ローコスト住宅とは?工事費用の目安とメリット・デメリット
「ローコスト住宅ってどんな住宅?」
「ローコスト住宅で家を建てるのにはどれくらいの費用がかかるの?」
このような疑問を抱えていませんか?
マイホームの購入を検討して調べているときに、安く家を建築する方法の1つとして「ローコスト住宅」の存在を知った人もいるでしょう。建築コストが安いといっても、実際どのくらいコストダウンできるのか気になりますよね。安いと耐久性や耐震性などの住宅性能が劣るのでは、と不安に感じている人もいるかもしれません。
そこで今回は、ローコスト住宅について次のような内容を解説します。
- ローコスト住宅の概要
- ローコスト住宅の費用相場
- ローコスト住宅のメリット・デメリット
さらにローコスト住宅と同様に、安価にマイホームを購入する方法のひとつとして、
- 中古住宅のリノベーション
についても紹介します。
ローコスト住宅が気になっている人、コストを抑えて住宅を購入したい人は、ぜひご参考にしてください。
ローコスト住宅とは?
まずは、そもそもローコスト住宅とはどのような住宅なのかを紹介します。
1-1.ローコスト住宅の意味
ローコスト住宅とは、その名のとおりLow(低い)Cost(価格)、つまり一般的な住宅よりも比較的低コストで建てられる住宅を指します。
ローコスト住宅がリーズナブルに建築できるのは、間取りや内装などがシンプルで、さらに規格化されているのが理由です。規格が決まっていると、ハウスメーカーは規格どおりに製造された材料を大量に仕入れられるので、材料費を抑えられます。さらに現場で材料をカットする手間もなく、作業内容も決まっているため現場の作業効率が向上し、人件費の削減にもつながります。
その結果、建物価格を安く抑えられるのです。
1-2.ローコスト住宅はいくらまでの住宅を指す?
ローコスト住宅は、建築費1,000万円台までの家を指すのが一般的です。あくまでも建築費であるため、土地の取得費用は含みません。
坪単価平均の相場は約30万〜40万円といわれており、これは一般的な注文住宅の坪単価平均50万〜80万円と比較すると最大で6割も安くつく計算です。
【坪単価平均の相場】
ローコスト住宅:約30万〜50万円
注文住宅:約50万〜80万円
たとえば建坪25坪の住宅を建てた場合、ローコスト住宅と注文住宅の建築費は以下のようになります。
<建坪25坪の家を建てた場合>
最大で1,250万円もの違いが出ることがわかります。なお最終的にかかる総額は、プランのグレードや依頼する住宅メーカー、施工会社、エリアなどにより異なるため、見積もりを取って比較するようにしましょう。
ローコスト住宅のメリット
ローコスト住宅で家を建てるのには、3つのメリットがあります。
- 住宅ローンを組みやすく、返済しやすい
- 将来的な住み替えや建て替え、リフォームを検討しやすい
- 工期が短い
順番に解説します。
2-1.住宅ローンを組みやすく、返済しやすい
ローコスト住宅は、住宅ローンを組みやすいのが最初のメリットです。ローコスト住宅は比較的安く家を建てられるので、住宅ローンを組む場合でも借入金額が少なくてすむ可能性があるためです。
住宅ローンを組むときには、銀行側はさまざまな側面から審査を実施します。そのなかでももっとも重要視されるのが、返済能力です。借入金額が多いほど、月々の返済額が大きくなるので審査が厳しくなるのが一般的です。
その点、借入金額が少なければ返済金額も少なくなるので、それに見合った年収があれば審査に通りやすくなります。さらに支払い能力に応じて返済期間を短くするなど、ローンを借りる期間も選びやすくなるでしょう。
自己資金に余裕がないような場合や、借りられるローンの金額が低くても、持ち家の購入を実現しやすいのがローコスト住宅のメリットです。
2-2.将来的な住み替えや建て替え、リフォームを検討しやすい
ローコスト住宅は、一般的な注文住宅よりも価格を抑えて建築できるため、将来的な住み替えや建て替え、リフォームなどを検討しやすいのもメリットです。
ローン借入額に余裕を持たせるために、ローコスト住宅を選択する場合、暮らしに余裕が生まれ、その分を貯蓄に回せます。そのため家族構成やライフスタイルの変化にあわせ、そのときにふさわしい間取りの住宅へのリフォームや、建て替えなどを検討しやすくなります。
たとえば「子どもが自立したから間取り変更したい」「足腰がつらくなってきたから2階建てから平屋に住み替えたい」などの希望も、資金に余裕があればかなえられるでしょう。
2-3.工期が短い
ローコスト住宅は、注文住宅と比較して工期が短いのも特徴です。
ローコスト住宅は間取りや内装が規格化されており、設計どおりにあらかじめカットされた材料を組み立てて家を建てられるよう工夫されています。
注文住宅のように、現場で寸法を測りながらカットして調整していく手間が必要ありません。同じような家を何棟も建てることから職人さんが慣れていることもあり、工事が早く進みます。
着工から完成までの期間が短いと、早く入居できるのもポイントです。
ローコスト住宅のデメリット
安価に戸建て住宅を持てるのが魅力のローコスト住宅ですが、以下のようなデメリットがあります。
- 比較的自由度が少ない
- メンテナンスに費用がかかるおそれがある
- オプション費用が高めに設定されていることがある
順番に説明します。
3-1.比較的自由度が少ない
ローコスト住宅は、コストを抑えるために間取りや内装などが規格化されています。あらかじめ決められたプランから選択する工事方式のため、自由度が低いのがデメリットです。
