深い専門知識をもとに、設計施工の責任者を務める。リノベーション・オブ・ザ・イヤーなど建築関連アワードの受賞数は20以上。業界の既成観念に囚われない最適なアプローチで施主のニーズに応えている。
中古マンション「フルリノベーション」の工事期間・費用・注意点
中古マンションのフルリノベーション(スケルトンリノベーション)は、コンクリートの箱の状態まで戻して全面改修するため、工事期間は5〜7ヶ月が一般的な目安です。内訳としては、設計に2〜3ヶ月、工事に3〜4ヶ月程度が必要になります。
工期が延びる可能性について
リノベーションの期間はあくまで目安であり、実際にはさまざまな要因によって工期が延びることもあります。スムーズに進む場合もあれば、予想外の事情で予定より長くかかるケースも少なくありません。
工期が延びる主な要因は以下のとおりです。
- 管理組合・理事会の承認
物件によっては、工事前にマンション管理組合の承認が必要です。理事会は月1回程度の開催*が多く、タイミングによっては承認まで1ヶ月以上かかる場合もあります。 - 長期休暇やトラブル
正月やお盆などの長期休暇中は工事がストップします。また、工事中の予期せぬトラブルや追加工事の発生で、さらに期間が延びることもあります。
※参照:国都交通省
費用の目安
リノベーション費用は、平米単価10〜15万円が相場です。たとえば70平米の場合、約700〜1,000万円超えが目安となります。
リノベーション費用や流れについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。


注意点
- 仮住まいの準備
フルリノベーション期間中は住むことができないため、仮住まいを用意する必要があります。仮住まいの家賃や引越し費用も予算に含めておきましょう。
- 近隣への配慮
工事中は騒音や振動が発生するため、近隣住民への事前挨拶や配慮も大切です。
- 追加費用の発生リスク
工事中に予期せぬ修繕や仕様変更が発生し、追加費用がかかる場合があります。余裕を持った資金計画を立てておくことが重要です。
フルリノベーションが予算的に難しい場合は、部分リフォームを検討するのも一つの方法です。
中古マンション「部分リフォーム」の工事期間・費用・注意点
部分リフォームは、工事をおこなう場所や内容によって期間や費用、注意点が異なります。ここでは、代表的なリフォーム箇所の工事の目安やポイントを紹介します。
キッチンリフォーム
- 工事期間
キッチンのみの入れ替えなら2〜4日、内装工事を含めると1週間ほど。キッチンの位置を移動する場合は、2週間〜1ヶ月かかることもあります。
- 費用
本体交換で50〜150万円、キッチンの移動を伴うと150〜200万円が目安です。グレードやオプションによっては、さらに高額になる場合もあります。
- 注意点・ポイント
マンション特有の梁や構造壁、給排水やダクト、電気配線の制約に注意が必要です。また、工事期間中はキッチンが使えないため、食事の手配も検討しましょう。
関連記事:おしゃれキッチンリノベーション!おすすめメーカー・費用・事例紹介
関連記事:キッチンリノベーションの費用相場は? コストを抑える2つのコツも解説
浴室リフォーム
- 工事期間
ユニットバスの交換で3〜4日、タイル張りからユニットバスへの変更は4〜7日が目安です。
- 費用
80〜135万円程度(FRP製浴槽のシステムバス)。浴室の広さや設備グレードによって変動します
- 注意点・ポイント
マンションによっては、浴室のサイズや搬入経路に制約があるため、事前の現地調査が重要です。給排水管の老朽化にも注意しましょう。
関連記事:お風呂のリノベーション費用は「ユニットバス」で100~200万円、「在来工法」で300~400万円が相場。費用を抑えるコツや補助金制度も解説。
トイレリフォーム
- 工事期間
洋式トイレの交換は半日〜1日、和式から洋式への変更は2〜3日程度。これに床の張り替えや水道管の取り換えが加わると、3〜4日になります。
- 費用
交換のみで3〜10万円、和式から洋式への変更や内装工事を含めると50万円前後になることもあります。
- 注意点・ポイント
床下配管の状況やマンションの排水方式によっては、追加工事が必要になるケースも。また、工事中はトイレが使えない時間帯が発生します。
関連記事:トイレリノベーションを成功させる「おしゃれと実用性」の2WAY事例集|費用情報も
洗面台リフォーム
- 工事期間
洗面台の交換は、半日〜1日程度が目安。床と壁のクロス張り替えが加わると、1〜2日です。
- 費用
洗面台の交換のみで6〜8万円程度。床と壁のクロス張り替えを含むと、10〜13万円です。このほか、ウォールキャビネットが2.5万円前後、トールキャビネットの追加で7万円前後の費用が加算されます。
- 注意点・ポイント
給排水管の位置やサイズが合わない場合は、追加工事が必要になることがあります。収納や使い勝手も事前に確認しましょう。
関連記事:見た目も機能も優れた洗面台リノベーション事例8選!費用相場やおすすめメーカーも大公開
間取り変更
- 工事期間
壁の増設は2〜3日、壁の撤去や大規模な間取り変更は5日〜3週間程度かかります。
- 費用
壁の増設で10〜20万円、壁の撤去は18〜30万円、間取り全体の大幅変更ではさらに高額になります。
- 注意点・ポイント
マンションの構造上、撤去できない壁や梁があるケースもあります。管理規約で制限があることも多いため、事前確認が必須です。
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中古マンションの部分リフォームの落とし穴
部分リフォームを検討する際は、見た目の新しさだけでなく、建物内部の老朽化や隠れた問題にも注意が必要です。
とくに築古物件では、表面的なリフォームだけでは解決できない問題が後から発覚し、追加工事や余計な費用が発生するケースも少なくありません。
部分リフォームで見落としがちな重要ポイント!
快適で安心な住まいを実現するためにも、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
- 築25年以上の中古マンションでは、配管の寿命(亜鉛メッキ鋼管15〜20年、塩ビライニング鋼管15〜30年など)に注意。
- 配管が劣化している場合、部分リフォームだけでは水漏れなどのリスクが残る。後から配管交換をおこなうと、再度工事や追加費用が発生しやすい。
- 配管や設備の状態は事前調査が必須。必要に応じてフルリノベーションも検討すべき。
- ライフスタイルの変化や将来的な住み方も考慮し、部分リフォームで十分か、フルリノベーションが適しているかを検討することが大切。
関連記事:中古マンションの配管寿命は?具体的なチェック方法や交換費用の目安を解説
まとめ
中古マンションのリノベーション期間や費用は、工事の規模や築年数、物件の状態によって大きく変わります。
部分リフォームは手軽ですが、築古物件では配管など見えない部分の劣化にも注意が必要です。
将来のトラブルや追加費用を防ぐためにも、事前調査と計画的な進行が大切です。自分のライフスタイルや理想にあわせて、最適なリノベーション方法を選びましょう。