【一級建築士監修】マンションの間取り変更で激変した事例10選!費用や注意点も解説
毎日の生活の中で、「子どもが成長して家が手狭になってきた」「平米数が小さい家でも暮らしやすくしたい」「廊下をなくして効率よく動ける間取りにしたい」……など、間取りに関する悩みを抱えていませんか?
たとえよくある間取りであっても、今の自分たちのライフスタイルに合わない場合、スムーズな動線にならないことがあります。生活動線も家事動線も効率的な間取りにしたいなら、リノベーションで部屋の配置をガラリと変えることもおすすめです。
とはいえ、間取り変更でどれだけ変われるのか?そして、どれだけ費用がかかるのか?具体的にイメージするのはなかなか難しいですよね。
そんな方のために、この記事ではマンションを部分的に間取り変更するのではなく、空間をガラリと変えて理想の暮らしを実現した魅力的なリノベーション事例10選をご紹介いたします。
ぜひ、アイデアや工夫の取り入れ方の参考にしてください。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
マンションの間取りを変更しやすい構造としにくい構造
マンションの構造には、間取り変更をしやすい構造としにくい構造があります。
下記の図を見てください。
ラーメン構造
ラーメン構造とは、柱で建物を支えており、部屋の四隅に柱の出っ張りがあったり、天井に梁がある構造をしています。ラーメンの語源とはドイツ語のRahmenから来ています。
こちらは、リノベーション工事をする際に、柱や梁は構造躯体のため動かしたり手を加えたりすることができませんが、部屋内の壁は撤去することが可能ですので、間取り変更の自由度が高い構造であることが特徴といえます。
壁式構造
壁式構造は上記の間取り図のように、柱や梁ではなく、構造壁や下がり壁によって建物を支えています。
建物を壁で支えていますので、間取り図にある壁の多くは耐震性などを確保するために必要なため撤去したり、移動させることができない可能性があり、間取り変更に制約が出てきます。
図面だけでは壁式構造かどうか判断できないこともあるので、実際に壁を叩いてみてください。
コンクリートが入っているような硬い音がした場合は、構造壁です。
また、壁式構造の物件はマンション全体の階数が5階以下であることが多いです。
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マンションを間取り変更する場合の費用相場
マンションの間取りを大きく変えるには、「フルリノベーション」という選択肢があります。フルリノベーションではどれくらい費用がかかるのか、一般的な費用相場をご紹介します。
リノベーションする面積の広さと費用相場は下記の比較表をご覧いただくと、上記の参考事例のように、一般的な間取りのマンションでフルリノベーションするなら、70㎡の場合で1,155万円が平均的な業界相場です。
面積ごとの費用目安として業界相場を記載しています。おおよその費用の参考にしてください。
ゼロリノベのBASICプランで70㎡の物件を購入しリノベーションする場合、かかる費用は下記のとおりです。
ゼロリノベの平米数別の料金相場
フルリノベの場合には、広さによって基本料金が決まる『BASIC』と『PLUS』 プランがあります。
平米数 | BASICプラン 10~12万円/㎡+420万円 | PLUSプラン 13万円/㎡+420万円 |
---|---|---|
〜39㎡ | 810万円〜888万円 | 927万円 |
40㎡ | 820万円〜900万円 | 940万円 |
50㎡ | 920万円〜1,020万円 | 1,070万円 |
60㎡ | 1,020万円〜1,140万円 | 1,200万円 |
70㎡ | 1,120万円〜1,260万円 | 1,330万円 |
80㎡ | 1,220万円〜1,380万円 | 1,460万円 |
BASICプランの施工事例 | PLUSプランの施工事例 |
上の表で示されている業界相場よりも価格を抑えられるのは、不動産仲介、リノベーションの設計施工まで、すべての工程を自社で管理しているためです。
なお、LDKを広くする、キッチンを対面式にするなど、部分的な間取りの変更にかかる費用については以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
>>マンションの間取りをリノベーション!人気の施工、費用相場など解説
また、ゼロリノベの料金プランについて詳しくは以下をご覧ください。