注文住宅であれば、間取りはもちろん内装を塗り壁にしたい、浴室はタイルにしたいといった希望をすべて反映できます。しかしローコスト住宅ではそのような要望を叶えるのは難しく、理想の家を実現するのは困難です。
そのため実際に住み始めてから後悔し、間取りを変更したくなる人もいるようです。完成後に追加工事をすると、結果的に注文住宅より高額になり「失敗した」と後悔するかもしれません。
ローコスト住宅を選ぶときには、最低限かなえたい条件を実現できるかを、あらかじめよく見極めることが大切です。
3-2.一般住宅よりもメンテナンスに費用がかかるおそれがある
ローコストではコストカットするために、グレードや品質、性能などが低い、低価格帯の材料が使用されている場合があります。その場合、メンテナンス費用が高くつく恐れがある点には注意が必要です。
たとえば屋根や外壁は、表面に塗られている塗料の耐用年数にあわせて塗り直しメンテナンスが必要なのが一般的です。安価な材料には耐用年数が短い塗料が使用されていることが多く、そうすると塗装メンテナンスの周期が早くなってしまいます。かといってメンテナンスを怠れば、住宅の劣化が早まってしまいます。
ローコスト住宅は、安く建てても結果的には維持費が高くつく可能性があるのです。
3-3.オプション費用が高めに設定されていることがある
ローコスト住宅では、コストを抑えるために、建材や設備には安い価格帯のものが使用されています。グレードが低くてももちろん問題ありませんが、せっかくマイホームを建てるのだから気に入った設備を入れたいと思うこともあるでしょう。
そんなときには、標準仕様とは異なるグレードの高い材料や設備などを、オプションで選択できる仕組みになっているのが一般的です。しかしオプションを選ぶことで標準の工事内容から外れてしまうと、費用が高くなってしまいます。
オプション追加数が多いと、注文住宅を建てるのと変わらないほどトータルコストが高くなる可能性があるため注意が必要です。
ローコスト住宅を検討中の方も注目「中古住宅のリノベーション」という選択肢
低コストが魅力のローコスト住宅ですが、費用を抑えてマイホームを手に入れることが目的であるなら、中古住宅をリノベーションするという選択肢もあります。
ここでは中古住宅のリノベーションについて紹介します。
4-1.中古住宅のリノベーションとは?
リノベーションとは、中古住宅の内装や間取りなどを新しく変更することを指します。リフォームとよく混同されますが、両者には以下のような違いがあります。
リフォーム:古くなったものを「元に戻す」工事
リノベーション:暮らしにあわせて作り変える工事
とくに構造部分を残して内装をすべて撤去し、間取りや耐震、断熱性など見えない部分まで変更する場合は、フルリノベーションと呼ばれます。
中古住宅のリノベーションは、コストを抑えながら理想の住まいを追求しやすいのがメリットです。中古住宅なら安価に購入できるため、リノベーションにかかるコストをあわせても新築ほどの費用はかかりません。
4-2.ローコスト住宅と中古住宅のリノベーションはどちらがおすすめ?
マイホームの選択肢の1つとして中古住宅のリノベーションを紹介しましたが、ローコスト住宅とではどちらを選べば良いのでしょうか?
4-2-1.ローコスト住宅がおすすめの人
ローコスト住宅は、以下のような人におすすめです。
- 予算を抑えて新築住宅を建てたい人
- 設備や材料などへのこだわりが強くない人
ローコスト住宅は、予算を抑えて新築住宅を建てたい人におすすめです。ローコスト住宅であれば、予算1,000万円程度でも新築一戸建ての夢をかなえられます。ローン負担も少なくすむので、まだ年収が低めの若年層でも購入しやすいのがメリットです。
またローコスト住宅はあらかじめ規格化されたプランから選ぶため、設備や材料などへのこだわりが少ない人にも適しています。オプションを選ぶこともできますが、そのぶん費用が高くなり、ローコスト住宅のメリットを享受できなくなってしまうでしょう。
4-2-2.中古住宅のリノベーションがおすすめの人
中古住宅のリノベーションがおすすめなのは、以下のような人です。
- 予算を押さえながらも、理想的な住宅に住みたい人
- 立地を優先したい人
- 実際の居住環境を事前に確認したい人
中古住宅のリノベーションは、住宅を新築するより安価になるのが一般的です。フルリノベーションであれば、間取りからすべて新しくできるので、理想の家づくりを実現できます。
また住宅は駅前など立地条件が良い場所から建てられていくため、中古物件は好立地の場所に多いのもメリットです。築年数をある程度譲歩できるなら、住宅選びの選択肢を増やせます。
中古住宅はすでに家が完成しているので、ご近所に住んでいる人や周辺環境をあらかじめチェックしてから購入したい人にもおすすめです。
まとめ
ローコスト住宅は、間取りや内装を規格化し、安価な素材や設備を標準仕様とすることで、コストを抑えて建てられる住宅です。建築価格相場は1,000万円とされているので、自己資金が少ない人や、年収がまだ低めの若い人でもマイホームを持てるのが魅力です。
ただしローコスト住宅は、あらかじめ決められたプランのなかから選ぶのが基本なので、注文住宅のように理想をかなえる家を建てるのは困難です。基本的に安価な材料が使用されているためメンテナンスコストがかかり、長寿命は期待できないでしょう。
背伸びしない金額で理想的なマイホームを手に入れるなら、中古住宅をリノベーションする方法もあります。構造だけを残して間取りから作り変えるフルリノベーションなら、費用を抑えながら理想の家を実現できるかもしれません。