ゼロリノベの3つの料金プラン
注文住宅のように、ゼロから自由な空間をつくれるフルリノベ『BASIC』と『PLUS』 スケルトン工事せず、既存を生かした部分リノベ『ECO』いずれも、選べる仕様/設備が決められておらず、世の中にある設備や素材から自由に選べることが特徴です。
*物件探しをせず、リノベーションのみの場合、420万円→520万円となります。
*BASICプランの請負金額は平米数に関わらず860万円(税別)が最低価格です。
*ECOプランは場合により300万円以下でも承れます。リノベーションのみの場合1,000万円が最低価格となります。
*戸建ての場合は1㎡あたりの単価が+2万円となります。
*420万円は、面積に関わらずフルリノベ(スケルトン工事)に必要な費用です。解体に伴う費用、配管工事や電気配線などが含まれます。
それでは、実際にフルリノベーションでマンションの間取りを変更した事例と費用を見ていきましょう。
【厳選10事例】マンションリノベの間取り変更アイデア
事例1.ルーフバルコニーをリビングにした事例
広さ:48㎡
構造:ラーメン構造
こちらの事例は、3DKをダイナミックなワンルームに変えた事例です。ルーフバルコニーをアウトドアリビングとして取り入れて、室内を広く活用できる間取りに。
壁を取り払い広くシンプルな空間にしたことで、ストレスフリーな暮らしを実現しました。
<After>
<Before>
<間取り図>
事例2.バスタブから部屋全体を見渡す家
広さ:55㎡
構造:ラーメン構造
こちらの事例は、浴室を大きく移動したリノベーション事例です。浴室をガラス張りにすることでオープンで広がりのある明るい居住空間に。
元々特徴のある形の間取りでしたが、LDKを中心に整理することで、生活動線も家事動線も効率的で無駄なくスムーズな動きが実現しています。
<After>
<Before>
<間取り図>
事例3.70㎡の3LDKをワンルームに間取り変更した事例
広さ:71㎡
構造:ラーメン構造
不要な和室や壁を取り払い、素材を統一すれば、同じ平米数でもグッと広くなります。こちらの事例では、自然素材をふんだんに取り入れて温もりのある空間を演出。既存の個室壁を取り払いワンルームのような使いやすさが魅力です。
<After>
<Before>
<間取り図>
事例4.壁式構造を活かして部屋のレイアウトを変更した家
広さ:66.40㎡
構造:壁式構造
部屋ごとに区画されて狭い印象だった空間を、対面キッチンとダイニング・リビングスペースをひとつながりの大空間に間取り変更。家族の気配をいつも感じられる住空間に変わりました。子供たちが勉強したり、家族が憩いの時間を過ごしたり、みんなが自然に集うスペースに大変身です。
<After>
<Before>
<間取り図>
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事例5.一般的な2LDKを浴室から緑が楽しめる海外風の家に間取り変更した事例
広さ:77.43㎡
構造:ラーメン構造
居住空間がひとつながりの広々したスペースにするために、オープンな空間の中で、キッチン設備や家具配置によりゆるやかにゾーニング分けした事例です。洗面所と浴室をベランダ側に配置するという個性的な間取りで緑が身近に感じられるのが魅力です。
<After>
<Before>
<間取り図>
事例6.壁を取り払い、明るくゆったりした1LDKに間取り変更した事例
広さ:83.17㎡
構造:ラーメン構造
こちらは、部屋の奥まで自然光が取り込める明るさを確保するために、大胆に3部屋分の間仕切り壁を取り払うことで、自然光がたっぷり降り注ぎワンルームのように開放感あふれる間取りにした事例です。シンプルな色づかいでまとめられた空間に、家具のフォルムが引き立っていますね。
<After>
<Before>
<間取り図>
事例7.2DKをワンルームに変更したおしゃれなひとり暮らしの家
広さ:46.62㎡
構造:ラーメン構造
こちらは、一般的な2LDKの間取りを個室の壁を取り払うことで、面積以上の空間の広がりを実現した事例です。間仕切り壁を腰壁にしてワンルームのような視界の「ヌケ」が魅力です。玄関から掃き出し窓まで一目で見渡せるため、外までつながるような広がりを感じさせます。
<After>
<Before>
<間取り図>
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事例8.ライフスタイルの変化に対応する余白を残した一戸建ての間取り変更
広さ:117.14㎡
構造:木造2階建て
こちらは、構造に問題のない間仕切り壁を取り払い、可変性にも柔軟に対応できるリノベーションをした戸建ての事例です。1階は壁の場所を変更することで生活動線がスムーズな空間に。2階は将来的なライフスタイルの変化にも対応できるようにあえて壁で仕切り過ぎない選択をしています。
<After>
<Before>
<間取り図>
事例9. 間取り変更でキッチンの家事動線と収納を充実させた事例
広さ:58.30㎡
構造:ラーメン構造
こちらは、個室の壁を取りはらうことでオープンで広々したLDKを作り、広がった空間にⅡ型キッチンを取り入れてキッチンスペースを充実させた事例です。
二人でキッチンに立つことを考え広さに加えて動きやすい動線も実現しています。他の部屋との移動もスムーズで家事効率がUPする間取りですね。
<After>
<Before>
<間取り図>
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事例10. 壁式構造でも開放感のある空間を実現した間取り変更
広さ:85.63㎡
構造:壁式構造
こちらは壁式構造でのリノベーション事例ですが、除いても可能な部分の壁を取り払い、ゆるやかに空間がつながる開放的な空間にリノベーションした事例です。色に統一感を持たせることでより広がりを感じさせています。
<After>
<Before>
<間取り図>
マンションの間取り変更をする際の注意点
マンションの間取りを変更するときの注意点として、
- 工事が実際に施工可能かどうか確認する
- 予算内でやりたい工事ができるかどうか確認する
などが挙げられます。間取りの変更を失敗しないために大切なポイントです。それぞれ詳しく紹介します。
4-1.工事が実際に施工可能かどうか確認する
基本的には、マンションでリノベーションできるのは居住空間である専有部分であり、建物の共有部分に含まれる玄関や窓は対象外です。
また、専有部分であってもマンションの管理規約に内容によっては、間取り変更で変えられる部分に成約が出ることがあることに注意しなけれななりません。
マンションの間取り変更を行う際には、物件の構造や配管が通っているPS(パイプスペース)の位置などを調べて、事前に家族が希望するレイアウトを施工事例を参考にしながらイメージしておき、使える予算内で実現可能かリノベーション会社やリフォーム会社に相談しておくと安心です。
4-2.予算内でやりたい工事ができるかどうか確認する
間仕切り壁を取り壊すような間取り変更工事は、ある程度の費用がかかりやすく、予算オーバーにもなりがちです。例えば次のような工事が当てはまります。
- 3LDKを2LDK、1LDKのお部屋にする
- クローゼットをウォークインタイプの収納スペースにする
- 和室をオープンにしてフローリングにする
近年は木材の価格高騰などもあり、自分たちがイメージする費用相場よりも費用がかさむ可能性もあります。
理想とするレイアウトが予算内で実現できるのか、完成イメージと実際の費用との乖離をできるだけ少なくするためリノベーション会社やリフォーム会社に相談しておくと安心です。
まとめ
マンションの間取りを大きく変更するようなリノベーションは、一部分のみに手を掛けるのではなく、フルリノベーションという選択肢があることをお伝えしました。その際に、重要になるのがマンションの構造の種類や特徴です。
- ラーメン構造は柱で支えているため内部の壁を壊しても影響は少ない
- 壁式構造は壁も支えのひとつであるため壊せない壁がある
壁式構造であっても、取れない壁を活かしたフルリノベーションは可能です。
ご紹介した10事例では、リノベーション後は新たに作る間仕切り壁が少ない状態である場合が多く、将来的にライフスタイルが変わったときにも柔軟に対応できる余白を設けているのが印象的でしたね。
しかし、将来の暮らし方まで想定した間取り変更を、構造のことも注意しつつ自分たちで考えるのは簡単ではありません。やりたいことができるのか予算内でできるのか、なかなかイメージもしにくいのが現状ではないでしょうか。
失敗なく理想のデザインに間取り変更するためには、経験豊富なパートナーが必要不可欠です。ゼロリノベでは受賞歴のある設計チームが、お一人おひとりの暮らしに合ったリノベーション設計をご提案します。
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